特集1


 商品やサービス、技術、企業全体の売り込み手法は、特定のターゲットへの訪問等による営業、広告やWEBなどを活用した情報発信など様々です。見本市・展示会は、多くの事業者が商品やサービスを持ち寄り一堂に展示を行うことで、多くのバイヤー、関連業者、一般消費者を集め、新規性のあるBtoB取引の創出と、業界の情報交換等を促進します。見本市・展示会への出展は、多くの出会いを得ることができ、具体的な商談に発展するきっかけとなるだけでなく、市場動向の把握、協力事業者の発掘の場でもあり、多くの方に直接商品やサービスを見て、体感してもらうことで、マーケティング調査の効果までも得ることができるチャンスです。
 見本市・展示会に出展する具体的な手続や日程は、それぞれ異なりますが、一般的な流れを次に紹介します。

1.展示会を選ぶ
 出展効果を得られそうな展示会について、情報を収集し、出展を目指す展示会を決めます。支援機関、金融機関、行政等からの情報や、これまで来場した展示会からのDM、展示会ウェブサイト、展示会に関するデータベースサイトなどから情報を収集できます。
 例:ジェトロ見本市・展示会データベース http://www.jetro.go.jp/j-messe/
2.出展申込
 募集要項に基づき、出展を申し込みます。展示会のウェブサイト上で募集要項などの必要な書類が公開されている場合も多くあります。
3.主催者による出展審査、結果通知
 申込が多数ある場合など、主催者側が出展審査を行う場合があります。より効果的な展示会を開催するため、優れた商品・サービスの出品が見込まれることのほか、展示会の主旨に合った出展であることが求められます。
4.出展準備
 準備日程、出展日程、参加者、交通、搬送などの出展計画を立案します。
 ブースデザインを決定し、展示品、配布物(サンプル、チラシ、名刺)などを準備します。マーケティングの専門家を活用したり、関連書籍を参考にすることも有効でしょう。ブースに必要な照明、テーブル、電気設備などの貸出、保健所への届け出事務などを主催者側で行う場合がありますので、必要に応じて申し込みます。
5.出展
 出展します。大規模な展示会は前日までにブース設営や物品搬入をすることが多く、出展者への説明会がある場合もあります。
 当日は、ブースへ来てくださった方と積極的に名刺交換し、商品・サービスをPRしましょう。様々なアイデアで出展の効果を上げることができます。
 例:サンプル、ノベルティ、アンケート、体験、試食、ホスピタリティ
6.ブース来場者へのアフターフォロー
 具体的な商談があった場合に、展示会後も継続して連絡を取り、成果を目指しましょう。また、来場し名刺交換した方を対象に、お礼もかねてDMやメールを送付するなど、出会いをビジネスに育てるアフターフォローを積極的に行いましょう。

 来場者として展示会に参加することも、ビジネス相手の発掘や、関連企業や業界の動向把握、情報収集などに役立ちます。また、会場の設備や展示会の雰囲気、多くの魅力的なブース運営を見ることは、次回の出展を検討する際の参考になります。


 

平成21年3月11〜13日の3日間、東京ビッグサイトを会場に「健康博覧会2009」が開催されました。当センター産学連携推進グループ都市エリア担当では、サプリメントや健康食品の有効性・安全性をPRするエビデンスゾーンに、秋田の豊富な農水産物を活用した中・高齢者の心身両面を支える食品として、県内の公設試験研究機関や企業などと連携のもと開発したギャバ製品、納豆、料理酒などの食品や、研究成果から提案されたキイチゴ加工食品などを出展し、全国の関連企業に紹介し、マッチングを図りました。
 健康博覧会は、健康・美容・食品に関する専門誌の発行や展示会等の企画及び開催を行っているCMPジャパン(株)が主催する国内最大級の健康産業界の見本市で、今回で27回目を数えます。国内外から586社(802コマ)の企業や団体が出展し、健康・美容に関する商品やサービスの展示、公開講座や出展社によるプレゼンテーションセミナーなどが行われ、様々なジャンルのバイヤーと接触できるこの機会を生かそうと、各社、積極的な営業活動を展開していました。
 秋田県からは2社が出展参加し、伊藤建友株式会社(由利本荘市)は岩盤浴ミストサウナを展示。本製品は、当センターの平成20年度経営改革総合支援事業(フェニックスプラン21)に採択されているもので、ユニット式のサウナの内装には天然木が使用されており、木の心地よい香りに包まれながら岩盤浴とラジウム鉱石水のミスト浴を楽しめるのが特徴。代表取締役の伊藤佐喜男さんは、「ホテルなどの宿泊施設への販売を考えている。今後はマッサージ機などの健康器具とのタイアップによる販売展開も視野に入れ、このような展示会の場を活用して販路を広げていきたい」と、大勢のバイヤーが来場する中、PR活動を行いました。
 有限会社開商(秋田市)は、十和田八幡平山系の焼石(溶岩石)をスノコ内に収めたサウナ用スノコを展示。この商品は、県内の地域資源を活用した新商品開発などへの取組を支援する当センターの平成20年度あきた企業応援ファンド事業に採択されたもので、サウナ浴室内の腰掛け部分や床面に設置することにより、サウナ室内の温度を下げてもスノコ内の焼石から発生する遠赤外線効果で体感温度が上がるため、使用燃料の削減となり二酸化炭素の排出量抑制にもつながる。代表取締役の畠巌氏は、「スノコ部分に秋田杉を使用することで、”秋田県”のPRも兼ねながら販路開拓をしていきたい」と積極的に来場者との接触を図っていました。
 開催期間中には45,000人を超える来場があり、3月11〜12日に同時開催された、医療機関でのメタボ対策をサポートする予防関連製品等を展示する「総合医療展」、医療食・介護食をテーマにした「メディケアフーズ展」も同様の賑わいをみせ、健康・美容市場への関心の高さが窺われました。




 秋田銀行、秋田県および(財)あきた企業活性化センターの三者は、「県産品販路開拓事業実行委員会」を設立し、秋田県産品の販路開拓に意欲的な地元企業のさらなる支援・育成に取り組んでいます。その事業の一環として、平成21年3月3日〜3月6日、千葉県(幕張メッセ)で開催されたアジア最大級の食品・飲料展示会「FOODEX JAPAN 2009」へ秋田県ブースを共同出展しました。
 今回の共同出展は、秋田県および(財)あきた企業活性化センターが金融機関と連携して首都圏商談会に参加する初の試みであり、自治体と支援機関の信用力に金融機関のネットワーク、情報力等が加わることで、県外市場、バイヤー等へのアピール度を高めるとともに、三者が連携して地元企業の支援体制を強化し、秋田県経済の活性化につなげることを目的としたものです。
 「FOODEX JAPAN 2009」は、日本をはじめ世界59の国と地域から2,393社(国内901社/海外1,492社)が出展。今回の秋田県ブースには、県内食品製造業者13社および(財)あきた企業活性化センター都市エリア事業担当が出展し、販路開拓・拡大を図ろうと、各社工夫を凝らした展示コーナーを設営し商談に望みました。初日から商売に直結する商品・パートナーを探すため商社、小売、メーカー等の多業種のバイヤーが来場し、4日間の入場登録者数は78,538名に上り、秋田県ブースでも商談や情報交換などが連日、熱く、真剣に交わされました。会期中は、多様なバイヤーとの情報交換、新しいマーケットの発見、マーケティング活動による市場動向の把握など、今後の営業活動につながる多くのビジネスチャンスが生まれ、商談成約に至った出展者も多数ありました。現在、出展者は、会場で収集した情報をもとに営業のフォローアップを行っており、その後、商談が成約したとの報告も続々と届いています。
 今回の集合ブースによる共同出展に対しては、出展者から、「スケールメリットが享受できることからバイヤーへの訴求効果が高く、非常に有益」との声が寄せられました。また、出展者が、秋田県ブースの他社の商品を併せてバイヤーへ紹介するなど、出展者同士が連携して秋田県産品の売込みを図る姿がとても印象的でした。
 「県産品販路開拓事業実行委員会」では、今回のイベント出展者に対するフォローアップを行うほか、今後も三者の連携・協力を密にし、地域経済の活性化に資する積極的な活動に取組んでいきます。

ポークランドグループ
 「桃豚」に対するバイヤーの関心は非常に高く、4日間の試食で使用した豚肉は50kgを超えました。「桃豚」を全国へ発信する機会として、多種多様な業種のバイヤーが集まるFOODEXでのPRは効果絶大だと感じました。

株式会社浅利佐助商店
 「比内地鶏スープ」を中心に、業務用商材としての引き合いが非常に多くありました。飲食店等からのサンプル提供の依頼も多数あり、今後の取引開拓につなげていきたいと思います。

株式会社四季菜
 創業当時のレシピをもとに、なつかしの味を再現した新商品「昭和プリン」に対するバイヤーの反応が非常に良く、大きな手応えを感じました。新商品発表の場としてFOODEXを利用することは非常に有効だと思います。

秋田酒類製造株式会社
 今回は、3月にリニューアルした「生貯蔵酒」「辛口生貯」のPRを主な目的に出展しましたが、ホテル、飲食店等からの引き合いが非常に多く、新たな展開が見込めるものと期待しています。

株式会社大潟村あきたこまち生産者協会
 既存取引先への新アイテム拡大を狙い出展しましたが、新たに、加工品担当バイヤーとのルートが開拓でき、サンプル依頼も多数ありました。特に、米飯加工品(だまこ、おこわ等)への関心が高く、今後の営業活動を強化していきたいと思います。

 

秋田清酒株式会社
 純米酒でつくった「梅酒」に対する飲食店バイヤーの関心が高く、他店との差別化をはかろうとする業界の動きを感じました。今後、サンプル依頼先を中心に営業フォローを行い、販路開拓につなげていきたいと思います。
株式会社栗駒フーズ
 国際特許も取得した花粉症改善に効果がある「栗駒高原れんこんヨーグルト」へのバイヤーの関心が非常に高く、会期中に関西圏のスーパーへの納入が決定しました。FOODEX出展は、既存取引先に対する企業PRにもつながり、取引の信頼性を高める点でも有益だと思います。

株式会社唐土庵いさみや
 今回は、今年のバレンタインで人気を博した「三豆(さんど)三度(さんど)」(チョコうす焼もろこし・チョコ生もろこし)をメインにPRしましたが、「もろこし」本来の美味しさを知っていただく良い機会になりました。

株式会社後文
 会期中の商談成約も3件あり、かなりの手応えを感じました。特に、「稲庭うどんかんざし」への引き合いが多数あり、今後、営業フォローを行っていきたいと思います。

株式会社無限堂
 新規先を中心に招待券を配布し、バイヤーの来場誘致をはかりました。業務用の『冷凍稲庭うどん』への引き合いが多く、今後、単価等の調整をはかりながら、積極的に販路拡大を進めていきたいと思います。

株式会社淡路製粉
 「米粉シフォンロールケーキ」等の米粉商品を中心に、会期中の商談成約7%を目標に、バイヤーを絞り込んで商談に臨みました。国内油脂メーカーや韓国、中国等の海外バイヤーとの商談で、業界の最新トレンドが把握でき、今後の事業展開を検討するうえで参考になりました。

日の丸醸造株式会社
 新商品の料理用麹エッセンス「SAKE(サケ)SPOON(スプーン)」に、バイヤーから高い関心が寄せられました。会期中に実施したバイヤーへのモニタリング結果をもとに、今後、新規開拓につなげていきたいと思います。

株式会社坂本バイオ
 代表商品「鹿角霊芝」のほか、新商品の美容ジェル「GANO(ガノ) WATER(ウォーター)ESSENCE(エッセンス) GEL(ジェル)」を出展しましたが、原料メーカー、ネット通販業者等のバイヤーの関心が高く、知名度UPにつながりました。

 

 

 

(2009年4月 vol.333)

 
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財団法人秋田企業活性化センター