秋田県内の9市では、一番南に位置する湯沢市。
JR湯沢駅を下車して駅前サンロード商店街を歩いて、信号を左へ曲がると柳町通り、右に曲がると大町通り。その大町商店街に紳士既製服を中心に取り扱い、幅広い年代の顧客に親しまれている専門店、メンズショップアベがある。今号では、その代表である阿部昭蔵さん(昭和12年生まれ)にお話しを伺った。


メンズショップ・アベの代表 阿部 昭蔵 氏

 洋品店勤めのノウハウを事業に活かそうと昭和44年10月、湯沢市佐竹町で創業。当初は外売を主としていたため、湯沢市のほか隣町の羽後町や十文字町、平鹿町などに車で営業に出かけていた。
 「当時はずいぶん走りました、大変でしたけれども楽しかったですよ」と阿部さんは振り返る。
 その後、昭和49年に柳町に新店舗を、同55年には大町1丁目に2店舗目をオープンさせた。そして、現在地の大町2丁目に自社店舗として2店舗を移動オープンさせたのが昭和61年。大町商店街が商店街近代化事業に着手したため、いちはやく店舗を新築、平成7年12月に現在の店舗が完成した。


 ひと昔前までは、スーツは高級なモノというイメージがあった。でも現在では「5万円あれば、フレッシュマンが必要とする一式が揃ってしまう」また、「スペアパンツ付きで4万円までで」という作業服感覚、おまけに不況の影響もあり、スーツの平均購入価格も低くなっている時代である。しかし、お店で扱っている商品はそれより上のクラス。求め易い価格の「3〜4万円」の商品に応じることはできるそうだが、扱った場合、すぐダメになるようでは「売った店にも責任があり、お客様にも申し訳ない」という。
 「品質」は価格ではないけれど、やはり「3〜4万円」のモノよりも「6〜7万円」が安心して勧められる良いものだそうだ。
 また、スーツのバーゲンはしないのである。これにも理由がある。「最初に同じ商品を買ったお客様の信頼感がなくなる」と、いつでもお客様の心理を大切にする阿部さんである。


 どうしても解決できないこと、「それは人口の減少それも消費人口の減少」が悩みのタネだそうだ。現在 の湯沢市の人口は約3万7千人。商圏人口でも7万人弱。その器の中での商売をしなければならないのである。立地面その他諸事情が、店の規模と商品構成などに密接に関わってくる。
 バーゲンで量販はできない。15〜6年前に本線はこれで行こう、と現在まで浮気なしに貫いていることは、「間違いのない服を売ること」しかも「ブランド品もある」という路線である。商品を踏まえた店づくりも重要。店というものには「店格」「価格」「品格」「人格」があって、バランスが揃ってなければならない。顧客は山形県の新庄、真室川などからもお店にやってくる。「良い服を長く着てもらいたい」との思いが品揃えにも現れている。



 スーツを普段着ないお客さんから相談を受けることも多く、例えば東京にいる子供さんの冠婚などの公式の場で着用する服装などもそうである。
 トータルでのアドバイス、服装はもちろんマナーなども。無事、終わってから感謝され、誉めて戴くと「地域で服装文化に貢献している」と実感するそうである。阿部さんは、新作展では顧客の嗜好を描きながら会場を回る。良くみえた商品は2度、3度みてもやはり良いそうだ。最近は知識豊富な方もおり、新作を仕入れて「新作だね」と言われるのもうれしい言葉だそうである。



 シニアがターゲットなのであるが、年数が経過していくと洋服だけが貯まってしまい、なかなか着るチャンスがなくなってくる。「服装を楽しんでもらいたい」ということで、今後は「着る場所、見せる場所を提供したい」と考えている。シニアがターゲットなのであるが、年数が経過していくと洋服だけが貯まってしまい、なかなか着るチャンスがなくなってくる。「服装を楽しんでもらいたい」ということで、今後は「着る場所、見せる場所を提供したい」と考えている。


 創業して27年、何度か商品構成を見直したそうである。現在は紳士服、紳士洋品90%、レディス10%で構成している。ブランドもバーバリー、ニナリッチ、ランバン、レディスにも機能性の良い、今人気のユナイテッドアローズ等を取り揃えている。
 しかし、「メーカーに依存しすぎるのも危険。付加価値が商売には必要」、自分で「オリジナル商品の開発もしてみたい」と語っている。

CORPORATION DATA
 ■社  名 メンズショップ アベ
 ■所在地  湯沢市大町2-1-2
 ■創  業 昭和44年10月(1971)
 ■代  表 阿部 昭蔵
 ■電  話 0183(73)4840

  紳士服、紳士洋品、レディス、物品販売

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