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![]() 「(株)ニュー東京靴店」の佐々木 宗利専務 ![]()
地元の中小小売店が、押しなべてナショナルチェーンの脅威にさらされる中で、何故同社の業績は伸びているのだろうか? その理由を佐々木専務は、「大型店やチェーン店のやらないことをコツコツと我慢強く積み上げてきたからです」と、語っている。大型店やチェーン店のやらないこととは、つまり高密度でハイタッチな接客である。大型店やチェーン店は、売場の効率を重視するため、どうしても販売員の数が少なく、セルフ販売になってしまう。低価格帯の商品を販売する場合はセルフ販売でも売り上げを確保できるが、高価格帯の商品を売る場合は十分な商品説明などの接客が必要となり、それでは難しい。同社は、大手が参入したがらない価格帯に的を絞り、顧客満足を最優先する販売方法で、「地域一番店」の地歩を固めたのである。
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財吉氏は、金座街時代のやり方を続けても新しいショッピングセンターでは通用しないと考え、経営の一線から退き、舵取りを現専務の宗利氏に任せた。そこで宗利氏は、再開発事業にスタート時点からタッチすることとなった。佐々木専務は当時を振り返り、「再開発事業に積極的に取り組んだことが、とても勉強になりました。新しい建物に移れば、それだけで成功するような錯覚を持つ人が多いのですが、建物のコンセプトや客層に相応しい商売に変化しなければ失敗することを学びました」と、語っている。金座街時代よりも客層がアップすることをにらみ、レベルの高い客層に相応しい品揃え、接客応対に転換。この戦略をとったことが功を奏し、売り上げは順調に拡大した。
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平成2年に婦人靴専門店「トキオ レディス コレクション」を公営駐車場1階に出店した際、店舗がビルの柱の陰となっており、目立たない立地のため苦戦が予想された。しかし、同社の基本戦略である、「高価格帯の商品をサイズ切れすることなく、対面重視で販売する」方針を貫いた結果、婦人靴部門でも成功を収めている。 この2店舗で築き上げた品揃えや接客のノウハウを武器に、平成5年に満を持して開店したのが、「トキオ ウォーキング コレクション(本金西武地下)」である。 歩くことが一番簡単な健康法として注目され、靴メーカー各社はウォーキングシューズを市場に投入したが、価格が高いことに加えて販売店側に専門的な知識と高度な販売技術が要求されるため、簡単には手が出せない分野となっており、その当時市場規模は小さかった。 しかし、外反母趾のお客様の相談を受けたりしていた佐々木専務は、「はきやすくかつ歩きやすい靴を求める、消費者の潜在的需要は、きっと大きい。シューフィッターの知識を活かして、お客様によりレベルの高い満足を提供しよう」と決意し、開店の運びとなった。現在では当初の予想どおり、既存の靴では満足できない消費者が、全県から集まる繁盛店となっている。
![]() 「トキオ メンズ コレクション」本金西武1階
![]() 「トキオ ウォーキング コレクション」本金西武地下
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靴メーカーやショッピングセンターから出店の要請が多いものの、やみくもな店舗の拡大に走らないで、一店舗毎の更なるレベルアップを追求する方針である。
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