現在、国会では「中心市街地活性化法案」が審議されており、この6月にも可決・成立する予定である。同法案は、空洞化の進む中心商店街の活性化を図るため、市町村が基本計画を作成し、それに対して各種助成措置や特例制度を適用しようというもの。県内では、秋田市のほか3市が基本計画策定の助成を事前申請している。

 秋田市は、駅前から産業会館までの「仲小路」のモール化を目玉とした基本計画を予定している。駅前地区では、長らく中断していた駅前再開発事業が再スタートし、商業ビルの建設計画や空中歩道(スカイウオーク)構想も動き出す予定であり、県都の顔づくりがいよいよ始まる。
 一方、中央街区では重点ブロック市街地再開発事業として、日赤・婦人会館跡地の再開発共同ビル建設計画が先行している。再開発準備組合の新開副理事長は「中央街区のリーディングプロジェクトとして位置づけており、当組合の計画が先行していることもあって、現時点では新法とは別個の計画と考えている」としながらも新法の制定については「秋田市主導の計画づくりが行われ、県と一体になった街づくりが進むことは、大歓迎」と話している。
 今後、市の基本計画策定に当たって、再開発ビル建設計画と、同法案による中心市街地活性化とどう結びつけていくのか、市・県と民間の対応が注目されるところである。
 大曲市では、大曲駅前を中心としたサンロード商店街の活性化計画を策定する予定。商店街関係者は「商店街で活性化計画を策定しても、これまでは行政の壁があった」と行政主導の街づくりに期待を寄せている。
 横手市は4月に地域戦略室を設置して活性化事業に取り組む意気込みを見せており、また湯沢市においても中央公園と川を生かした街づくりを検討する予定である。

この中心市街地活性化対策は、関係12省庁が一体的かつ総合的な対策を講じることから非常に複雑な施策となっている。
 そこで今号では、施策のイメージと具体的な4つの活用例を紹介する。


商店街の空き店舗を活用して望ましい テナント・ミックスを実現する
商店街にはそれぞれ実現すべき特徴があります。そのために不足業種等を補っていかなければなりません。一方商店街には空き店舗が目立ち始めています。この空き店舗に適切な業種を誘致し、商店街の狙いを実現していこうというのがこの活用例です。この手法は、1)商店街のとくに重要なポイントが空き店舗になっている場合、それを活用する、2)仕舞多屋になっている歴史的な建物を活用して商店街の特色をかたちづくる、3)意欲はあるが、資金力の乏しい人へのインキュベーター的役割を果たす、などの効果も期待できます。


再開発等により地元主導で商業ビルを 整備し、キーテナントを誘致
再開発事業や区画整理事業を伴う活用例です。この活用例では、建設省の助成制度を活用して市街地再開発事業を行い、再開発後のビルを通産省の助成制度を活用して取得・運営するというケースを想定しています。この方法によれば、キーテナント主導型ではなく、地元主導で再開発を進めることができます。


大型の空地・空き店舗を活用して キーテナントを呼び込む
中心市街地の中に、ポッカリと大規模な空地ができ、町の衰退の象徴的存在になっているがその跡地利用がなかなか決まらない場合です。こういうケースは多いのですが、非収益施設をあらかじめ整備するなど、出店の環境を整える一定の措置をとらないと、なかなか跡地利用が決まりません。今回の新制度はこのような場合にも活用できます。


中心市街地全体を統一的なコンセプト に基づいて整備する事例
活用例1では空き店舗活用に焦点をあてましたが、もちろんアーケード、駐車場、ポケットパーク、コミュニティホール、まちなみなどの整備を行うことも、本対策の対象になります。ただ、それらが統一的コンセプトによってなされる、一定の機関によって総合的にマネージメントされる場合に、より強い支援措置が得られるよう組みたててあります。

バックナンバー集へ戻る