県内経済の動向(11月)
製造業:チップコンデンサーが堅調に推移
建設業:受注に不足感あるが、建築工事は順調に推移
小売業:ハイビジョンテレビが好調に転じる
県内経済の動向は、全県から業種別に企業を抽出し、県の地方部と商政課が調査したものです。(対象企業218社)
概 況
県経済は、製造業においては、主力の電気機械が好調であるほか、精密機械等も依然として高水準で推移しており、個人消費においても、パソコンや携帯電話の動きが引き続き活発で、飲食料品等も順調に推移し、全体としては先行きに不透明な部分があるものの、緩やかな回復傾向が続いている。
全業種のDI値を前月と比較すると、3ヶ月前との業況比較は12.5から2.8、現在の資金繰りは-4.6から-4.2、3ヶ月先の業況見通しは-9.7から-24.2となった。
製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年比5.6%増、同6.2%増。3ヶ月先の業況見通しDIは-3.3から-15.0となった。電気機械では、液晶ディスプレイが引き続き高水準の生産を続け、チップコンデンサーも堅調に推移し、フル操業となっている。木材・木製品も、引き続き好調に推移しているが、消費税導入後の反動が懸念されている。
建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年比17.4%増、同18.5%増。3ヶ月先の業況見通しDIは-16.1から-41.9となった。土木工事は、大規模公共工事により好調に推移し、建築工事においても、一般住宅が引き続き順調に推移しているが、全体的には受注に対する不足感があり、冬季間の仕事確保が今後の課題となっている。
小売業では、売上額は前年比0.8%減。3ヶ月先の業況見通しDIは-18.5から-32.8となった。紳士服は低調であったが、婦人服は徐々に上向いてきており、スーパーも、生鮮食品や衣料等が順調であることから、総じて持ち直してきている。パソコン、携帯電話は依然として動きが活発で、ハイビジョンテレビも好調に転じている。
常用有効求人倍率は、0.90から0.91となった。
DI値は各調査項目について、好転企業割合から悪化企業割合を差し引いた値です。
製造業の動向
1. 食料品
「ハム類は、需要の落ち込み激しく低調」
生産額は前年比4.3%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは-25.0から-31.3となった。
パンは、県外企業との競合状態が激化しており、生産額の低迷が続いている。牛乳・乳製品も生産額は前年を上回ったものの、見通しはあまり良くない。醤油・味噌等調味料類は引き続き好調に推移している。ハム・ソーセージ類は需要の落ち込みが激しく、低調となっている。
2.繊維・衣服
「婦人服は、依然として厳しい状況」
生産額、受注額はそれぞれ前年比8.2%の減、同6.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは-14.3から-21.4となった。
婦人服では、生産額が安定して推移しているが、受注減や単価の低迷等依然厳しい状況が続いている。紳士服は順調。ニット衣料は、冬物の受注が回復傾向にあり状況は良くなってきている。Gパンは、市場の動きが活発で順調に推移した。
3.木材・木製品
「住宅向けが依然好調だが、先行きに不安感」
生産額、受注額はそれぞれ前年比19.7%の増、同31.0%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から-15.8となった。
集成材や合板等を中心とした住宅向けの部材が、住宅着工の増加や国産材の安値感等により、引き続き好調であるが、消費税率引き上げ後の反動が懸念されている。
4.鉄鋼業
「鋳物は引き続き低調に推移」
生産額、受注額はそれぞれ前年比1.1%の増、同4.9%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から-16.7となった。鋳鋼は、引き合いが増加しており、生産も拡大しているなど回復基調にある。鋳物は、低調に推移し、先行きも不透明となっている。引き抜き菅関連は、前年を大きく上回り好調。
5.金属製品
「ばね類は好調だが、単価低迷に苦慮」
生産額、受注額はそれぞれ前年比13.4%の増、同10.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは-8.3と変わらず。
コンピューター関連部品は、海外製品との競合や取引先の海外シフト等の懸念材料を抱え、伸び悩んでいる。シャッターは好調に推移した。
針金・鉄線類は順調。ばね類は好調であるが、単価の低迷に苦慮している。防犯カメラ、携帯電話用の部品は、依然好調。
6.一般機械
「産業機械は、引き合い増加により好調」
生産額、受注額はそれぞれ前年比27.7%の増、同0.8%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは-7.1から-21.4となった。
産業機械は、企業からの引き合いも増加の傾向にあり、好調に推移している。自動化・省力化機械は、生産額・受注額ともに減少傾向にあり、厳しい状況が続いている。金型も低調であるが、受注は上向いてきている。
7.電気機械
「チップコンデンサーは堅調に推移」
生産額、受注額はそれぞれ前年比7.4%の増、同7.3%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは20.8から-4.2となった。
液晶ディスプレイは、引き続き高水準の生産を続けている。チップコンデンサーも堅調に推移し、フル操業となっている。CD−ROMは前年を大幅に下回り、低調であった。半導体関連は、伸び悩んでいる。パソコン基盤は、前年を大幅に上回る伸びを見せ、好調に推移した。
8.輸送機械
「自動車シートは、引き続きフル操業」
生産額、受注額はそれぞれ前年比7.5%の減、同6.1%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは16.7と変わらず。
パワーステアリングは、前年と比較すると低い水準ではあるが、安定した動きを見せている。
自動車用シートは、生産額が大きく伸びており、フル操業の状態が続いている。ブレーキディスクは引き続き低調に推移している。
9.精密機械
「腕時計類は安定した景況」
生産額、受注額はそれぞれ前年比20.3%の増、同22.1%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは-22.2と変わらず。
はかり類は、今までの勢いが一段落し、緩やかな伸びとなっている。腕時計類は安定した景況が続いている。光学レンズは、順調に推移している。ねじ類は、引き続き需要が増加傾向にあり、好調であった。
建設業の動向
10.土木工事
「順調に推移しているが、先行き不透明な状況」
受注額、完工高はそれぞれ前年比12.3%の増、同26.2%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは0.0から-37.5となった。
土木工事は、大規模公共工事により、全体的には順調に推移しているが、地域格差が激しく、公共工事の発注が一段落したこともあって、先行きは不透明となっている。
11.建築工事
「受注の不足感あり、冬季の仕事確保が今後の課題」
受注額、完工高はそれぞれ前年比25.1%の増、同10.8%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは-33.3から-46.7となった。
一般住宅は、今までの勢いが一段落した感があるが、しばらくはこのまま順調に推移する見通しを持っている。全体的には、やや受注に対する不足感があり、冬季間の仕事確保が今後の課題となっている。
小売業の動向
12.衣料品
「紳士服は、単価が低迷し低調に推移」
売上額は前年比4.5%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは16.7から−17.6となった。
紳士服は、客数が少なく、単価も低迷しているため低調。婦人服は、出足の鈍かった冬物が徐々に上向いてきている。呉服は、依然として厳しい状況が続いている。
13.身回品
「化粧品は、大型店や通信販売との競合激化」
売上額は前年比5.7%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは-33.3と変わらず。
化粧品は、大型店や通信販売に客足が流出し、売り上げが伸び悩んでいる。眼鏡・貴金属は好調に推移し、景況も安定している。カバンは、依然として厳しい状況が続いている。
14.飲食料品
「スーパーでは、生鮮食料品や衣料等が好調」
売上額は前年比1.6%の増。3ヶ月先の業況見通しDIは-40.4から-30.0となった。
酒類は、飲食店向けの需要が低迷しており、伸び悩んでいる。スーパーは、生鮮食品や衣料等が順調であることから、総じて持ち直してきているが、大型店の進出等の影響を受け、売り上げの伸び悩んでいるところもあった。
15.家電品
「ハイビジョンテレビが好調に転じる」
売上額は前年比4.2%の減。3ヶ月先の業況見通しDIは-20.0から-53.3となった。
パソコン、携帯電話は依然として動きが活発であるが、価格競争が激しく、景況としては厳しい状態が続いている。量販店では、暖房機器の売り上げが順調で、ハイビジョンテレビも好調に転じているが、中小の個店では、大型店進出が懸念材料となっている。


