このコーナーでは、積極的な経営展開を図り市場から評価を得ている企業や、商業者の新たな取り組み、アントレプレナー(起業家)の挑戦などを紹介します。

エビス交通有限会社  昨年8月、秋田市外旭川に貸切バスに特化した当社が開業し、スポーツ少年団や中学、高校での部活動における送迎で好評を博している。当社は代表取締役である妻の光子さんと取締役である夫の幸悦さんが夫婦二人三脚で設立した。幸悦さんは元々長距離トラックの運転手であったが、スポーツ少年団の送迎をレンタカーを用いて行った経験から、送迎に関してはある程度需要が存在することを認識していた。しかし、レンタカーによる送迎となると小さなトラブルなどを耳にすることが少なくなかった。「やはり運転そのものよりも、事故に対することが一番の負担と感じてる親御さんも少なくないと感じました。」と幸悦さんは語る。
エビス交通有限会社  そのような保護者の負担を少しでも軽減するために、運送のプロである加藤さんがバス会社の設立を考えていたところに、近年の経済状況から妻がリストラに会いまた、トラック運送の将来的な不安もあり一念発起し、昨年夏の開業に漕ぎ着けたのである。開業までの設立準備は妻の光子さんが一手に引き受け、判らないながらも勉強をし、当センターで実施している専門家無料相談、県や企業支援団体などで実施している相談窓口やセミナーなどを利用しながら一歩ずつ進めていった。開業当初は、主にスポーツ少年団、中学・高校の県外遠征や、冠婚葬祭等の送迎などの依頼を受けることが多かったが、徐々に観光客の利用も増えてきているとのこと。今後は、いままでに無いサービスを提供しようとも考えているそうである。
エビス交通有限会社  開業間もない当社だが、大手会社には無い小回りの効く運営、キメの細かいお客様本位のサービスに重点を置いている。「お客様に喜んでいただくことが一番です。御礼の言葉、お客様の笑顔が私達の原動力です。」と代表取締役の光子さんは満面の笑顔で語る。
 スポーツ少年団や部活動での子供の送迎などに悩んでいる方、冠婚葬祭での送迎、あるいはちょっとした人数での旅行を考えている方は、是非「エビス交通」に連絡することをお奨めする。きっと今までに無い満足感を得られるであろう。

株式会社丸倉  インターネットにおけるビジネスシーンが拡大している中、湯沢市の株式会社丸倉(仏壇製造卸)が運営するオーガニック専門検索サイト「森のバス」が今注目を集めている。「森のバス」は、オーガニック食品はもちろん、衣類、インテリア、ペット商品、さらには海外のサイトなど厳選された優良サイトを多数登録している。運営する同社の佐藤健夫専務取締役は、「儲けを度外視しても、子供たちのために安全・安心なものを提供する必要性を以前から感じていた。」という。そのとき着目したのがオーガニックだ。オーガニックに関係する商品・情報は膨大に存在している。その中から本物だけを消費者に伝えることを第一に考え、このサイトを開設した。「これからネットビジネスはさらに拡大する。しかし、売り手と買い手の顔が見えないネットの世界では、お互いの信頼こそが何よりも重要。だから厳選された“本物”と呼べるものだけをこれからも提供し“信頼”を築いていきたい。」と抱負を語った。今では検索エンジンGoogleにおいて、キーワード“オーガニック”140万件のうち第2位にランクされるまでになったが、結果に満足することなく、将来的には検索サイトを超えた、消費者と生産者が直接出会うバーチャル市場の構想も検討中とのこと。
株式会社丸倉  一方で同社は、宮城県で介護施設を運営してきた経験を生かし、介護情報サイト「介護ほっとねっと」も開設し、活動の幅をさらに広げている。「介護の主役は、介護をする人ではなく介護を受ける人。しかし、現実には立場が逆になっている。介護を受ける人たちのために、必要な情報をわかりやすく伝え、利用者に喜ばれる“笑顔のストーリー”を提供していきたい。」という熱意と意気込みに大いに期待したい。

大森建設株式会社 大森建設株式会社 生コンの流通は、現在、建設業者の注文を受けて生コン業者から納入され、もしその生コンが余った場合は生コン業者が引き取り、砂・砕石・砂利など再利用可能な材料を取り除き、水・セメントなどはスラッジともに産業廃棄物として処分されている。しかも、この産業廃棄物の処分にかかる経費に生コン業者は悲鳴をあげている。ところがもし、産業廃棄物として処分されるコンクリートから砂や砂利だけでなく、うまくセメントも回収することができれば、骨材の再利用あるいはセメントの再生使用が可能となり、業界各社の経費節減につながる。何よりもこの地球からゴミを減らすことができる。
 このような思いを抱いていた秋田高専環境都市工学科の桜田良治助教授と大森建設株式会社環境営業部の石井昭浩課長は、秋田高専産学協力会という会合で出会い、同じ思いを語り合い、県の補助金を活用しながら廃棄生コンの再生利用技術について共同研究することなり、見事に「石灰処理方式」によるセメント粉末回収技術を開発した。
大森建設株式会社  当初、桜田助教授は、凍結乾燥法や急速炉乾燥法によるセメント回収を目指したが、いずれも乾燥時間が数時間から1日程度かかり、また凍結乾燥機などの特殊な乾燥機械を必要とした。そこで乾燥機を一切使わないで、かつ短時間で粉末回収できる石灰処理法に着目したとのことである。同じ条件での石灰処理による乾燥時間は、およそ15分程度と驚くべき早さである。また、当初の粗い生石灰では、水和反応時の膨張によりひび割れを起こすため、十分な強度が出ないという問題も発生したが、粒子をさらに細かくすることで解決できたとのことである。
 今のところ、この研究の成果は「使用済セメント配合材料」、いわゆる商品化に向けた「素材」が完成したに過ぎない。しかしながら、今後は大森建設が主体となって、ユーザーがこの素材をどのように使うのかなどについて綿密な市場調査を行い、この素材に新たな材料を加味したり、不要な材料を除いた製品を「地盤改良材」等の商品として販売していく「次なるステージ」へ邁進しようとしている。
 「何よりも生コン業界が喜んでくれるだろう。ゴミが減ったほかに、有価材に生まれ変わるのだから。」と話す石井課長の目は、商品開発の青写真と生コン業界全体を見つめていた。

株式会社佐々木電機  北秋田市鷹巣の中心街で家電品販売を中心に事業展開する(株)佐々木電機は、量販店の台頭や価格競争激化などで厳しい環境にある家電販売業界の中で、独自のサービスを展開し顧客の支持を得ている。
株式会社佐々木電機  そのひとつがエアコン、全自動洗濯機、ストーブの「3大クリーニングサービス」である。通常、点検や故障は客側から店やメーカーに連絡するのが一般的だが、同社では定期的に顧客に案内を出しクリーニングを勧めている。エアコンはなかなか取れない内部の汚れまで丸洗い、全自動洗濯機は汚れの落ちにくい洗濯槽の裏側までクリーニングする、ストーブのクリーニングも細部まで行い、作業を確認してもらうため、その場で汚れた状態の写真とクリーニング後の写真を撮り、サービスマンのコメントも添えて顧客に渡している。
 また、サービス充実戦略として最近始めたのが、「白い靴下」「青いじゅうたん」「きっちりお掃除」である。これは、客先を訪問する際、きれいな靴下で家に上がる、家や家具に傷をつけない、気になるごみをきちんと掃除してくるという顧客の視点を重視したきめ細かなサービスである。
株式会社佐々木電機  このほか、高齢者の多い地域ということに配慮し、電球や蛍光灯などの取替えは1個から出張するというサービスや店内に椅子を多く置き、高齢者が直ぐに休めるように気を配っている。
 佐々木社長は、「小売はお客様に好かれることが原則。もちろん価格でも負けているわけではないが、安売りの量販店ではなくお客様がなぜ当社から購入してくれるのか。それは商品を買うのではなく、当社の良さを買ってくれていると思っている。当社の良さはお客様とのコミュニケーション力であり、きめ細かなアフターサービスだ。」という。
 最近では、日本古来の木造住宅の良さを活かした通気断熱WB工法の県北総代理店となり住宅産業にも進出。住宅と家電一体となった新たなサービスを視野に入れ、顧客満足度向上を目指し精力的に活動している。