有限会社 秋田ネイチャートラベル

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 平成14年、政府は「外国人旅行者訪日促進戦略」の一環としてビジット・ジャパン・キャンペーンを打ち出し、国・地方自治体、民間企業等、官民一体となった訪日外国人誘致、観光産業の発展・育成に取り組んだ。また、秋田県においても、観光産業を宿泊・交通・農林漁業・商工業などから成り立つ総合的産業として位置づけ、受入態勢の整備、誘客促進に向けての施策を展開している。
 今号では、“秋田の素材”にこだわった旅空間を提供している有限会社秋田ネイチャートラベル(秋田市)代表取締役 野原多津美氏にお話を伺った。


大人のための指定席。もてなしの心  で秋田の観光をPR 代表取締役 野原多津美

代表取締役


■ “旅”ー素材が生み出す非日常空間
 交通手段・メディアの発達は人々の趣味・嗜好の多様性を促し、従来の大型団体・同一行動・周遊観光から個人が地域の伝統文化を体験するライフスタイル重視型観光へとシフトさせた。この時代の流れを敏感に受け止め、秋田の豊かな自然、伝統文化と観光の融合をコンセプトに、平成15年、同社は設立された。 有限会社 秋田ネイチャートラベル 「少子・高齢社会、県内経済の低迷、賑わいの喪失という現状を打開するために自分は何ができるのか」という設立の思いは今でも忘れないという野原社長。「グリーン・ツーリズムやブルー・ツーリズムなど都市と地方の交流は、有望な観光資源のひとつ。四季折々でその姿を変える山林、豊かな海洋資源を有する日本海など“秋田の素材”を効果的に利用することが本県の観光振興のためには必要」という考えから生まれた商品が“日本海釣りツアー”だった。
 同社が提供する日本海釣りツアーは、(1) 東京・仙台・関西など全国各地から出発可能、(2) 航空券・JR乗車券を手配し事前に発送、(3) 専用車により空港・駅まで送迎、(4) 釣り道具の準備(レンタル・オプション)、(5) 釣り船・ホテルの手配、さらに、地元の食材を生かした船内弁当、釣り上げた魚をその場で処理し自宅まで宅急便で発送するなど、大手では手の届かないきめ細かいサービスが特徴。 旅行者の多くは団塊世代と呼ばれる人々。「団塊世代は、今日の日本の陰の立て役者。仕事ばかりで日常を抜け出した時間を使うことが苦手。だから“釣り”を通じて時間的・精神的ゆとりを満喫してほしい」という考えが商品開発のきっかけだった。では、どうやって利用者を集めるのか。広告やインターネットはもちろん、さまざまなコネクションを通じてPRしたが、それでも中小代理店には限界がある。そこで、思いついたのが大手ネットワークの活用だった。大手企業に足を運び、商品の売り込みに力を注いだことにより認知度が上がり、全国誌にも「釣りツアー」が取り上げられるまでになった。特に最近は、男女を問わず若い世代の参加者も増加しており、“旅行”と“釣り”の融合が、幅広い年代に認知されつつある。
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■ 拡大する団塊世代市場の獲得に向けて
 平成19年以降、団塊世代が定年を迎えることから、さまざまな産業分野で団塊世代マーケット獲得ための商品・サービスの開発が行われている。また、民間調査機関によると、定年後、現在よりも消費を増やしたいもののトップは男女問わず旅行(国内・海外)という結果も出されており、旅行産業が一大マーケットとなることが予測されている。 有限会社 秋田ネイチャートラベル 同社でも、首都圏の大手旅行代理店との提携強化を模索するなど、団塊世代の顧客獲得に向けた動きが活発だ。「大型送客を得意とする大手は、それぞれの地域特性を把握・活用したサービスは提供しにくい。一方、地元中小旅行会社は、誘客のためのネットワークを持っていない。このお互いの弱点を補い双方の利益につなげる」ことを戦略にした事業を展開する。「県内旅行代理店は、これまで秋田の人々に他県・国外を観光させるアウトバウンドに主眼を置いてきたが、観光を起爆剤として将来の県経済を発展させるためには、いかにして人を呼び込むことができるのかというインバウンドを重視することが大切。団塊世代市場は、弊社にとって大きなビジネスチャンス。何としても釣り上げたいですね」。

■ その瞬間に、勝負を賭ける
有限会社 秋田ネイチャートラベル  一生に一度の出会い。誠意を尽くしてお客をもてなすという一期一会の言葉が示すように、日常生活から離れた時間・サービスを提供する観光は、受入側に一期一会の精神が求められている。「旅の印象は、そこに訪れた瞬間のイメージ。一過性の観光なのか、リピーターが集まる観光なのかを決めるのは、旅行者ではなく、受け入れる我々の“もてなしの心”なのです」。インフラ・観光施設への投資も必要だが、誘客のための宣伝や、地域が一丸となって歓迎するムードなど、目には見えない部分に焦点を当てた観光振興策が求められている。このことは、観光産業のみならず、他産業の育成・発展にとっても同じことが言えよう。「経営は自分自身との戦い。掲げた目標を必ず達成する強い信念がなければ、経営者失格です」。

CORPORATION DATA
有限会社 秋田ネイチャートラベル
代表取締役 野原 多津美
〒011-0946
 秋田市土崎港中央3-11-32
TEL:018-880-5105
FAX:018-880-5106
URL:http://www.tabi-ant.com/
E-mail:info@tabi-ant.com
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