ソフトアドバンス株式会社

ソフトアドバンス株式会社

 長い低迷の時期に突入して久しい我が国経済の再生に、企業自らが取り組むためには、既存の人的・物的資源を合理的に運用する仕組みを作り、物やサービスの製造・流通・消費の過程の生産性を高めることが必要な時代となってきている。ソフトアドバンス株式会社は、企業のIT化という側面から、このような時代の要請に取り組むとともに、卓越したソフトウエア技術の製品化で注目を集めている。今号では、同社の菅原亘代表取締役にお話を伺った。


卓越したソフトウエア技術とIT導入による効率経営のエキスパートとしての地位を確立 代表取締役 菅原 亘

代表取締役
菅原 亘


■ ユーザーの皆様に感動していただくこと
ソフトアドバンス株式会社 国家資格の技術士やITコーディネータなど数々の資格を有する菅原亘代表取締役が、ソフトアドバンス有限会社(当時)を立ち上げたのは平成13年の秋である。「ソフトウエア技術、特に3D映像には自信を持っていました。会社を立ち上げたときから、数点の製品構想は持っていましたし、この業界で3Dを得意とするベンダーは少ないですから、『ユーザーの皆様に感動を提供することができる会社を創る』というのが最初の目標としてありました」。
 「ユーザーの皆様に感動していただく」これがそのまま同社の企業理念となっている。有限会社としてスタートしたソフトアドバンスは、半年後には、菅原さんと専務取締役である三浦望さんとで映像生成ツールである「風立」というヒット商品を生んだ。

■ 秋田から世界へ
ソフトアドバンス株式会社  菅原さんも三浦さんも、もともと情報技術畑出身なので、「風立」に関しては、いわゆる「足で稼ぐ」スタイルの営業は行わなかったという。それでも「クチコミ」、特にインターネット上での「クチコミ」だけで、世界中で売れ続けている。「風立」販売から1年後、ベルギーのソフト会社から業務提携の声が掛かり、「風立」をベースにしたプロフェッショナルタイプの映像生成エンジンを提供している。その映像生成エンジンを元にベルギーのソフト会社が製品化したソフトは、2005年にアメリカラスベガスで開催されたソフトウエア展示会で最優秀賞を獲得した。
 「私どもが見据えているのは、世界です。よく秋田だと物流面で不利だという人がいます。確かにそれは否定できない部分ではありますが、世界地図で見たら、東京と秋田の距離なんて、ちっぽけなものなんですよ。秋田を離れるつもりはありませんし、これからも秋田から世界に私どものソフトウエアを発信していきたいと思います」。
ソフトアドバンス株式会社 ソフトアドバンス株式会社
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■ 夢の実現
ソフトアドバンス株式会社  「ソフト屋ですから、今後もソフトウエアは作り続けます。ちょうど今新製品が完成したところで、会社立ち上げ当時から、夢として描いてきたアイデアがやっと実現できそうです」。そう言いながらパソコンを操作し始めて、実演してくれたソフトが、新製品であるビジネスソフト「vind」。プレゼンテーションソフトなのだが、このソフトの特徴は、やはり3D技術であり、ソフト上で使用する画像や映像を回転させることができるなど、立体的に表現できるスグレものである。
 「このソフトは、いわゆるリアルタイム3Dという技術によるものなのですが、ゲーム業界での活用が主で、ビジネスには活用されていなかったわけです。これを何とかビジネス分野に活用できないかと構想を練っておりまして、コスト面だとか、コンピュータマシンの能力の問題からなかなか実現できませんでしたが、マシン性能が上がった今、やっと完成できました。それから、当社に魅力を感じて就職してくれた竹村(竹村伸太郎リードプログラマー)君の入社が、大きかったですね」。
ソフトアドバンス株式会社  いわゆるソフトウエア業界というのは、各業界の大手企業から採算の取れないような仕事ばかりが舞い込むことが多く、大学で専門技術を蓄えた優秀な学生を受け入れることができない業界なのだという。「この業界は、自らのアイデアを実現することによって、もっと面白いものになると思います。ゲーム業界に就職するか、大学の研究室に進むしかない今の優秀な学生が、竹村君のようにこの業界に振り向いてくれる、そういう会社にしていきたいと思います」。
■ 「儲かるIT」の実践
 同社のもう一つの企業理念は、「地元企業に『儲かるIT』を提供する」ことである。
 ちょっとしたソフトを導入することにより、企業は格段にその業務効率を向上させることができる。菅原さんは、自ら会社を経営することにより、その信念を確実なものにしたのであろう。「とにかく、この時代は現状維持ではなく、常に何かを変えていくんだという気概が経営には不可欠です。システム化に取り組む企業は多いが、システム化のためのシス ソフトアドバンス株式会社 テム化となってしまっているのが現状です。私どもは、ご依頼を受ければ、そのお客様と一緒に、『何が問題なのか』、『何が邪魔しているのか』をチャートにして徹底的に洗い出します。その上で、それを解決するための仕組みとソフトの導入を提案していきます」と語る菅原さんは、今まで見せていた「ソフト屋」の表情から、「ITコンサルタント」の表情に変貌している。「注文の都度、工場を回転させている企業さんに、システムソフトを導入して生産管理と在庫管理を行うように提案しました。このシステム化により、その工場の全作業時間を25%減らすことに成功しました」。
 現在、コンサルティングを行った企業は前職時代を含めると10社を越える。今後も県内企業に対する「儲かるIT」の実践に力を注いでいきたいという。

 物流面での秋田と首都圏との格差は感じないと話す菅原さんだが、資金確保手段のバラエティーさでは、格差を痛感しているようである。今後は、「vind」が浸透し、さらに多くの優れたビジネスソフトウエアがソフトアドバンス株式会社によりもたらされ、県内外の投資家に、秋田に目を向けさせるような事業活動を期待したい。


CORPORATION DATA
ソフトアドバンス株式会社
代表取締役 菅原 亘
〒011-0945秋田市土崎港西3丁目8番16号
プラテアM105号
TEL:018-880-5245
FAX:018-827-4155
URL: http://www.softadvance.co.jp/
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