本県経済は景気低迷が続き、非常に厳しい状況にありますが、これは消費の冷え込みといった短期的な要因だけではなく、これまでの我が国経済を支えてきた金融システムをはじめとした経済構造そのものが制度疲労を起こしていることが大きな要因になっております。
一方、経済のグローバル化とリアルタイム化は、県内の社会経済環境に対しても、海外製品との競争激化、生産拠点の海外展開、国際標準の普及、さらには、大型店の郊外出店やそれに伴う中心市街地の空洞化など、少なからぬ影響を及ぼしております。
しかし、このような大競争時代の到来は、県内企業にとって、全国さらには世界に向かって飛躍するビジネスチャンスでもあり、県内の多くの企業がたくましい競争力をつけ、県経済を力強く押し上げていく原動力となるよう支援を強化していくことが、重要となっております。
さらに、県財政逼迫への対処、行政改革の推進を着実に進めながら、規制緩和や地方分権の推進という全国的な動き、業種別の構造改革・育成策を中心としたものからやる気のある企業への支援の重点化という中小企業政策の大きな転換の方向に的確に対応していくことが必要です。
このような情勢を踏まえ、平成11年度の商工労働行政は、県内企業が直面する厳しい状況を乗り越えるための当面の金融対策や雇用対策等による支援の強化、商業や観光等の地域経済に密着した産業の強化とともに、企業自らが長期的・国際的な視野に立った経営戦略のもと、新たな飛躍のためにチャレンジできる環境づくりを積極的に実施してまいります。
◎主な施策・事業の概要 ( )内の金額は当初予算額 |
1 中小企業金融対策
1)借り入れ済の制度資金の償還期間の1年間延長
2)短期小口資金の融資実施期間の11年度末まで再延長
3)各種制度資金の利率引き下げ
中小企業事業円滑化資金 |
固定金利型 |
2.8% → 2.3% |
変動金利型 |
2.3% → 2.0% |
短 期 型 |
2.3% → 2.0% |
小規模事業振興資金 |
2.8% → 2.3% |
起業者育成資金一般型 |
2.8% → 2.3% |
アクティブマート資金 |
2.0% → 1.9% |
2 中心市街地・商店街の活性化
1)中心市街地活性化基金造成(252,500円)
TMO活動支援のための基金を造成する。
2)商店街空き店舗対策事業(12,000千円)
空き店舗活用に対する賃借料、改装費を市町村とともに助成する。
対 象 者 |
商店街団体及び中小企業者で、創業者・事業拡大者・貸店舗の閉鎖により店舗移転を余儀なくされた者 |
助成限度額 |
賃借料 480千円/年、改装費600千円 |
補 助 率 |
1/5 |
3 新産業の創出促進
1)中小企業支援センター(仮称)設置事業(157,070千円)
企業に対する支援のための機関の一体的な活動による総合的プラットフォーム形成のためのシステムや機器を整備する。
開設時期 |
平成12年4月 |
場 所 |
県庁第2庁舎1〜3階 |
2)ベンチャービジネス創出育成支援事業(334,293千円)
創業や新分野への進出を促進するため、各段階に応じた総合的な支援を行う。
新規性のある製品・サービスにより創業する起業者に対し、公募により事業費を助成する。
対象者 |
10年度創業、これから起業する者 |
助成額 |
事業費の1/2以下で5百万円を上限 |
助成件数 |
3件 |
新規設備投資による事業化で飛躍が期待されるベンチャー企業に対し、公募により事業費を助成する。
対象者 |
概ね創業後10年以内の新規性・先駆性のある事業を行うベンチャー企業 |
助成額 |
事業費の1/3以下で1千万円を上限 |
助成件数 |
1件 |
ベンチャー企業への直接投資やキャピタルへの投資原資とするため、財団に融資を行う。
ベンチャー企業と投資家、ビジネスパートナーとの出会いの場を設ける。
3)産学官共同研究支援事業(20,500千円)
大学や公設試験研究機関と共同研究を実施し、新技術や新製品の開発を行う企業に対し、公募により助成する。
対象者 |
県内中小企業 |
助成額 |
事業費の1/2以下で1千万円を上限 |
助成件数 |
2件 |
4 資源循環型社会の構築
1)秋田県北部エコタウン推進事業(10,654千円)
家電リサイクル事業を中核としたゼロエミッションの考え方に基づく資源循環型産業の創出と環境と調和したまちづくりを推進する。
2)新エネルギー導入促進事業(6,366千円)
風力発電の集中導入の促進を図るとともに、化石燃料に替わる新エネルギーの普及啓発を図る。
5 国際ビジネス支援
1)大連事務所開設(29,977千円)
定期コンテナ航路を活用した貿易促進や技術交流促進のため、ジェトロ大連事務所内に開設する。
6 観光の振興
1)北東北三県観光立県推進事業(34,945千円)
3県共同の宣伝、イベント、冬季観光等の企画事業を実施する。
2)オートキャンプ場整備事業(1,046,467千円)
男鹿山、宮沢海岸地区、田沢湖 → 平成12年春開業予定
西栗駒地域 → 整備計画策定
3)秋田ふるさと村魅力アップ推進事業(256,263千円)
入村料を無料化し、施設・ソフトのリニューアルを行う。
7 雇用確保対策
1)緊急雇用機会確保推進事業(4,158千円)
ハローワークに雇用機会確保推進員を配置し、事業所訪問等のきめ細かな求人開拓を行う。
2)新規学卒者県内就職促進事業(30,815千円)
就職促進セミナー、合同企業説明会、職場見学会等を開催する。
8 産業人材の育成・魅力ある労働環境整備
1)秋田技術専門校改築事業(686,604千円)
場 所 |
秋田市向浜、工業技術センター隣接地 |
移転開校時期 |
平成13年 |
2)育児・介護休業者への生活資金の融資(5,000千円)
対象者 |
現事業所に1年以上勤務して育児休業・介護休業を取得している者 |
限度額 |
100万円 |
利 率 |
1.5% |
償還期間 |
5年 |
3)女性が働きやすい環境づくり推進事業(3,597千円)
改正男女雇用機会均等法の趣旨を踏まえたビジョンを策定するほか、仕事と家庭生活を両立できる環境整備を行う。
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