プリクラ・コンパクトラボ(写真フィルム自動現像焼付け機)・CCDカメラ・OA機器・医療機器・計測機器などマイクロプロセッサー応用技術を生かした各種システム装置や省力化機械のプリント基板組立・完成品を製造するセキエレクトロニクス(株)(本社東京都)の現地法人、アキタ・セキエレクトロニクス(株)(仙北郡角館町)は昭和58年8月に設立された。
現在、資本金は1,000万円、従業員は170名、年間出荷額10億円に達している。
■省エネルギー指導を受けた経緯
同社は、事業拡大に伴い本社工場が手狭になったため、平成9年7月角館町内に第二工場(西工場)を建設し、主要生産設備をそちらに移設することにした。それを期に情報センター省エネ指導員の勧めにより、本社工場(岩瀬工場)の電力消費に係わる省エネ化を図ることにしたものであった。
■専門員の指導内容
平成9年12月19日に中小企業事業団より専門員の若林敏郎氏が派遣された。
専門員は工場の状況、製品構成、製造工程、電力契約状況、電力消費の傾向などを入念に調べ、次の点にポイントを絞り、指導計画を練った。
1. 力率の改善
2. デマンドメーターの導入
3. 本社工場の電力契約更新
4.作業場の集約と不要な照明・冷暖房の停止
■具体的指導内容
1.力率の改善
当初、力率〔※注参照〕改善のためコンデンサーを増設する予定であったが、主要設備を第二工場に移設したことで、本社工場の負荷が減少したため、電気料金計算上の力率が10年の各月とも100%になり、コンデンサー増設の必要性が無くなった。
注:力率とは、送電(交流)されてくる電力うち何%が有効電力として働いているかを示す数字で、百分率で表す。力率100%に近い方が望ましい。
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2.デマンドメーターの導入
当社の場合、夏場の3ヵ月間の冷房が電力需要を突出させている。しかもわずか30分間契約電力を超えたことで、それ以降1年間の基本料金が高くなる。更にこの時期の電力料金単価が高く設定されており、消費電力管理の必要性は高い。
そのためにデマンドメーター〔※前出注〕の設置を検討したが、本社工場の設備内容が大幅に減少、今後設備増強に伴い更に大きく変わる可能性が高いことから、ある程度確定した段階で最適な機種の選定を行なうこととした。
3. 本社工場の電力契約更新
本社工場設備の移設に伴い消費電力が下がったことから、10年2月にそれまでの314KW契約を181KW契約に更新した。
4.作業場の集約と不要な照明・冷暖房の停止
空き作業場は存在しないが、工場全般を平均に明るくするのでなく、適切な場所を適切な明るさになるよう、照度計で細かく検査した。また不要な照明の消灯を励行したのはいうまでもない。
また空調についても、適性配置による工場内温度のバラツキ排除、内・外気温の関係と運転のルール化を指導した。

■指導の効果
平成11年1月に省エネ指導のフォローアップのため秋庭専門員が中小企業事業団より派遣された。その結果、定量的につかめるものでは本社工場の契約電力更新により電気の基本料金が年間82万円の節約になった。
設備的には大きな変動はないものの、電気エネルギー管理係数を用いた総合的な電力消費の管理手法を習得し、社員にも日常的に自分達でできる簡単な気遣いが省エネ活動につながるという意識を持たせる結果となったことは大きい。今後も省エネ用設備の導入も視野に入れ、継続的に努力してゆく考えである。(羽崎工場長)

セキエレクトロニクス株式会社
社 長:赤 宏昭
本 社:東京都八王子市子安町4-27-6
資本金:15,527万円
従業員:247 名(グループ)
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