景気対応策アンケート

 経済企画庁の「地域経済動向」によると東北地域は、景気は政策効果等により下げ止まり、おおむね横ばいで推移している、と発表されている。また、7月発表の「産業動向」では、最近の産業動向の特徴は、多くの業種が低調または不振であるものの、総じてみれば、このところやや改善している、としている。そこで今月号では、当センターが実施した県内企業が感じている現在の景況感、景気の低迷により受けた影響、その対応策についての調査結果を紹介します。


■調査概要
1. 調査方法

 調査は、県内企業の中から、1,669社をランダムに抽出し、7月中旬を調査時点に郵送による書面調査で実施した。
 このうち、481社(回収率28.8%)の企業から回答があった。

2. 回答企業の構成
 集計は、回答企業を製造業、建設業、卸売業、小売業、サービス業、その他の6業種に分けて行った。有効回答数481社のうち製造業が225社(46.8%)、卸売業が67社(13.9%)、建設業が61社(12.7%)、小売業が59社(12.3%)、サービス業が39社(8.1%)、その他が30社(6.2%)となっている。

1)景気は底入れしましたか?
 回答全体(481社)では「まだ底入れしていない」と「底ばっている」がともに29.7%を占めている。「底入れしつつある」、「底入れした」を加えると全体の9割超という結果となっている。業種別にみた場合も若干構成比率の差異もみられるが、ほぼ同様の結果となっている。ただ、製造業では「上向きつつある」と回答した企業が10.6%あり、全体平均より4.0ポイント高くなっている。

2)景気の上昇はいつ頃だと思いますか?
 回答全体では「すでに上昇した」を含め平成11年末までに上昇するとした企業は22.6%。8割弱の企業は、平成12年以降にならなければ景気は上昇しない、と回答している。業種別にみた場合、目立ったのは建設業の57.3%の企業が景気の上昇は平成12年後半以降との回答となっており、他業種に比較し若干の差がみられた。

3)貴社は不況の影響を受けておりますか?
 回答全体では92.1%の企業が「強く受けている」、「多少受けている」と回答している。業種別にみた場合はサービス業で「強く受けている」と回答した企業が64.1%あり、全体平均より6.9ポイント高くなっている。また、「あまり受けていない」及び「受けていない」と回答した企業はなかった。

4)どのような影響を受けておられますか?
 この設問は471社が複数選択により回答している。この中で「受注ロット(顧客の購買量)が減少した」が334社(70.9%)、「受注(顧客の購買)単価が値下りした」が333社(70.7%)とともに7割以上の企業が回答している。業種別にみた場合には、それぞれの業種で特徴が現れており、製造業では「極端な短納期化した」が24.0%、建設業では「受注単価が値下りした」が73.7%、卸売業では「取引先相手が廃業・倒産した」が23.8%、小売業では「金融機関からの運転資金の調達が難しくなった」が25.8%とそれぞれ全体平均に比較するとポイントが高くなっている。

5-1)どのような対策をとられましたか?
 この設問も複数選択により回答している。回答全体で4割以上の企業から回答があった項目は「賃金を抑制した」(55.2%)、「管理諸経費を見直した」(50.5%)、「人員削減を行った」(41.8%)となっている。また、30.7%の企業が「新規受注先の開拓・販売促進を強化した」と回答している。業種別で目につくところでは、製造業では「新規受注先の開拓・販売促進を強化した」が41.4%、建設業では「賃金を抑制した」が61.6%、卸売業では「管理諸経費を見直した」が65.1%、小売業では「管理諸経費を見直した」が70.6%とそれぞれ全体平均に比較するとポイントが高くなっている。

5-2)人員削減を行った場合の割合
 この設問は5−1で「人員削減を行った」と回答した197社に対して行ったもので、回答全体で最も多いのは1割未満で81社(41.1%)となっている。

6)金融対策としてどうなされましたか?
 複数選択により回答しており、回答全体の有効回答数は437社。このうち33.4%の企業が「特に対策はとらなかった」と回答している。「売掛金や債権の回収に努めた」が36.3%、「借入金の借り換えを行った」が24.0%となっている。「売掛金や債権の回収に努めた」と回答した企業が卸売業、小売業、サービス業で全体平均に比較し高いポイントを示している。

7)上記5〜6の対策をとった結果、効果はどうでしたか?
 回答全体では「期待したほど効果はあがらなかった」と回答した企業は53.1%、「効果があった」とする企業は31.6%となっている。これに対し「効果はなかった」が6.1%、「前より悪化している」と回答した企業が2.7%あった。業種別にみた場合、卸売業では「効果があった」とする回答が全体平均に比較した場合4.2ポイント高く、小売業では「期待したほど効果はあがらなかった」とする回答が7.2ポイント高くなっている。

8)行政(国・県・市町村)及び公社等支援機関に対しての要望は何ですか?
 この設問は複数選択により回答している。回答全体では51.9%の企業が「減税(国税・地方税)」と回答しており、続いて「県内企業への集中的受発注」42.2%、以下「補助金、助成金の充実」32.5%、「融資制度の限度額、対象者の拡大」32.1%となっている。業種別で全体平均と比較してみた場合、製造業では「補助金、助成金の充実」が10.4ポイント、建設業では「県内企業への集中的受発注」が39.4ポイント、小売業では「融資制度の限度額、対象者の拡大」が10.0ポイントと、それぞれ大幅に上回っている。

■まとめ
 調査結果から、県内企業の景況感は未だ景気の好転が感じられない、先行きはまだ厳しそう、という回答が多くみられた。不況時の対応策として各企業とも賃金を抑制、管理諸経費の見直し、新規受注先の開拓等の経営の自助努力して、必死に凌いでいる状況が窺われた。
 また、回答いただいた企業からの自由意見では、業種を問わず、早期景気回復を望む意見が多くみられた。要望としては「融資条件の緩和」、「税(特に固定資産税)負担の軽減」などがあった。
 当センターでは、今回の調査結果を業務に活かし、今後とも皆様方を支援してまいりたいと考えております。最後に、本調査にご協力くださいました皆様に厚く御礼申し上げます。

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