今年も数多くの「新製品・新技術」が生み出されました。そのいずれもが市場性・商品性に富むもので、地元秋田の食材、素材を活かした製品、これまでの自社の技術やノウハウを発展させた製品、産・学・官の連携により開発された製品などラインナップも充実しています。秋田発でありながら秋田にとらわれない、ベクトルが全国に向けられている製品群。これからの飛躍が期待される逸品揃いです。今特集では、これらのうちのいくつかを紹介します。
「タウンネット」は防雪柵や防風柵などの製品を開発、販売する日本機械工業(株)(秋田市寺内三千刈240−1、TEL018-862-2612)が開発した、ワンタッチで折り畳み可能な屋外用ごみ収納具。本年度グッドデザイン賞を受賞し、現在まで、秋田市内中心に約50ヵ所の町内会への販売実績を持つ。
本製品の開発は「街の景観を損ない、通行の妨げになっているゴミ集積所を変えたいとの思い」が出発点。
筐体の色は街の景観に同化するように「灰色」を採用。塗装は筐体完成後、標識等に使用されているものと同じ溶融亜鉛メッキを施すので錆びず、耐用年数は20年から25年と長い。ネットは「繊維の質」や「色」などすべて網のメーカーにオーダーした特殊なもので、市販の網とは一線を画す確かな造りとなっている。
本体の重さは約70kgで、大人2〜3人で簡単に移動可能。風速20mの風にも耐えられる。操作も至極簡便
覆われており、カラスなどによるごみの飛散被害も抑止。集収日以外は奥行10cmに折り畳め通行の妨げにもならないなど、機能性、安全性の確保にも万全を期している。現在の製品ラインナップは4タイプで価格は1基65,000円から85,000円と安く設定している。
製品上部に町内名、企業名を入れられるオプションボードも装着可能。企業の地域貢献活動として、各町内に寄贈してみるのも面白い製品かもしれない。
「ピカットコート」は、ある学生の「反射材を活用した高齢者向けの衣服を開発したい」というアイデアを、秋田テクノポリス開発機構が橋渡し、(株)ほうこう(秋田市新屋表町6−33、TEL018-828-4733)が具現化したもの。本製品も本年度グッドデザイン受賞製品である。
販売が本年11月からであったことから、大手の冬物買付には間に合わず、量販できなかったものの、情報を聞きつけた消費者から直接当社に注文が来るなど、注目度は高い。
本製品の特徴は何といっても「反射材」をステッチとして使用している点。しかし、昼も夜もいつもピカピカ光っているわけではなく、夜は高い安全性を発揮するものの、昼はこのステッチがデザインとして生き、邪魔になっていない。また素材はカシミヤを100%使用。とても軽く着やすいつくりとなっている。
本製品は、当初高齢者向けに開発したものだが、改良を重ねるごとにユニバーサルなデザインに生まれ変わり、現在では20代から高齢者まで幅広い年代層に受け入れられるものとなった。
製品ラインナップは1デザイン、S・M・Lの3サイズ、黒・チャコールグレー・ネイビー・ワインレッド・キャメルの5色。価格はすべて39,800円。
今後は「光る素材をショール、バッグ、夏物等にバリエーション豊かに活用していきたい」と意欲旺盛な当社である。
木都・能代でスライサーなど木材加工機械を製造し、単板のスライス厚の薄さ「世界一」の技術力を誇る庄内鉄工(株)(能代市河戸川字大須賀36−9、TEL0185-52-7175)が、これまで培った技術を利用して木製トレーの製造販売に乗り出した。
この木製トレーは基本的に杉、カラマツ、アカマツ等の間伐材を使用し、これらを0.35mmの厚さにスライスしたものを3枚重ね、加圧、加熱、乾燥を繰り返して成形される。
本製品は発泡スチロールの代替商品として開発をスタート。通常、販売商品に対しトレーに費やす設定コストは商品価格の1〜5%。対して本製品は発泡スチロールトレーの約4〜5倍程度のコスト増となるが、製品自体の持つ高級感や、吸水性、殺菌性、抗菌性に富んでいるといった付加価値を全面に押し出し提案を実施。現在は生鮮品のトレーを中心に、金銭を乗せるカールトン、弁当容器、杯など幅広い引き合いが全国から寄せられている状況だという。
昨今のエコロジーブームを追い風、千載一遇のチャンスと捉え、これからも様々なニーズに応えていくために強度アップ、環境に優しい接着剤の使用等、改良・研究を続けていくとのことである。
平成9年に発見された「白神こだま酵母」を使用した製品づくりに向け、県総合食品研究所と研究を重ねてきていた(資)六郷製パン(六郷町馬場155−6、TEL0187-84-0258)が、今年6月から販売を開始したのが「野菜ラスク」。
本製品は「白神こだま酵母」と六郷の清水を使用、国内産小麦にビタミン豊富な野菜をたっぷり練り込んで焼き上げた。
ラスクは「香り」と「口溶け」が命であるが、本製品は口に入れた瞬間「白神こだま酵母」特有の甘いフルーティーな香りと野菜の持つ自然な香りが広がり、次の瞬間「ほろほろ」とくずれる食感がたまらない一品である。
現在のラインナップは「かぼちゃ、にんじん、ほうれんそう」の「ガーリック味」と「シュガー味」計6品。1枚60円のバラ売りとギフト用の8枚入り500円、16枚入り1,000円で空港売店、アトリオン、ふるさと村、各スーパー、全国物産展などで販売中。また、通信販売でも販売しており、北は北海道、南は九州からも注文が相次ぐなど好評を博している。
これからは秋田だけで商売していくのは難しく、全国に向け「秋田の味」を発信していくべきとの信念の元、これからも秋田の特徴を活かした製品を開発していくとのことである。
3年前からスチール製のミニ幌セットを開発、販売してきた機械部品メーカー泣Aルファ精機(平鹿町浅舞大中島140、TEL0182-24-0856)が、今年1月からアルミ製「αウイング幌セット」を発売した。
不景気でこれまでの取引先の発注が海外シフトする中、自社のノウハウを活かした付加価値の高い製品開発により、他社との差別化をはかるのが狙い。
業界他社でも数多く「幌セット」は販売されているが、アルミ製の製品を開発したのは当社のみ。種苗交換会、中小企業テクノフェア等に積極的に出展し、商社をはじめ全国から注文が殺到、現在予約待ちの人気製品となっている。
本製品は、従来のスチール製品と比較し約3分の1の軽さで錆びにくい。左右どちらからでも開閉でき、もちろん今年規格が変更になった軽自動車の新旧規格車両方への搭載可能。幌の色は11色と豊富、加えてフッ素コーティングし遮光性を高めたDXシートも2種用意するなどバリエーションも豊富である。
当社製品についてもっと知りたい方は当社ホームページ、http://www.nttl.~netne.jp/arufa/まで。
たざわこ芸術村の森林工芸館(田沢湖町卒田早稲田430、TEL0187-44-3981)が、今春から木製オーダー家具の本格的販売を開始した。コンセプトは「自然との共生」、「親、子、孫の代まで使える家具づくり」。
素材は主にナラ、ニレ、セン、トチなどのムク材を使用し、日本に古くから伝わる釘を一切使わない「継ぎ手」、「蟻桟」等の手法を用い、塗装も木材の呼吸を妨げない様にオイルを含侵させる仕上げを採用するなど、徹底的にこだわった丁寧なつくりが特徴。
現在同館に展示されている定番家具は約20品。価格は子供いすの13,000円から食器棚の420,000円まで幅広い。
オーダー受注の場合、使う人の身長や家の大きさ、窓の高さなどに合わせ制作されるため、スタッフがお客様の自宅に何度も足を運び、双方が納得するまで打ち合わせがなされることから、お客様の手元に届くのは早くとも発注から1ヵ月程度かかり、価格も定番家具の2〜3割増程度になる。しかし、世界に一つしかない自分だけの家具を求めて、県内はもとより、千葉県などからも注文が相次いでいるとのこと。
これからも環境に優しい材料選び、メッセージ性のあふれたデザイン、製品開発が期待される。
フューチュア・エレクトロニクス(株)(秋田市新屋町字砂奴寄4−11、TEL018-867-1072)が、全国で初めて集合診療所向けの「総合医療健康情報管理システム」を開発し、今年11月11日、秋田市中通にオープンした「メディカルモール・中小路」に納入され業界の注目を集めている。
このシステムは、保険点数計算など医療直接業務と、予約などの医療付帯管理業務を統合したもので、電子カルテシステムの導入、カード表面に次回の予約日時等を印刷できるサーマルリライト機能付き診察券の採用などが特徴として挙げられる。
患者は最初に総合受付で診療案内の指示を受けた後、各医院で受付をし、診察を受ける。医師はその患者の電子カルテをその場で開き診察を開始。診察終了と同時に処方箋と請求書が発行され患者に手渡される。それを持って総合受付に行き、会計と次回の予約を受ける仕組みとなっている。
患者側にとっては「総合病院感覚で、個人医院のキメ細やかなサービス」を享受でき、医師側にとっては「カルテを探す手間、レセプト計算の手間、予約時間調整等の手間」などが省け、時間的・事務的・コスト的効率化がはかれるなど、双方にとってのメリットは大きい。
安心でき・待たせず・納得のできる、患者本位の医療実現のために開発された本システム。導入時コストも比較的安価な設定であり、既存の医院向けにも形を変えて提供可能とのこと。是非とも導入を検討する先が増えて欲しいシステムである。

平成10年度補正予算で公募された「中心市街地等情報システム開発事業」に対し、日専連湯沢会(湯沢市佐竹町2−5、TEL0183-72-2000)が「ゆざわ夢カード」のIC化を柱に、これまで店頭のみで付与していたポイントを宅配時などにも付与することを可能にする「ワレット(移動時ポイント付与端末)」の導入、インターネットでの購入にもポイントが付与されるバーチャルモールの創設、日々更新されるインターネット商店街情報をオンデマンドDTPにより、販促チラシや店頭ポスターなど印刷物という目に見える形にし、展開をはかれるようにすることなどに主眼をおいたシステムを構築すると提案し、全国で10ヵ所の中に選ばれ採択された。
システムの全容は、日進月歩の勢いで進化する情報化にオンタイムで適合するよう模索している現状であり、明らかになっていない。
地域に根差し、地域に密着する商店街を側面からサポートし、大型店に対抗する高付加価値のサービス提供を可能にする本システムの一刻も早い完成が期待される。
水田には、水の流れを確保するため高い位置で水を引き込む「用水路」と、低い位置で水を流す「排水路」の2本があり、水路の占有面積も2本分、ほ場整備工事における労力、コストも2本分。加えて水路に高低差をつけるため、水田間には段差(のり面)があるのが常識であった。しかし、就農者の高齢化が進み、近年こうした不便な段差解消等のニーズは高まっているように思われる。
こうした点に着目、コンクリート製品を製造販売する三和コンクリート工業(株)(羽後町大戸水里171−2、TEL0183-62-1141)が、今夏県内業者として初めて開発したのが「DS側溝」。DSというのはダブルストラクチャー(2重構造)の略で、用水路を上部に排水路を下部に縦にドッキングした製品である。
本製品を使用することにより、排水路用地を確保する必要はなくなり、段差の解消、余った土地の有効利用、ほ場整備時の施工コスト低減等のメリットが期待できるという。
現在は、来春からの本格発売に向け準備を進めている最中とのことである。
雄勝町の特産である桐を利用したバッグが、今年8月から販売された。開発・製造したのは(株)ビッグアキタ(雄勝町横堀字太田中44−1、TEL0183-52-4361)。
現在は道の駅おがち「小町の郷」での限定販売だが、発売以来県外からの観光客中心に300〜400個程度を売り上げた。また、農水省の方から12月1日〜翌年1月末までの期間、霞ヶ関ビルでの展示を依頼されるなど、その注目度は高い。
本製品を開発したのは、3年程前に町の職員から桐を使用した商品開発を持ちかけられたのがキッカケ。桐の持つ「白く滑らかな」質感、木材としての素材感を活かしながら、バッグに合う柔軟性・耐久性を持たせることに苦心、製造方法は企業秘密だが桐・布・皮を接着し、強く握っても割れない現在の形に行き着くまでに約2年の期間を要した。
現在、製品はバッグ、リュックから名刺入れ、財布といった小物まで全部で14アイテム、価格は数千円から二万円台。
今後は桐バックの持つ「希少性」等の付加価値を保つ様、窓口を絞り東京、関西への進出も考えているとのこと。雄勝町の特産品として、息の長い育成が期待される製品である。
あきたこまち100%の新鮮な米ぬかと、秋田名産のしょっつるの旨味をブレンドしたぬか床「ぬか楽」を今年6月に発売したのが、さがわい食品梶i飯田川町下虻川字海道上一本木54−2、TEL018-877-2920)。
ある時県外取引先から「秋田はあきたこまちの産地で米どころなのに、ぬか製品が一つもないのは不思議だ」との話を受けたことが本製品を開発するキッカケ。
この言葉に触発されたと共に、当社社長の生家が代々農業を営んでおり、かなり以前から無農薬・減農薬有機米の産直販売を手掛けていたため、他とは比較にならない位、新鮮・高品質のぬかが豊富に手元にあったことから、昨年の夏頃から発酵技術の要所要所において県総合食品研究所のアドバイスを受けながら開発が進められた。
こうして出来上がった本製品は、初出荷で県外から2,300個の受注を受けるなど好調な滑り出しを飾った。また、パックを開きそのまま漬け込むだけで、手も汚さず簡単においしいぬか漬けができる便利さが、20代の若い女性からも支持も受けるなど反響も良好。
現在は主に県外に出荷しており、県内で入手可能な先はアトリオン、ふるさと村、道の駅。価格は1袋・1kgで580円。今後は県内スーパーへの積極的な出荷を検討しているので、興味のある方は当社までお問合せを。
これまでも「十文字ラーメン」、「秋田地鶏ラーメン」など、積極的に秋田のイメージを前面に出した創作商品を送り出してきている(名)林泉堂(十文字町佐賀会字下沖田20−1、TEL0182-42-5500)が2年程前から研究・開発を重ね、今年9月から発売した「秋田しょっつるラーメン」は、秋田名物の「しょっつる」をベースにしたスープと、幅広い滑らかな食感の稲庭うどん風の麺が組み合わさった、いかにも秋田らしい一品で、価格は2食入り300円。
パッケージも環境保護の観点から、塩ビなどダイオキシンを発生させる物質は一切使用せず、ごみを極力出さないためにノートレーを実践するなど、目立たない所にまで極め細やかな配慮がなされている。
商品のコンセプトは「秋田から離れて暮らしている人たちが、秋田を思い出して食べていただけるラーメン」。発売から3ヵ月が経過したが、四国の西日本放送から取材を受けるなど狙いどおりの反響を得ており、この12月の下旬からは現在販売している生麺タイプに追加して、乾麺タイプ「秋田しょっつるラーメン」の発売も予定している。これによって冷蔵設備のないドライブインなどへの販路拡大を目指すという。
|