「オリエンテーションと
  コンサルテーション」

株式会社 誠文社
代表取締役
 田 中 誠 氏


 誠文社の田中と申します。包装資材と紙などの卸売りを本業としていますが、昨年10月からインターネットを始めて約1年になります。当初は、本業とかけ離れていると見られまして「趣味ですか?」とか聞かれたものですが、最近はこのデジタル化の波と無縁の業界はないという事が周知されまして、いろいろな方からさまざまな相談をいただくようになりました。
 9月6日に、大潟村の農業技術交流館で「インターネットの農業利用シンポジウム」に出させていただきました。その時のレジュメに「デジタルの時代に必要なことは、オリエンテーションとコンサルテーション」と書きました。その翌日の9月7日から9月14日まで、「シリコンバレー視察セミナー」で、サンフランシスコに行ってきました。日本とアメリカ双方の特殊性を実感できたことが一番の成果でした。
 本来、オリエントとは「東方」を指す言葉で、オリエンテーションとは、教会を建てる時に聖壇を東に向け、入口を西に向けることから、正しい方向を示すことを言います。また、コンサルテーションとは、ラテン語の「よく考える」という言葉から来ていて、意見を求めて一緒に相談するという意味です。
 これからインターネットは、意欲的な企業・自治体などが情報の交流を行うための道具になると考えています。そして、いままで考えもしなかったような相手と電子メールなどで情報を交換して、市場開拓や技術開発等に結び付けて行くのです。そのために必要なことは、それぞれ異なった企業環境の中で、インターネットを道具として活用するための基本的な条件を整える為のサポート業務になると考えています。

  1. パソコンについては、使い方を覚えることが目的なのではなく、パソコンを道具として使って、やりたい事をより簡単に行うことが目的です。そして、一台のパソコンは『離れ小島』ですが、ネットワークのコンピュータは『人間と人間を繋ぐ物』になります。

  2. インターネットについては、もはや体験することが問題なのではなく、どうやって使うかが課題になっています。電子メールでも、ホームページでも、いかにして有効に利用・活用するかが鍵になります。

  3. ホームページについては、アメリカでWeb Publishingと言われるように、コンピュータ制作の情報発信は「出版・編集」の分野になっています。見た目で引き付けようとしてもその関心は長続きしません。発信する情報を企画して、そのための材料を集めて、吟味して編集する作業こそがホームページ制作の核心なのです。

  4. ネットワークの技術については、「秒進分歩」と言われるほど日々新しくなっています。平成8年7月25日に運用を開始した「北仙北インターネット協議会」のシステム設計に協力して、安価で高性能な機器選定とセットアップを行いましたが、従来のように単一のメーカーに「お任せ」することが唯一の解決法では無い状況になっています。

  5. イントラネットについては、インターネットの技術を応用した、特定のメーカーにとらわれない、その時点で最善の技術を集めた安くて柔軟な情報システムとして注目を集めています。

 インターネットの商用利用はどんどん加速し、建設省の電子的データ交換(EDI)で受発注を行う建材データベース計画や、電子商取引で電子決済を行うサイバーシティなど、インターネットでは「今はまだ出来ないこと」が物凄い勢いで「もうじき実現すること」に変わってきています。
 日本のインターネットの第2段階が始まろうとしています。誠文社もこの 11月に、地球堂を統合したイントラネット環境に移行する予定です。高度情報化社会での企業活動は、地図とコンパスを片手に目的地を目指して進むオリエンテーリングに似ています。誠文社は、情報化の正しい方向を一緒に考える「オリエンテーションとコンサルテーション」を進めて行きたいと考えてます。

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