24時間営業の
『情報ブランチ』へようこそ

株式会社 秋田銀行
営業本部 情報開発室
主査
 石垣 浩之 氏


 1年前は、インターネットの‘イの字’もわからなかった私が、なぜか、当行のホームページ制作にかかわることになり、それまで行ったことなどなかったコンピュータ専門店に出向き、あの本、この本と買い漁り、わからなければ、県内の先行業者のみなさまに問い合わせ指導を受けるという毎日が、今思えば、苦しくも楽しくもありました。
 せっかくいただいた機会ですので、当行がホームページを開設するまでの経緯を紹介させていただこうと思います。

1.お客様とのコミュニケーションチャネルの1つ(総論段階)

 商売をする者にとって、お客様とのチャネルは多いにこしたことがありません。私たちは、インターネットホームページを、お客様とつながりをもつ上での1つのチャネルとして位置づけました。 チャネルになり得るかという議論も当然あったわけですが、個人市場でのパソコンの浸透度、そして、その利用目的を推測すれば、チャネルと認めないことによるデメリットの方が、かえって多いようにさえ思いました。
 それに、24時間開放しているオープンチャネルです。お仕事の関係で、営業時間内に当行を知っていただけないお客様ともコミュニケーションのチャンスがあるのです。
 「間口を広げておく」必要性を認識した以上、手掛けないわけにはいかないのでした。

2.チャネルだからこそ中身の吟味が必要(各論段階)

 インターネット上にホームページを掲載することは、きわめて能動的なことです。まずは、掲載する側が、情報を提供することによって、チャネルとしての道筋をつけなければならないからです。
見てくれるかなあ?「役に立ってるよ。」って言ってくれるかなあ?道筋をつける側にすれば、当然の不安です。
 そうは言いながら、いくらアクセスしてくれる人のニーズを探ってみても、結果、こちらサイドでの判断の域を脱するものではありませんので、‘万人ウケ’するものなどできるはずもありません。要は、当行の「色」を出してホームページの性格付けを行えばよいと考えたのです。
 その上で重要視したのが、明確なコンセプトの構築ということでした。アクセスしてくれた人たちに、「ここの売り物はこれだな。」と感じさせることができる内容でなければなりません。また、ネットサーファと言われる方々は、自分に好都合な情報を‘つまみ食い’していきますから、できるかぎり選択肢を多く用意しておくことも合わせて必要だと考えました。私たちは、「情報・相談業務」を柱として、経営者向け、一般顧客向けの2つの入り口を設け、少し欲張ったかなと思う程度の情報フィールドを準備したのです。

3.ようやく開始、結構アクセスしてくれるもの(運用段階)

 総論・各論段階を通算すると、5か月程度の時間を要しました。地元紙をはじめ各紙で紹介していただいたこともあり、初日(9月6日)から相当件数のアクセスがありました。その後も、平均したペースでアクセスしていただいているようです。
 ただ、このペースを持続するためには、当然のことながらアイデアと労力が必要になります。何かと申しますと、掲載する側が、タイムリーに、必要に応じて形を変えて、情報を継続して提供できるかということです。ホームページをお客様との1つのチャネルとして位置づけるということは、提供する側の責任が大きいのは当然でありますし、私たちは、つねにこのことを意識して、今後とも、「おそらく使い勝手がよいであろう」ページを掲載していきたいと考えています。

4.雑 感

 今後のインターネット利用に関しては、「一体どうなるの?」というのが本音です。
 私たちが生きている間に、これ以上のネットワークが新たに形成される可能性はきわめて低いと思います。
 だから、何か潜在的なチャンスがあるだろうということも理解はしているつもりですが、こと商用利用という点に関しては、きわめて理想的なその可能性のみ議論されているようで、しっくりいきません。
インターネット上に、決済まで完結できるマーケットが形成されるのは時間の問題でしょうが、そこで商売ができる企業は、おのずと限られてくるように思います。顧客情報量とその蓄積の有無がポイントになるような気がします。
 地方に本拠地を置き、限られたエリアで商売する地方銀行にとって、どのようなマーケットを指向すべきか。目に見えない陣取り合戦だからこそ、慎重に考えてみることにします。

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