年頭にあたって
秋田県商工労働部長 深野 弘行 氏


 あけましておめでとうございます。新しい年を迎え、皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。
 昨年の本県経済をかえりみますと、製造業では、電気機械がパソコンや携帯電話の関連製品を中心にほぼ年間を通じて高水準の生産を維持したほか、住宅建設の活況などもあり木材・木製品も生産が回復するなどいくつかの分野で明るさが見られ、消費の面でも乗用車の新車販売が持ち直すなど、本格的とは言えないまでも、緩やかな回復が見られた1年でありました。
 また、秋田新幹線の愛称が「こまち」に決まり、「秋田花まるっ」大型観光キャンペーンが本格化するなど、高速交通体系の幕開けが迫り、コンテナ定期航路の活用による貿易活動の活発化、インターネットに代表される急激な発達を見せる情報技術・インフラを活用した様々な試みが行われるなど、新たな発展の可能性、方向性が感じられた年でもありました。
 しかしながら、海外製品との競合の激化、企業の生産拠点の海外シフト傾向の持続、大型小売店の進出の加速など中小企業を取り巻く環境の変化は依然厳しく、新しい時代に向けて解決しなければならない課題、問題も多く残されております。
 こうした中で、県としては、県内企業が、我が国全体が直面している構造変革に対応し、発展の契機をつかむことができるよう環境整備に努めてまいりました。具体的には、中小企業を資金面から支援するため融資制度を整備拡充したほか、県内企業のビジネスチャンスの拡大と新しい分野への挑戦を促進するための支援制度の創設、東京でのビジネスサポートセンターの開設、インターネット等地域情報ネットワークのインフラ整備、貿易ビジネスの拡大とコンテナ定期航路の拡充を目的としたポートセールス活動、また、官民一体となった「秋田花まるっ」大型観光キャンペーンを推進したほか、若者の県内定着を推進するためAターン推進事業や新卒者の県内就職の促進などに積極的に取組んでまいりました。
 本年は、来る3月22日には県民待望の秋田新幹線が開通し、秋には秋田自動車道が東北自動車道と結ばれることになっており、本県がいよいよ全国の高速交通ネットワークに本格的に組み入れられる大きな節目の年であります。これら高速交通施設の整備により、県内企業が全国に飛躍するチャンスが大きく開けてくることとなります。同時に、これは本県経済が全国の市場に組み入れられ競争にさらされることも意味します。全国あるいは全世界を視野に入れた経営戦略を構築し、競争力を強化していくことがこれまで以上に強く求められると考えられます。
 このような環境の変化を踏まえながら、間近に迫った21世紀に躍動する秋田を築き上げていくため、本年は次の施策を中心に取り組んでいきたいと考えております。
  1. 新しい中小企業支援システムを備えた中小企業支援センター構想の推進と、起業者や新分野に挑戦するベンチャー企業の育成・支援。
  2. 情報技術など新技術の活用による企業体質の強化への本県中小企業の積極的な取り組みに対する支援。
  3. 物、情報、技術など海外との多面的な経済交流の推進とコンテナ定期航路の一層の活用、拡充。
  4. 高速交通時代に通用する魅力ある観光地の整備と観光産業の育成。
  5. 新規学卒者の県内就職やAターン就職の促進、職業能力の開発、人材育成体制の充実、時短への対応。

 終わりに、本年が、本県にとって飛躍の年となり、明るい話題が数多い年となることを念願し、あわせて商工観光労働施策の推進に皆様からの特段のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、新年のあいさつといたします。

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