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企業変革をめざして
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公認会計士・税理士 加藤 永久 氏 |
とくに、中小企業の現状は厳しい。成長の行き場を失った大企業が、中小企業との共存関係に終止符を打ち始めているのである。流通業ではナショナルチェーンの地方進出が著しく、既存の店では黙っていればどんどん売上が落ちる。製造業においても消費低迷や円高による系列化の崩壊が業績に重くのしかかっている。今後、規制緩和が進めば、旧態依然とした経営ではますます衰退の道を逃れることはできなくなる。中小企業こそが生き残りをかけて企業変革を図らなければならない。 ところで、中小企業が、資本力があり優秀な人材を集めた大企業に正面切って立ち向かうのは、並大抵のことではない。やみくもに戦いを挑んでも体力を消耗するだけである。しかし、大企業にも弱点はある。@人件費の面など高コスト体質になっているA承認関係が複雑で意思決定に時間がかかるB現場の意見が経営に反映しにくいC責任の所在が曖昧で面倒なことはやりたがらないなどである。マニュアル化されたサービスは提供できても、やはり官僚的で機動性がない。 中小企業が、この弱点を克服できれば、大企業が対応しきれない分野、サービスへの参入はそう難しいことではない。価格とサービスで大企業を凌げる分野だってある。変革を遂げ、活力ある組織となって一点集中すれば、大企業にも負けない競争力が生まれる。現に成長を遂げ店頭登録をしている企業には、ある分野に特化したスリムな会社が多い。 1.抜本的改革…積上的な改善ではなく、ゼロベースで目標を設定し抜本的な改革をめざす。 2.顧客志向…顧客満足度を最大にするにはどの業務を重点的に改革すべきかを決定する。 3.プロセス志向…既成の組織や業界のルールにとらわれずに、業務の流れ自体を再編する。 4.権限移譲…人を変革に向けその気にさせる。 5.情報技術の活用…労働集約的な業務構造から情報集約的な業務構造へ変革する。 顧客のニーズに合わせて組織を作り直していくことが、これからの中小企業に絶対に必要なことではないかと思う。 そして、成長企業の経営者は運を持っている。どのような優秀な経営者をもってしてもつまずく会社がある。大企業でもその人のツキをみてトップを選ぶべきという議論があるくらいである。しかし、成長企業の経営者をみていると、どん欲に自ら運をつかもうとしているという気がしてならない。経営における運は、求めても来るとは限らないが、求めないところには来ないのかもしれない。 変革を求めない会社には、成長もやって来ないのではないだろうか。 中小企業の経営者、変革を求めてがんばれ! |