あなたの会社は大丈夫か
―これからの時代を生き抜く為に―
ミヤタ・ケイエイ・サービス
代 表 宮田 勉 氏


1.狂存狂栄から強存強栄の時代へ

 「手に汗して、コツコツ努力する正直者が馬鹿をみる(?)」ような金銭感覚マヒ、土地転がしで、目先の浮利を追う狂者が栄えたバブル経済。未だに、その後遺症に喘ぎ、日本経済は今、八方ふさがりの状態にある。
 これからの競争環境は、国際レベルでの土俵の同一化が急速に進み、力の強いよそ者との熾烈な「分捕り合戦」を強いられることになる。
 弱者必滅、適者強栄時代に生き残る為の自らの武器づくりが急務の課題である。

2.企業特性からみた経営のアキレス腱

●放っておけば、必ず悪くなる
 人間の体は、多少頭が痛くても、腹の具合が悪くとも、じっと我慢したり、休養をとるだけで良くなることがある。病原菌に対する白血球の働き、抗体ができているからである。
 しかし、経営上の問題点は、見て見ぬ振りをしたり、じっと我慢していても、決して良くならない。悪くなる一方である。

●弱いところでバランスする
 経営要素として、商品力・販売力・資金力・管理力をみた場合、いくら良い商品でも、販売力が弱ければ売れないし、資金力が弱ければ破綻する。
 経営は一番弱いところのレベルがその会社の実力である。

●経営の本質は「不安定」にある
 販売は、やってみて始めて、成果が確定する。前年までの得意先・ユーザーが、今年以降も、かならず来てくれる保障はないが、コスト(人件費・その他の固定費)は、売上げの大小にかかわず、予算≒実績で先が読める。
 「不安定」を如何にして安定確実化していくかが、販売努力であり、経営努力である。

3.つぶれる会社の共通症状

 「企業30年説」とか、経営の一般的ジンクスとして「初代苦労し、2代目資産食いつぶし、3代目でつぶれる」と言われるが、生き続けることは、なかなか難しいのである。(県内の創業100年企業は約30社)
 業績ジリ貧→慢性赤字→倒産していく会社の主な共通症状は、次の10項目に集約できる。
(1)数字がデタラメである(経験とカン依存の座頭一経営、粉飾決算)
(2)トップが優柔不断である(決断・実行力に欠ける脳軟化症)
(3)会社を食いものにしている(公私混同、同族臭のガン体質)
(4)トップ陣の意志不統一(足の引っ張り合い、2〜3枚岩経営)
(5)会社に特徴・個性がない(商品・販売地盤の歪み、セールスポイントなし)
(6)経営目標がアイマイである(秘密主義、旧態依然の労務管理)
(7)トップと社員間の相互不信(同床異夢・コミュニケーションギャップ)
(8)ブレーキがきかない(攻めに強く守りに弱い香車営業、自信 過剰)
(9)社員が無気力である(安住と惰性の澱み、糖尿病質体質)
(10)メイン・バンクが確立されていない(取引銀行が多い、医者嫌い)

4.経営格差は紙一重、「実行力」で決まる

 成長する会社と消えていく会社の差は、天と地の開きがあるが、日常業務上の人・もの・かね・管理の要素で比較すると、それ程大きな差はなく、紙一重である。
 伸びる会社の社員は、皆優秀で、扱い商品もバツグンであり、消えていく会社の社員はスクラップの集団で、扱い品も粗悪品か、というと、決してそうではなく、ほとんど差はないのである。
 紙一重の差が、長い成長過程の中で、結果として、大きな経営格差となる決定的ポイントは、「実行力の差」にある。
 「決めた事・約束した事をやる」ことが、会社の「気をつけの姿勢」であり業績向上の最大の武器である。
 「使命感なき会社は亡び、方針なき経営は崩壊する」を肝に銘じて、わが社は何の為に存在するか、価値提供は何かの社会的「分」をふまえ、すすむべき方向を明確にして、「サンショは小粒でもぴりりと辛い」、個性づくり・差別化を強力に推進することが、これからの時代を生き残る会社の基本条件である。
 自主・自律の精神に徹し切り、全社員の総力を結集して、現状の総点検による革新経営への突破口をつくれ!かならず道は開ける。

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