私達の住む秋田県は、西には日本海に面した広大な松原、東には八幡平駒ヶ岳、南に鳥海山、北には世界遺産として名高い白神山と海と山並みに囲まれたすばらしい自然の中で生活をしております。この優れた自然は先人達のたゆまぬ努力によって根気強く代々引き継がれてきたものであります。
このかけがえのない自然環境を保護し、さらに次世代に引き継ぐことが、私達の義務であり、その為には個々人として可能な限り自然保護活動を考えるだけでなく、即、行動に移さなければならない現状にきていると痛感するのであります。
さて、日本は1974年に「自然保護憲章」が策定されました。それは、人間が文明の向上を追うあまり自然の尊さを忘れ、自然のしくみの微妙さを軽んじ、自然は無尽蔵であるという錯覚から資源を浪費し、自然の調和を損なってきました。今こそ、人間は自然の厳粛さに目覚め自然を征服するなどという思い上がりを捨てて、自然を尊び、自然の調和を損なうことなく節度ある利用に努め、自然環境の保全に国民の総力を結集すべきであるとしています。
しかし、環境問題については経済発展が第一であるとの考えから、拡大に歯止めがかからず、世界的な規模として1980年代後半からオゾン層の破壊、酸性雨、森林の破壊、砂漠化、有害廃棄物の越境、海洋汚染、地球温暖化、野生生物の種の減少などについて重要性が認識され、この問題が年と共に悪化の傾向にあり、将来的には人類の存続さえ危ぶまれる事態となってきております。
そして、21世紀を目の前にした現在、やっと自然環境保護、自然との共生問題等の対応策が具現化されるような気運となってきております。
その具現化の一つとして、今話題の国際規格、ISO14001(環境マネジメントシステム)があります。この規格は、企業や事業者が自主的に環境への取り組みの方針を策定し、事業活動の環境への影響を評価し、方針に沿った改善の目的・目標を定め、そして計画、実行、監査、見直しなどを繰り返し、継続的な環境パフォーマンスの向上を図ることを定めた経営システム規格であります。
今このシステムは企業の持続的な開発・発展を願う企業人にとって有力な経営手法となりつつあります。それ故に、ISO14001は、今世紀最も優れた経営書の一つであると評価されているのであります。我々秋田の企業人も、現状を踏まえ、今私達は個人として何をなすべきか、企業として何をなすべきかを初心に顧って、冒頭述べた「自然保護憲章」の精神に立ち返り、自然をやさしく見つめ、愛することが第一と考えます。自然の持つ素晴らしさを理解し、自然の中の一人、自然の中の企業として位置付けることが大切なことと思います。例えば工場から排出される排水は薬品を使用せずバクテリアで処理し、汚泥は敷地内の花壇の堆肥に、きれいになった水は池に戻すことで、夏には蛍が秋にはとんぼが乱舞し、花壇には四季折々の草花が咲く姿を想像するだけでも心が和やかになってくるではありませんか。谷間の一滴が小川となりそして川となって海に注ぐように私達一人一人の行動が一つになったとき、環境問題の解決の糸口になるものと確信しつつ、自然を愛する事を次世代に引き継いでいきたいと願っています。花鳥風月は秋田の企業から…。
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