秋田の商店主に期待すること

有限会社コンサルティングハウス大野

中小企業診断士 大野 勉 氏(山形市在住)



 現在の商業環境を表現する言葉として、「みんなが一から出直しの時」や「玉石混交のオーバーストア状況」などの様にいわれています。
  ところで、秋田県内のいくつかの商店を見せていただいて感じたことは、個性のあるやさしい経営者が多いということです。別の表現をするなら、やさしいとは「妥協をしている」となり、さらに「マンネリ化した個性を大切に守っている」となります。現在の商品や店づくり、接客などに疑問を持ちながら、深く追求することなく同じことを続けていないでしょうか。
 過飽和のマーケットともいわれています。そして、秋田県内でも老舗の不振が見られます。昔おいしかった店、昔繁盛した店がなぜ生まれるのでしょうか。過飽和のマーケットでは、常に商品価値の判断基準を高めていかなければ、昔の店になってしまうということです。昨日の商品・サービス・情報・個性だけでは、下りのエスカレーターに乗っていることになるのです。一番の競争相手は自分自身であり、現状に満足することなく向上心を持ち続けることが大切です。
 一方、自信を無くしている商店主が増えていることと、経営の危機がわからず安心している経営者の両方が見られます。徹底的に現状を分析し、正しい現状認識を持つ必要があります。この時、比較の分析に偏らないことが重要です。平均や同業他店との比較からは、自店の目指すべき方向は見えてこないからです。秋田の経営者の長所である「こだわり」を基盤とし、他店にないものを追求し、消費者に一番近い店になってほしいものです。このような店を「専門店」と呼ぶのだと思います。

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