日本経済にとり、戦後最大の経済危機といわれる昨今ですが、私自身が会社を興してからまだ19年目ですので、不況という実体験は、オイルショック以来2度目の体験と言っていいと思います。しかし、いずれの不況時にも前年以上に伸びているのを考えると、不況という言葉のニュアンスは、私にとれば企業成長の大きなチャンスの時期かなと思っています。なぜなら、思い起こせば戦後のどさくさという時代があって、現在の戦後成長企業が生まれていたのです。企業創設者の燃えるエネルギーが優秀な社員と一体となってその時代にあった新しい形態の会社基礎を造ったのです。それが昨今の戦後最大の不景気という名の下に、自分の会社の創設期の苦労を知らず、歴史上の企業名にあぐらをかいてきた自己責任のない社員の多い企業が、どんどん淘汰されていっているのが現代ではないでしょうか。
国際貿易上、日本国内市場は不明朗で、規制緩和が必要だという外圧はよく聞きますが、ホントに自分の会社に当てはめたときに、この難局は乗り切れないと思ったら、逆にこの難局を楽しむ風を探してみたらいかがでしょうか。自分にしかないものは何で、それをもし一番手を組みたい人に提供したら、その手を組みたい人と一緒に次の大きな夢が見えるのではないでしょうか。大丈夫と思った日本の大企業もどんどん整理統合されていっています。大きいものが地方を飲み込んでいった時期はもう終わりかけているのではないでしょうか。
先般、某大商社の部長が「もう大の名の付くのは終わりなんです。これからは企業内企業、すなわち賢い中小企業の時代なのです」といっていました。これからは小企業が、いかに大企業に負けないネットを組み、各々が事業独立採算性を持って、何種類の新規能力を持てるかにかかってくるように思うのです。「町」とか、「農業」とかの様々なしがらみの「線」を自分で引いて、自分で閉じこもる時代は終わったのです。私自身一人ではなにもできませんが、私にない違う知識とパワーを持った同年代や、創設経営者と知り合うたびに、大きな明日が見えます。そして、そういう波動を感じた経営者や技術者とはいつか必ず手を組むことができます。
最後に、私の信条は、「ギブアンドテイク(まずあげます。もし余裕があったら私にも下さい)」です。どんな人ともまず相手を認めあい、まず相手のために何ができるか自分の技量を考え実行します。日本人という名の下に、貨幣価値の違う国に行く場合特に上記の心がけは忘れないようにしているつもりです。
「good is good」「best is best」。今、国を越えた個性的中小企業ネットワークの時代がこれから始まるのです。
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