昨今、「女性の時代」と様々な場面で言われておりますが、私の体験も踏まえながら日頃感じている秋田の女性の印象について書かせていただきます。
私は、目前に迫った50歳を前に、何か独立した仕事に携わりたいと考え、46歳の時に一大決心をして24年間の会社勤めを辞めました。そして、今までの経験を活かすことができる「社員教育(主として接遇・接客研修、販売促進)」と「美容」のアドバイザーという2本立ての仕事にチャレンジして、はや1年半が過ぎようとしております。「女1人で何ができるのか」と、自分自身でも最初は賭けのような気持ちでした。でも「やってみなければ結果は出ない」と決意して、第一歩を踏み出したのが平成9年8月、秋田ハローワーク主催の「接客、販売のテクニック」と題したレディース就職ガイダンスの講話からです。以来、1年半の間に企業や公的機関の新入社員教育や接客、接遇研修、婦人団体の接客とおしゃれの話、公民館主催の女性講座のほか、思いがけず成人式での講演依頼を受けたりもしました。最近では、シルバー団体からの接遇・接客研修や男性のおしゃれについてなど、幅広い範囲の仕事を頂くようになりとても感謝しております。
そもそも、某訪問化粧品会社で営業の推進教育に携わっておりましたので、人様の前で話すことについて抵抗はなかったのですが、何せ「物」ではなく、自分が身に付けた「知識」を売る仕事ですから、相手様の反応に不安がなかったわけではありません。しかし、訪問させて頂いた企業や公的機関のご担当者の9割以上が男性ですが、大変に積極的かつ快く私の自己PRを受け入れてくださいます。
「何のバックもない女性でも相手にしてくれる」という受け皿がこの秋田にもあるのだという手応えを感じております。「チャレンジしてみて本当に良かった」というのが今の私の偽らざる心境です。
しかし、前にも述べさせて頂きましたが、応対して企画や運営の相談をして下さるのはほとんど男性なのです。受講する皆様は、半数以上が女性で占められる場合が多いのですが、実質の企画や推進リーダーも男性がほとんどで、女性は非常に少ないのが現状です。
私自身は、女性が99%以上営業職を占める企業に勤務しておりましたが、そこでも上層部はほとんど男性でした。幸運にも私の場合は、入社5〜6年目から企画や教育推進の仕事に携わることができました。販売第一線の女性の立場も考えながらの業務は、とてもやりがいのあるもので、男女を問わず頑張れば誰にでもできることです。この経験は、今のアドバイザーとしての仕事に大変役立っています。
「女だから」という言葉の響きは、個人的に好きではありませんが、世の中の半分以上は女性です。性のちがいではなく、その人が持っている能力を生かせる活動の場がもっと広がることが、秋田の女性の社会進出を促進させることになるのではないでしょうか。
それには、女性自身も働くことに責任を持ち、能力を高める努力をするとともに、女性同士の労働環境もお互いに協調していくこと(女性の敵は女性とも言われる)と、男性社会に勇気をもって飛び込むことが必要です。そして、企業自体も女性の能力を活用していくことや女性を取り巻く不利な環境を改善することが求められていると思います。
女性の社会活動は、婦人団体やシルバーの女性の皆様に接してみて、むしろ男性の皆様より、意欲的で柔軟性に富み、かつ積極的な印象を受けます。幼稚園から大学まで男女差のない教育を受けたはずなのに、社会に出た途端にほとんどの女性が後退してしまい、男性の社会でコントロールされてしまう現実には残念な思いでいっぱいです。
これからの時代は、力強い男性社会とやさしい女性社会とが、うまく共存していく世の中に変わっていく必要があると思います。そして、組織の中で女性の能力を発揮させる場面を拡大し、優秀な人材を掘り起こしていくことがこれからの企業の生き残る必須の条件になるような気がします。
今年4月から男女雇用機会均等法が改正、施行されます。このように雇用形態や働き方といった労働環境が段々と整備されていくことで、秋田の女性の社会進出が進み、もっと活躍できる世の中になることを望んでいます。
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