分析というお手伝い

秋田県高度技術研究所
 原田 紀子 氏


近企業などの方々の機器利用をお手伝いする機会が増えています。頼りなさそうに見えますが、以前製造業で「化学分析」業務を3年ほど経験しています。それはものを作る会社にいながら、自社の「壊れた製品」を前に、「どうして壊れたか?」を毎日見つめる仕事でした。図らずも今の環境には、会社では手の出せなかった高価な分析機器が並んでおり、“これがその装置かぁ”とはじめの頃は感嘆とため息が出たものでした。
 私どもが一般企業の皆さんに提供している“機器利用”というサービスがあります。これは私どもの研究所で所有している装置を利用していただけるシステムです。私どもでは利用者からお話を伺って、知りたいデータを測定できる装置や方法を検討し、装置を使っていただく事になります。装置の操作や、データ解釈などの専門的なことは私どもでサポートし、利用者は測定から結果までを研究員と一緒に行い、必要なときにはその後に続く分析・手法についても検討します。操作に習熟していただくと、測定をご自身にお任せするようになります。利用者が考え、操作し、結果を出すという点で依頼分析機関とは異なり、喜んでいただいております。
 大変意欲的な方(会社)もあれば、急場しのぎで答えが欲しい場合もあったり、結構繁盛?しています。もっといろいろな方々に利用してほしいと思う反面、心がけていただきたいと思うことがあります。それは、“何を知りたいか?”を明確に持って臨むことです。測定は問題解決のための“指標”であり、この後に対策や、工程の変更、新しい実験などの方向を決めの1つの手段なのです。知りたいこと、やりたいことなどの明確な目的が最善の測定結果を導くのだということを。
 はじめて見るサンプルや、測定のしにくいサンプルなど、こちらも新しいサンプル・状況に接するたびに様々な経験が蓄積され、その都度勉強させてもらっております。
 もちろん残念ながら知りたい結果を出せない場合や、測定に向いた装置がない場合もあります。それでも納得のいく結果を提供できるような分析の“お手伝い”を心がけています。そして次に何をしたらよいのかがわかる測定を提供することも、私どもの大切な役割と考えております。
 今、何が知りたいですか?あなたの知りたいこととサンプルの知識があれば、分析・解析の知識がなくともご利用できます。お役に立てるかどうかの保障はありませんが、分析のお手伝いをさせてもらえませんか?

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