「前もって調べておけば良かったのに」「もう少し資料を集めて検討しておけばそんな間違いをしなかったのに」等の言葉は日常よく聞かれる言葉です。これらの言葉を言い換えますと、「行動を起こすための情報が不足していて、正確な判断を下すのが間違ってしまった」ということになります。すなわち、「情報」の原因によって「意思決定」(Decision Making)に間違いがあったのです。
「意思決定」は誰もが毎日行っている行動で、例えば東京へ出張するのに利用交通手段を「飛行機」にするか、「JRのこまち」にするか、あるいは「高速バス」にするかを考える時、多くの人はこれらの交通手段について「情報」を集め、自分なりに整理するはずです。そして、「目的地までの所要時間」「運賃」等が比較され、さらに「安いけど疲れそうだ」「ターミナルから目的地までの交通の便が悪い」等、様々な要因が加味され、最終的に1つの交通手段が選択されます。
このように、行動を起こす時、必ず意思決定が伴うわけですが、上述の場合、仮に手段選択を後悔したとします。「安かったけど疲れてしまった。やはり◯◯にしておけばよかった」等のごとくです。これは個人レベルの問題ですが、企業ともなれば、「あの場合△△にしておけば良かったのに」が続きますと、これは社運をかけた大問題になります。すなわち、「意思決定」に多くの間違いがあれば、即座に利益に影響し、最悪の場合「赤字」「倒産」などに結びつく恐れがあるからです。
したがって、従来から企業においては「市場調査」「社会経済の動向」等あらゆる分野の「情報」を収集し、「意思決定」の参考にしてきたわけで、「情報」によって成功した例もあれば、逆も多々あるわけです。近年では、「情報」の価値は高く、大企業のみならず、中小企業、はては個人経営の商店までがコンピューターによる顧客管理、在庫管理等を行い、サービス水準向上を目指すとともに、さらに「消費者ニーズ」の把握なども行なっています。一方、消費者サイドも、従前に比べ多くの「情報」が瞬時の内に入手可能で、消費行動の意思決定に間違いのない「賢い消費者」が育成されています。全くの「情報化社会」到来です。
したがって、これからは企業にとってはあらゆる側面で調査あるいは情報収集が重要な価値を占めることになるわけですが、幸いパソコンならびに関連ソフトが近年非常に充実しており、後は各自、各企業がどのような手段で情報を入手し、どのように分析し、それをどう読みとるかの能力がより一層問われてきます。
私の研究室は一般に言われる「社会調査」を通して、地域あるいは都市を分析するケースが多く、計画策定のための多量の資料を得ます。この時、やはり分析目的に合致した有効な資料と手法を駆使します。得られた分析結果が実際に活かされるとき、分析の喜びがわきますが、これが企業の立場ならさしずめ「意思決定」の成功ということになるのかもしれません。
|