株式会社アルテ

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 企業イメージの向上、ブランドの確立など、目に見えない部分でのデザイン力が注目を集めている今日、平成15年には経済産業省内に「戦略的デザイン活用研究会」が設置され、デザインを武器にした製品・サービスの高付加価値化・差別化のための提言等、デザイン政策推進のためのさまざまな取り組みがなされています。今号では、秋田市にあるデザイン企業 株式会社アルテ 代表取締役 時田和幸氏より同社の活動・事業展開についてお話をうかがいました。


企業の明日をデザインする 代表取締役 時田 和幸

代表取締役
時田 和幸


■ エンドユーザーの心つかむデザイン
 同社は、平成14年に設立されたばかりの若い企業だが、既に多くの実績と高い評価を得ている。代表の時田さんは、電子機器メーカーに勤務していたサラリーマン時代、携帯電話の開発を通じて、製品の性能・機能以上に、製品の外観・スタイルなどのデザイン性が販売戦略の中で重要な位置を占めることに気づいたという。そして、秋田公立美術工芸短期大学(秋田市)でデザインを学び、独立・起業を果たした。「新しい製品・商品が市場に受け入れられるか否かは、エンドユーザーの心をつかむことができるのかにかかっている。製品の技術レベルに大きな差がなくなりつつある今日、デザインはマーケティングに大きな影響を与える」という。このコンセプトのもと、同社では、企業などのロゴマーク・モニュメント等、CI(コーポレート・アイデンティティー:統一的なブランドイメージ)の創出に精力的な活動を展開している。例えば、誘致企業であるプレステージインターナショナル秋田BPOセンターのオブジェは、同社在籍のデザイナーが手がけたもので、多くの応募件数の中から同社のデザインが見事大賞を受賞し、プレステージインターナショナルに採用された。「誰が見ても理解できるグローバルな視点で、世界に羽ばたく企業をイメージした」という同社デザイナーの奈良純嗣さん。また、同じくデザイナーの福森普子さんは、企業やイベントなどのロゴマーク制作能力を世界的に高く評価されている注目のデザイナーだ。秋田公立美術工芸短期大学在籍中の平成15年には、我が国で開催された「第三回世界水フォーラム」のロゴマークに、世界70ヵ国、応募総数2,098件の中から福森さんの作品が最優秀賞に輝き採用されるなど、世界レベルのアートデザイナーとして、その能力をいかんなく発揮している。同社のポテンシャル、それは、顧客が求めるコンセプトを実際のカタチに忠実に再現することができる優秀なデザイナーがいることといえよう。 株式会社アルテ
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■ 目に見えるモノから、目に見えないコトのデザインへ
株式会社アルテ  経済産業省が行っている「特定サービス産業実態調査」によると、平成15年におけるマルチメディアを除くすべてのデザイン業の事業所数は、対H12年比11.0%の減少、また、年間売上高は、対H12年比14.1%減少し、中でもグラフィック業については、対H12年比15.3%の減少とその落ち込みは大きく、業界の厳しい実態を浮き彫りにしている。この状況の中、「デザインとはヴィジュアルな効果的な絵を描くことだけではないはず。目に見えるモノから、目に見えないコトのデザインもこれからの時代は必要」という思いから、同社はブランドの創造、イベントの企画立案・運営などのコンセプトデザインへ活動の幅を広げている。特に今精力を注いでいるのは、次世代を担う若者を対象としたアントレプレナーシップ育成事業だ。これは、自ら判断・決断し、既成概念にとらわれない見方・創造力を備えた未来の起業家を育成するもので、同時に、創業以前の構想段階、新事業を展開する起業家を対象に、事業成功のための支援、プレ・インキュベーション活動も展開している。「今日、我が社があるのは多くの市民の協力のおかげ。その恩返しとして何ができるのか。こう考えたとき、対費用では計ることができない何かがあるはず」と人材育成活動にかける意気込みを語った。
■ 中小企業こそブランド・デザインを活用した経営を
 商品販売、ブランドイメージなどの企業戦略、街づくり、イベントなどコンセプト設計において、デザインの果たす役割は今後さらに大きくなると予測されている。最終消費財製造企業を対象に行った「国内生産に当たり付加価値向上のために重視するもの」についての調査結果(経済産業省)によると、第一位「技術の向上」、第二位「ブランドの活用」、第三位「デザインの活用」と、企業がデザイン活用に大きな期待と関心を寄せていることを示している。しかし、デザインに対する県内企業の意識は「いまだ高いとはいえないのが現状」と時田さんは言う。「ブランドの活用というと大企業の戦略で、中小企業には縁がないと思われがち。しかし、中小企業こそブランドの確立とデザインを生かした経営戦略が求められるのではないでしょうか。秋田の企業のサポーターとして世界を見据えた活動をする、そんな会社を目指したいですね」。

CORPORATION DATA
株式会社アルテ
代表取締役 時田和幸
〒011-0945 秋田市土崎港西3-9-15
チャレンジオフィスあきた303
TEL:018-880-5780 FAX:018-880-5782
E-mail:arte@a-coa.jp
URL:http://www.arte-akita.jp/