タイトル-特集
貿易・投資促進を通じての地域経済活性化支援をめざす
ジェトロ秋田貿易情報センター JETRO
 近年、経済のグローバル化と技術の高度化に伴い、中小企業においても国外市場をターゲットにした活動が活発になってきました。今回は、日本の貿易振興を総合的に推進しているJETRO(ジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構))、特にジェトロ秋田貿易情報センターの取り組みをご紹介いたします。より大きな市場に躍進したいとお考えの県内企業、各国の貿易概況を経営に役立てたいとお考えの方、ジェトロの取り組みを活用してはいかがでしょうか。
ジェトロとは?
 もともとジェトロは、諸外国との調和のとれた貿易の発展を図るための中核機関として、1958年(昭和33年)に政府全額出資の特殊法人日本貿易振興会として発足しました。2003年(平成15年)10月からは、独立行政法人日本貿易振興機構として生まれ変わりましたが、英文名称は特殊法人時代と同じくジェトロ( JETRO ; Japan External Trade Organization)を使っています。
 独立行政法人日本貿易振興機構の設立目的は、「わが国の貿易の振興に関する事業を総合的かつ効率的に実施すること、並びにアジア地域等の経済およびこれに関連する諸事業について、基礎的かつ総合的な調査研究並びにその成果の普及を行い、もってこれらの地域との貿易の拡大および経済協力の促進に寄与すること」ということになります。(日本貿易振興機構法第3条より)
 こうした目的を遂行するため、現在ジェトロは、東京本部、大阪本部に加え、日本国内に36の事務所と付置機関としてアジア経済研究所をもち、海外には56ヶ国に74事務所をもっています。役職員の数は、国内810名、海外800名の計1,610名です。組織についての詳細はジェトロのホームページ(URL:http:/www.jetro.go.jp)をご覧下さい。
ジェトロ秋田貿易情報センターとは?
 ジェトロ秋田貿易情報センター(以下「ジェトロ秋田」)は、ジェトロの国内事務所36の中で、現時点で4番目に新しい事務所として、1994(平成6)年10月1日に設立されました。ジェトロ秋田より新しい国内事務所としては、鳥取(平成8年設置)、大分(同平成9年)、岐阜(同平成12年)の各貿易情報センターがあるだけです。
 ジェトロ秋田は、辻兵吉氏を会長とし、常勤スタッフとして所長1名、所員2名、アドバイザー1名の4名体制をとっています。 事務所運営資金は、ジェトロ本部からの予算に加え、秋田県、秋田市を始めとして秋田県内の全市町村からの負担金によって賄われています。
ジェトロ秋田の機能
 ジェトロ秋田は、ジェトロが国内外で収集する経済・貿易関連情報の秋田県内への伝達・普及機能や、国内外で実施されるセミナーやイベント受付・窓口機能の他に、ジェトロ秋田独自の機能を有しています。
 それは、(1) 貿易・投資関連の相談受付、(2) 秋田県産品の輸出促進に係る事業の実施、(3) 秋田県内への海外からの投資誘致に係る事業の実施、(4) 貿易実務や海外市場等に関するセミナーの開催、(5) 秋田経済の国際化支援に係るさまざまな事業および啓蒙普及活動、といった事柄です。
ジェトロ秋田の主要事業
 これらの機能に基づいて、ジェトロ秋田は各種の具体的な事業を実施します。これらの事業の多くは、秋田県や秋田市を始めとした秋田県内の地方自治体、あるいは社団法人秋田県貿易促進協会、秋田県環日本海交流推進協議会、財団法人あきた企業活性化センター等の関係機関との共催、もしくはそれら団体の後援などの協力を得て実施されています。
 それでは、ジェトロ秋田が具体的にどのような事業を実施しているのか、2005年度を例にとりながら、ご説明します。
(1) 貿易・投資相談の受付
 ジェトロ秋田では、日常の貿易・投資相談にきめ細やかにお応えすることこそ、秋田におけるジェトロのレゾン・デートル ※1 の筆頭に挙げられるべき項目であり、ジェトロ秋田のプラットフォーム ※2 事業であると考えています。すなわち、日常の貿易・投資相談にきめ細かく対応することで、秋田県内の貿易・投資ビジネスの実情を把握するとともに、不足している情報ニーズの把握とジェトロ内外ネットワークを駆使しての情報提供、そしてセミナー・テーマの選定、新規事業立ち上げなど、ジェトロ秋田の事業全体へのゲートウェイ ※3 としての役割を同時に果たすことになるわけです。
 実際、東京・大阪以外に36ヵ所あるジェトロの国内事務所の中でも、ジェトロ秋田が処理する貿易相談案件は、名古屋、横浜、福岡といった大都市圏に次いで、常に上位を占めています。

 ※1 レゾン・デートル: raison d'etre/存在理由、存在意義、存在価値
 ※2 プラットフォーム:platform/基盤、基礎
 ※3 ゲートウェイ:gateway/導入口

(2) 輸出促進関連事業
 ジェトロはもともと輸出促進を眼目として誕生した組織ですが、80年代から90年代半ばにかけては、わが国の膨大な貿易黒字を背景として、むしろ輸入促進を事業の柱に掲げてきました。90年代半ばからは海外からの投資誘致、そして21世紀に入ってからは再び輸出促進に力を入れるようになってきました。但し今回の輸出促進は、かつての外貨獲得を主眼とした輸出促進ではなく、わが国の中小企業支援という色彩の強いものとなっております。
 2005年度より新たにスタートした事業に輸出有望案件発掘支援事業があります。これは、a.機械、b.繊維製品、c.伝統産品、d.環境・バイオ・福祉関連機器、の4分野を対象として、全国各地のジェトロ貿易情報センターが今後の輸出可能性が大きいとして案件申請した中小企業製品に対し、輸出有望案件発掘専門家11名の中から選出された各案件担当専門家が、個別に輸出成約に至る貿易実務や商談の進め方についての具体的なアドバイスを行う、というものです。案件によっては専門家が本事業対象企業などに同行して海外で行われる商談の場に立ち会い、「輸出担当部長」のような立場から経営者、担当者を補佐することもあります。
 2005年9月には、本事業を推進するための受け皿として、行政、貿易関連団体、金融機関、学術機関などの代表によって構成される秋田貿易促進協議会を組織、同協議会の場において本事業対象企業の選定や対象となった企業における事業進捗状況の報告を行っております。現在、上記4分野のうち、秋田県では a. 機械と c. 伝統産品の2分野を中心に事業を進めており、特に機械分野においては、全国で最初の成功事例となった、にかほ市の株式会社テクトの台湾向け半田装置の輸出成約を手がけました。
 秋田県や秋田県貿易促進協会が派遣する各種輸出促進ミッションにも積極的に協力しています。2005年10月に同協会が派遣した台湾・香港市場調査・商談ミッションに参加するとともに、ジェトロ香港センターではミッション一行に対して現地経済事情を説明するなどの協力を行いました。
 また、県産業経済政策課の活き活き物産応援チームが2006年3月に米国に派遣した日本酒輸出促進ミッションにも同行するとともに、ジェトロ・ロサンゼルス・センターやジェトロ・ニューヨーク・センターで現地市場説明やアポイントメント取得を行うといった形で協力しています。
 さらに、中国・上海で和食材スーパーマーケット・チェーンを展開する上海石橋水産品有限公司の石橋社長を講師に迎え、「中国(上海)向け食品輸出セミナー・商談会」を開催しました。これは実践的なセミナーに個別商談会をプラスしたもので、輸出型セミナーの新形態として注目されました。
(3) 海外からの投資誘致関連事業
 小泉首相は2003年の施政方針演説において、今後5年間で対日直接投資残高を倍増させ、13兆円とする目標を発表しました。外資系企業はわが国に新しい経営・技術、ノウハウ、ビジネス・モデルをもたらすと考えられ、急速な経済グローバル化の中で少子高齢化に直面するわが国経済の活性化に重要な役割を果たすと期待されているのです。
 ジェトロは、この政府が提唱する対日直接投資残高倍増計画を推進するための中核的機関としての役割を担い、各種の事業を展開しております。残念ながら現在までのところ、秋田県内には海外からの直接投資の実績はありません。ジェトロ秋田としては、県が推進する「あきたリッチプラン ※4 」を踏まえ、海外の企業が対日直接投資を考える際、秋田をその候補地のひとつとして考えさせるためには、国際広報、対外情報発信を通じ、海外に秋田の優位性、企業・工場立地についてのメリットを訴えることが最も重要であると考えます。
 2005年9月には、こうした課題の対応策として、有識者・関係団体代表をメンバーとする秋田投資促進協議会を発足させ、四半期に1回のペースで情報交換、意見集約を行っています。今後は、こうした限定されたメンバーによる協議会に加え、広く秋田県民一般を対象とした投資誘致促進セミナーを開催し、海外からの直接投資誘致の重要性、メリットについて啓蒙普及していきたいと考えています。

※4 あきたリッチプラン:県(商工業振興課企業誘致室)で行っている企業立地のための優遇制度。県誘致企業に対し、設備補助や設備・リース補助、融資等の優遇を行うことで、秋田県への新規立地を促進する。

(4) 貿易実務や海外市場等に関するセミナーの開催
 貿易実務に関しては、従来より「一日で分かる貿易実務講座」を県内主要都市で開催しています。2005年度は「受講者参加型・一日で分かる貿易実務講座」を企画・開催しました(受講料:一般2000円、ジェトロ・メンバー1,000円)。従来からの講義形式に加え、ロールプレイによって、受講者がゲームに参加するような感覚で貿易実務の流れを身につけてもらおうと考案したもので、受講者の好評を博しました。
 その他、下表のような市場別セミナー、特定テーマのセミナーを開催しました。
2005年 5月 台湾経済セミナー (秋田県貿易促進協会と共催)
    安全保障貿易管理説明会
  8月 中国経済セミナー (秋田県貿易促進協会と共催、能代市)
  9月 中国における知的財産権保護の対策と留意点 〜農産物・食品を事例に〜
2006年 1月 インド・ベトナム経済セミナー (財団法人海外職業訓練協会(OVTA)等と共催)
(5) 国際化支援に係るさまざまな事業および啓蒙普及活動
 秋田経済の国際化を支援するため、県内で開催される様々なイベントに展示広報参加をしております。
2005年 7月 第3回秋田港貿易フェア
  北都ビジネスフォーラム・第7回ビジネス商談会
  10月 能代産業フェア2005
    大仙市秋の稔りフェア
 また、求めに応じ、所長が外部のセミナー等で講師を務めることもあります。仙台国税局が秋田市内で開催した「酒類の輸出促進研修会」において『日本酒に魅せられる米国』と題する講演を行ったり、財団法人秋田県市町村振興協会秋田県市町村国際文化研修所の求めに応じ、「第29回国際理解講座」において『地方発国際広報の時代』と題する講演を行いました。 八竜中学校の生徒さんが社会科の実習で当センターを訪問された際に、所長から「秋田県の貿易」をテーマにお話させていただいたこともあります。
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ジェトロのメンバー制度
 ジェトロ秋田では、秋田県民ならどなたでも気軽に受けられるサービスを提供しています。例えば、貿易・投資相談やジェトロ秋田が主催するセミナーへの参加などは、基本的に無料です。
 他方、より充実したジェトロ・サービスを利用するための有料メンバー制度もあります。代表的なものとして、『ジェトロ・メンバーズ』があります。会員には、海外の最新経済ビジネス情報「通商弘報」を毎朝Eメール配信する他、月刊国際ビジネス誌「ジェトロ・センサー」等の送付、ジェトロ調査資料の中からご興味のあるものを年間8冊選んでいただき送付する、といったサービスを行っています。この他、会員向け講演会の開催や、その他のサービス(海外ミニ調査サービス、海外ビジネスアポイントメント取得サービスなど)での会員優遇制度を設けております。
 メンバー制度には、他に『中国経済情報研究会』、『農水産情報研究会』というものもあります。
各メンバー制度の会費
ジェトロメンバーズ 年会費 7万3,000円
中国経済情報研究会 年会費 12万6,000円
農水産情報研究会 年会費 5万2,500円
ジェトロの上手な利用法
 これまで、ジェトロの生い立ち、ジェトロ秋田の活動などについてご説明してきましたが、最後に、ジェトロを上手に利用する、とっておきの方法をご紹介しましょう。
 それはまず、ジェトロのウェブサイト、http://www.jetro.go.jpを訪問することです。いきなり英語のトップページが出てきますが、恐れることはありません。「Japanese」をクリックすれば日本語のトップページに移ります。ここからジェトロが提供するあらゆる情報にアクセスすることが可能なのです。
 中でもお勧めなのが、『世界は今』というページです。これはジェトロが毎週制作・放送する30分CS放送番組で、パソコンから誰でも音声付映像を見ることができます。 ※5 この番組を見れば、世界80カ所のジェトロ・ネットワークを駆使して収録した最新映像によって、最前線のビジネストピックスを分かり易く吸収することができます。また、トップページには世界地図が掲げられていますが、各地域から入り、各国までクリックしていきますと、国別の経済・制度情報に誰でも簡単にアクセスすることができます。例えば、中国の経済・制度情報にアクセスしようと思ったら、まず世界地図上から「アジア」をクリックし、次いでアジア各国の国名の中から「中国」を選択してクリックすればよいわけです。
 次に、秋田県に関連する国際ビジネスや貿易・投資関連情報を入手する場合はどうでしょうか?まず、ジェトロ秋田が月2回のペースで発行するEメール情報、『ジェトロ秋田ニューズレター』を購読いただくことです。
ジェトロ秋田ニューズレター
お申し込み先 Eメール : aki@jetro.go.jp
購読料 無 料
 また、貿易・投資相談は、Eメール、ファックスで受け付けております。ジェトロ秋田に直接おいでいただいても構いません。その場合は事前に電話でご連絡ください。当センター・貿易アドバイザーが対応致します。

※5 パソコンへのReal Playerなどの映像ソフト搭載が前提となります。

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