経営探訪 株式会社シマックス
顧客ニーズを捉えた自社開発製品でアジア市場に進出
株式会社シマックス 株式会社シマックス
株式会社シマックス 株式会社シマックス
デジタル調節計「MAC3」の開発まで
 温湿度制御機器は、空調設備、バイオ・環境試験装置、廃棄物処理用焼却炉、生鮮食品や果物用保冷庫など産業用を中心に様々な分野の温湿度制御・管理に利用されるもので、大型の機械装置に組み込まれることが多いことから、制御レベルの高さやトラブルの少なさなど極めて高い精度と信頼性が要求される機器である。
 株式会社シマックスでは、1999年の設立当初は、国内装置メーカーなどからの委託生産を中心としていたが、製造の海外シフトが進む中で国内需要が必ずしも安定していなかったこともあり、自社の技術力、企画力を活かすため自社開発製品の製造・研究に取り組んできた。そのころから、計測器展示会での海外企業からの引き合いがあったり、開設して間もないホームページに海外からの問い合わせがあるなど、特にアジア地域における日本製工業計測機器などの精密機器に対する信頼度の高さを感じていた。徐々に市場として有望との判断を強め、デジタル調節計「MAC3」の商品化に向かっていった。
株式会社シマックス 「MAC3」の商品開発コンセプトは、顧客ニーズの徹底的な吸収であった。島村社長は、海外との取引を進めるにあたり、代理店だけでなくエンドユーザー50先以上を回り、必要とされる仕様、機能、価格など様々な情報の収集・分析を行ったという。その結果生まれたのが、コンパクトなボディに豊富なオプション機能を用意し、信頼性と低価格を実現した「MAC3」だという。
顧客ニーズ実現のために
 「MAC3」の低価格と信頼性を実現させたのが、品質の重要なポイントとなる30項目以上の調整と検査の自動化であった。温湿度制御装置はセンサーから送られてくる電気信号を元に機械をコントロールする必要があるため、回路の調整と検査が品質を決める極めて重要な要素であり、これまで最も時間を費やしていた工程でもある。
 同社は、製品の中心となる基盤のサイズを統一することで、ボディサイズの違う製品もまったく同じ条件で調整・検査することを可能にした。同時に、検査機器を自社開発し、新商品すべての自動検査を可能にすることで大幅なコストダウンを実現したのである。
株式会社シマックス 株式会社シマックス
株式会社シマックス 株式会社シマックス
株式会社シマックス
株式会社シマックス 株式会社シマックス
好調を続ける輸出、次はロシア、そして
株式会社シマックス 島村社長は、「現在、自社製品の売上比率は60%と急激に増加しており、自社製品中の海外比率は80〜90%となっている。販売数は第1四半期で当初計画の倍、第2四半期でさらに倍増と順調に推移している。従業員10数名の会社でも顧客ニーズを捉え信頼される製品を提供できれば、世界を相手に取引できることが証明できた」と、大きな契機となった輸出戦略の進展に自信を見せている。
 また、新商品開発については、現在の取引にかかる商品ラインナップは全体の約2割程度で、8割は未だ開発の余地があるという。先ずは海外市場の拡大、確立が優先だ。そして、今後顧客ニーズの収集・分析を進め、タイムリーな商品開発・提供に繋げたい考えだ。
 本年11月には、新たな代理店発掘のためロシア訪問を計画している。既に100社程度のリストアップを終え、20社にダイレクトメールなどを通じてアプローチしているという。来年以降は、インド、ニュージーランド、オーストラリアへの進出も視野に入れ、積極的に販路開拓を進めるという。

自社の存在価値と可能性を海外に求め、大きな飛躍を遂げようと意欲を燃やす株式会社シマックスの今後の活躍に期待したい。

CORPORATION DATA
株式会社シマックス
代表取締役 島村 和義
〒014-0011大仙市富士見町11番5号
TEL:0187-86-3400
FAX:0187-62-6402
URL:http://www.shimax.co.jp