経営探訪 株式会社環境フロンティア
多自然型工法による河川工事から地球環境を考える
株式会社環境フロンティア 株式会社環境フロンティア 株式会社環境フロンティア
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起業のきっかけ
 「究極の目標は、環境破壊を食い止めるビジネスを行うということです。簡単に言えば当社の製品を使うことによって地球上の『ゴミ』が少しでも減る、このようなビジネスが出来ればいいと思っています」。
 照井英二さんは、主に河川工事用に使用するある建設資材と出会い、株式会社環境フロンティアの立ち上げに参画した。「趣味が渓流釣りということもあり、川には子供のころから親しんでいました。その川の印象が年を重ねるごとに変わっていく。例えば、ある夜、家からほど近い川にたまたま降りてみる。ホタルがいない。「アレ?」って思いましたね。注意して見るとこの間までいたはずの魚の姿も見あたらない」。
あらたな多自然型工法との出会い
 “ダクタイル鋳鉄製パネル枠工法”非常に覚えにくい名称であるが、この工法の主要資材であるパネル型の護岸補強材こそ、照井さんが出会った建設資材であり、その瞬間に「全国的にも活用例が少なく、ビジネスとして成り立つ」と直感したそうだ。また、「国や県が行う河川改修工事は、いわゆる『多自然型』の工法を取り入れるようになって久しい。昔のように護岸をコンクリートでガチガチに固めてしまう工法では、川に魚が住めなくなってしまうんですよ」。
 「ダクタイル」とは、「丈夫でしなやか」という意味の形容詞であり、「鋳鉄」とは、炭素・マグネシウムなどを含んだ鋳物用の鉄のことである。主要成分が鉄であるため、水や空気に触れることにより酸化する。その酸化により、酸化第2鉄として溶出し、フラボ酸などの「栄養素」が自然界に還元される仕組みである。このことにより、植物プランクトンや藻類の繁殖が活発化し、緑が増え、魚が戻ることが期待できるのである。
水質環境改善への思い
 ダクタイル鋳鉄製パネルは、1枚25cm×50cmの格子型で、4枚1組で立法体を形成して使用する。1枚が4kgと非常に軽量であるので、河川などの施工箇所の形状に合わせて、人力で、どのような形状にも組み合わせることができる利点がある。河川の元来の形状を壊すことなく、自然を自然のまま施工することが出来るのである。しかし、照井さんは「それだけではない」と胸を張る。「最も申し上げたいのは、この工法が水質浄化に貢献しているということなんです」。前述のとおり、格子型パネルを4枚1組の立法体に形成するので、空間部分に中詰めできる構造となっている。基本的には、河川工事から発生する残土石などを詰めるのであるが、汚濁の著しい河川での使用にあっては、その中に木炭を詰めることにより、水の脱色・脱臭を助けるように施工し、残土石と併せて、本来産業廃棄物として処理しなければならないコンクリート・ガラなどの建設副産物を詰めることにより、水中の細かい浮遊物質(リン・窒素有機物など)の汚染の元となる物質が、吸着除去されるのである。
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本格的な環境ソリューション企業へ
 創業から1年ほど経過し、公共事業である河川改修工事をサポートし、民間企業の排水工事等のサポートも手がけている株式会社環境フロンティアであるが、照井さんは、「まだまだこれから」と言う。「『ダクタイル鋳鉄製パネル枠工法』に出会ったおかげで、水質環境改善のビジネスに着手することができましたが、環境問題というのはこれだけではない。現状では、当社のビジネスによって『地球上のゴミを減らせているか』と問われても『そうだ』とは言えないわけです。今後、資源の有効活用、再利用、リサイクルといった分野に進んでいければ、当社の存在価値がより高まっていくでしょう。しかし、それは非常に崇高で遠大な目標であるので、我々の次の世代が幸せになれるように、地道に努力していきたいと思っています。まずは、主力である『ダクタイル鋳鉄製パネル枠工法』の全国への普及に尽力したい。そのためには、他の工法との価格的な競争力を付けるためにパネルの改良を検討しています」。
 現在、パネルの改良の検討を行うことと平行して、大学との共同研究による新たな水質浄化システムの開発に着手し、来年にも試験運用を開始する予定である。株式会社環境フロンティアは、その名のとおり、あらゆる環境問題へ取り組むソリューション企業として、着実に歩を踏み出している。
CORPORATION DATA
株式会社環境フロンティア
代表取締役 照井 英二
〈本社〉
〒013-0033 横手市旭川3丁目5-48
TEL:0182-36-2885
FAX:0182-36-4300
URL http://www.kankyo-f.co.jp