タイトル-ITコラム
電力線通信(PLC)サービス 家庭のコンセントからインターネットにアクセス
PLCってなんだろう
 PLCとは、家庭内の電気配線(電力線)をインターネット回線として使う「電力線通信」サービスである。英語の「Power Line Communication」を略して「PLC」と呼ぶ。
 2006年12月に松下電器産業からPLCアダプターが発売された。PLC機器の販売価格2万3100円。NTT東日本は2006年の12月19日からサービスを開始し、NTT西日本は2007年の1月下旬から3月末まで試験サービスを行うと発表した。通信速度は最大190Mbpsなので、大容量の動画にも対応可能である。NTT東日本の専用モデムは、2台1セット2万3100円。年間4000セットを販売する計画。(物品は買取りでレンタルではない。機器使用料は無料。)
 設置はとても簡単で、2台1セット(親子関係)のうち、親機をインターネットへ接続するLANルータ側につないで、次にコンセントに挿した子機にパソコンを接続するだけで、家の中のどの部屋からでもインターネットへ接続が可能になる。
PLCによる概念図
PLCによる概念図
PLCのメリット、デメリット
★メリット
 既存の電灯線、コンセントがそのまま利用できるので、新規の配線工事が不要。プラグをコンセントに差し込むだけで接続でき、すぐに利用可能。
 通信の暗号化など必要な設定はすべて自動的に可能。
★デメリット
 電力線はそもそもデータ伝送に使うことを想定したケーブルではないので、ドライヤーなどの機器が動作していると、そこから発生されるノイズが原因で伝送ロスが大きくなり速度が低下する。  また、PLCが他の通信機器に障害を与える可能性がある。電灯線が通信アンテナとなって、不要な電波を放射し、短波放送や近くの医療機器に影響を及ぼすこともある。
PLCの用途
 ホーム・ネットワークの形成が可能。複数のパソコンをつなぐ家庭内LANとして使うだけでなく、テレビとパソコンの間で高画質の映像をやりとりすることにも使える。
 また、将来はパソコンから電気製品や住宅設備をコントロールすることが可能になる。さらに、家電の故障をいち早く察知し、インターネットを介してメーカーのサポートセンターに直接連絡することも可能になる。

 「コンセントに挿すだけでOK」という便利さを備えるPLCだが、家庭だけでなくオフィス環境への導入に向けた技術向上を期待したい。オフィスユース向けとしては増設用子機をNTTが一台1万4000円、松下電器産業とアイ・オー・データ機器が1万3000円から1万4000円程度で販売しており、オフィスでLANケーブルの配線に困っていたユーザーや鉄筋コンクリートの壁が障害になって無線LANをあきらめていたユーザーにとっても、強力な援軍になると考えられる。