「秋田は、粘りや集中力を生み出す土地柄ですね」と語る高木瑠衣さんは、平成19年1月に秋田市の川反通りに面したビルの一室に服飾デザインアトリエ兼服飾素材ショップを立ち上げた北海道出身の女性である。「つまり、秋田という土地は、私のような手仕事に携わる者にとって最適な場所と言えるのです。秋田に移り住んで、まず、服飾やアクセサリー等を制作する方々が多いということ。さらにそのレベルが高いことに驚きました。」高木さんは、そうした人々の仲間入りをしたいと思ったと同時に、手作りならではの上質で小ロットの「秋田発の作品」を、一般消費者の手に届けられる受け皿が必要であると考えて開業を決断したのだという。営業の内容は、自作の作品の制作販売やビギナー向けの手芸教室などの主宰が第一で、作品は手作りのため「多くは作れないが作るとすぐになくなる」そうである。
第二は、地域の作家にアトリエを貸し出し、優れた作品を発表する場を提供することである。地域の作家の代理店舗としての役割を果たすことにより、都市部の購買層への市場参入を促すことを狙っている。「販売だけでなく精神的な豊かさが得られる空間作りを目指しているので、お客様には消費目的の他にも何かを感じ取って欲しい」と高木さん。県外の訪問客から「ここを訪れて元気をもらった。是非また来たい」と言われたことがとてもうれしかったそうだ。
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むしろ、このようなプロデューサー的な働きのほうが性に合っているように思えるほど、活き活きと話す高木さん。本格的にオープンしてから2ヶ月足らずであるが、すでに「休日には60人ほどのお客様が訪れてくれる」ほど評判は上々である。「秋田の服飾作家の中には首都圏ですでに著名な方もいることを、県内の方々はどれくらい知っているのでしょうか」。高木さんに言わせると、県内の手仕事は、県産食品等と同様に「秋田の強み」に十分成りうる可能性があるのだという。「秋田の伝統の技と言われるくらいに、埋もれている手仕事をどんどん世に出していきたいので作家の皆さんに頑張って欲しいです。もちろん私も頑張ります」。高木さんは、服飾の総合プロデューサーの道を着々と歩んでいる。
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