小坂町にある株式会社カミテは、プレス金型設計から製作・プレス加工を行っている企業で、平成19年4月に東北で初めて次世代育成支援対策推進法に基づく雇用環境の整備に関する「一般事業主行動計画」が厚生労働省認定された企業である。
現在、企業の品質保証規格のISO9001や環境管理・監査規格のISO14001、取引先からの環境品質認定などの取得は必要不可欠な資格となっているため、多くの事業所が取得に取り組んでいる。しかし、仕事と子育て両方の環境整備を含めた取り組みについては経営者の前向きな理解が必要となり、未だ取り組みにばらつきが見られる。
この一般事業主行動計画とは、事業主が労働者等の仕事と子育てが両立して行われるように環境を整備し、労働条件の整備を行うための計画を指している。
株式会社カミテでは、事業所内託児所(KAMITEチャイルドハウス)を平成12年3月に開設し、平成13年1月に県「働く女性支援優良企業」として表彰を受け、更に同年10月にファミリーフレンドリー企業として厚生労働大臣努力賞を受賞しており、従業員の働きやすい環境づくりを更に進めるのため、今回の行動計画の策定と認定申請を行った。
同社は、行動計画に(1)育児休暇の取得推進、(2)看護休暇制度の充実、(3)有給休暇の取得推進、(4)事業所内の託児所の地域育児サークルへの開放を掲げた。
その結果、(1)の育児休業の取得推進では、男性社員の目標値を20%に設定したところ、66.6%の取得率となり(厚生労働省の17年度調査での取得割合は0.5%)、女性社員は目標値100%の設定に対し100%の取得率(厚生労働省の17年度調査での取得割合72.3%)となった。
(2)の看護休暇制度の充実では、平成15年4月に改正育児・介護休業法が施行されたことに伴い、小学校就学前の子供の養育者を対象とした看護休暇の取得が可能となったが、この対象範囲の拡大を実施した。
(3)の有給休暇の取得推進では、目標値60%に対し60.9%を達成。厚生労働省の15年度の平均取得率48.1%と比べても高水準での達成といえる。
さらに、平成12年に開設した(4)事業所内の託児所を地域の育児サークルへの開放については、平成17年に実施した実績がある。
通常、認定までの期間は2〜5年となっており、同社の最低期間2年での取得は、上手社長を中心とした人材育成の成果といえるだろう。「少数精鋭」を目指し、一つの業務に特化した専門工を育成するのではなく、フレキシブルに業務をこなせる「多能工」の育成を目指した結果、育児などによる休業者がいても常に業務が滞りなく進行するような体制が確立され、行動計画の目標とした「育児休業の取得状況」「看護休暇の取得状況」「有給休暇の取得状況」をクリアすることができた。「この取り組みによって社員の意識も大きく改善されました。製品の不良率の減少にも繋がっています」と上手社長は語る。
今後更に職場環境、雇用環境、子育て環境を整備し、前進を続けていくため、更なる行動計画の策定を目指している。 |
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昭和63年、秋田県誘致企業として設立。プレス金型設計・プレス加工品などを製造。育児や介護に対応した職場環境を整備し、実績を上げた経営方針は様々な方面で注目されている。2005年キャノン株式会社より「グリーンアクティビティ」認定をうける。他、職場環境・技術面ともに多数の受賞と認定がされている。 |
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