これまで歩行器というとアルミや鉄を素材としたものがほとんどだったが、全国的にも珍しい木材で作った歩行器の商品化に由利本荘市の(有)長谷山建築工業が成功し、販路を広げている最中だ。 (有)長谷山建築工業は、住宅建設やリフォーム、公共事業などを行うごく普通の建設会社だったが、数年前に一般住宅リフォームの仕事をした際、施工主から「段差を上れる歩行器も作ってくれないか」と依頼を受けたのがきっかけで、木製歩行器の制作に取りかかった。「初めは簡単にできると思ったのだけど、予想以上に難しく時間もかかった…試行錯誤しているうちにどんどんハマってしまって、次第に、完成した木製歩行器を製品化して売り出せないかと考えるようになった。社名は“建築工業”なんだけどね」と長谷山社長は笑う。 同社の歩行器の特徴は、なんといっても“木製”という点だ。「家の中に置いても違和感が無く、使い心地にも木製家具のような温かみがある。さらに金属製のものより軽く、持ち運びがしやすい」。高齢者や障害者など、利用者が抵抗を感じずに使用できる商品に作り上げた。長谷山社長は、木製のメリットを存分に活かしながら安全に安心して使えるものでなければならないと改良を重ね、アルミや鉄製のものと同等の機能性を持たせることに成功した。上から体重をかけることでブレーキが作動するシステムなどの工夫、製品としての完成度の高さから、これまで『秋田県発明展』や『秋田県バリアフリー推進賞』などで表彰を受けている。また、商品化当初の歩行器が4年経った今も由利本荘市内で変わらず使用されており、耐久性も充分とのことだ。 当初は、秋田県長寿社会振興財団などの協力を得ながら県内の福祉施設、一般家庭に向けて営業を展開していたそうだが、平成17年に当(財)あきた企業活性化センターの『目利き倶楽部』事業へ参加したのがきっかけで、介護福祉機器レンタルの大手、日本ケアサプライと商談を持つようになったのが大きな飛躍の始まりだった。プレゼンテーションや折衝を繰り返し、足掛け2年の商談期間を経て、19年4月に室内用木製歩行器の『段ら〜く5号』の販売契約を成立させたのだ。顧客からレンタル会社に注文があった数量を製造・販売していくことになるが、介護福祉機器レンタルの商品に木製歩行器が採用されるのは、他に例がないという。「製品の良さが浸透するまで時間はかかると思うが、今後、注文数量が増えることを期待している」と長谷山社長。実際に使用している方の評判も良く、木のぬくもりが喜ばれているそうだ。 同社では、現在6種の室内用木製歩行器と、室外用木製歩行器、小児用木製歩行器を製造・販売中だ。福祉用品の大手ネットショップなどとも契約し注文を受けている。長谷山社長に今後の展望を伺うと、「大きな会社ではないので数が安定するまではこれまで通り、無理はせずにできることをやっていきたい」と語ってくれた。 建設業の新分野挑戦。小さなきっかけが業態の変化を生み、熱心な研究が販路を広げた。介護福祉の世界に温かさを届ける木製歩行器が、(有)長谷山建築工業の介護福祉用具製造という新たなステージへと向かう歩行をサポートしていくだろう。 |
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【事業内容】 15年10月より介護保険対象福祉用具 木製歩行器を製造・販売。 高気密・高断熱住宅を基本に施工。 ●オリジナル気密・断熱パネル施工(エアーサイクル工法)●オリジナルシステム工法(高気密・高断熱・高遮音)●無落雪屋根住宅 |
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安全のため座面は特殊塗料で 滑り止め加工がしてある。 |
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