秋田市に本社と製氷工場を置く北斗製氷株式会社は、氷を作って60年近く。秋田市はもとより、県央、県南地域の飲食店を中心に氷を供給している企業だ。“今、お客様にとって何が必要なのか?”と考え続け、充実したサービスの提供に努めてきた。
平成19年3月、同社は当財団法人あきた企業活性化センターの設備貸与制度を利用し、新しい氷切割機を導入した。この氷切割機は、原氷と呼ばれる大きな氷のブロックを、半自動で16分の1サイズにまで切り分ける機械だ。円盤型のノコギリ歯が左右もしくは上下1組で3組配置されていて、ベルトコンベアで送られてくる氷を綺麗に切断していく。完全自動ではないが、少ない力と簡単な操作だけの半自動で、袋詰めできる状態の氷が完成する。
同社の鈴木公一郎社長は、以前から氷の切り割りの機械化を検討していたという。「大きな円盤形ノコギリに手作業で氷を接触させる切り割り方法が製氷業界の主流です。我が社もこれまで長くその装置を使い、大きな事故などは起こさずにきましたが、経営者として常に不安がつきまとうものでした。機械化しても細心の注意を払って作業に当たることは変わりませんが、それ以前に、安心して作業に望める環境を整えたいという希望はずっと持っていました」。当センターに相談し専門家らの助言を得、切割機を製作する機械メーカー、和田鐵工所と調整を重ね、約1年をかけて氷切割機を完成させた。
氷は、原料水を入れた約1m×0.5m×0.3mの金属缶をブラインと呼ばれる冷却液に浸し冷却して製造される。氷を取り出しやすいよう、缶が上部に向かって2〜3cm広がっているため、当然出来上がった原氷も両端で2〜3cmの差が生じる。手作業の切り割りでは、熟練した従業員の感覚でこの僅かな差を修正し均等な重さの商品を製造するのだが、機械ではこの修正が非常に難しかったそうだ。「この修正の他にも、溶け出た水で氷が滑ってしまい、ただまっすぐ切ることも予想以上に難しかった。機械で扱う故の難しさがあり、それらを解決するのに苦労しました」と社長は振り返る。「手作業より効率が落ちるような機械では意味がありませんから、試作や調整を経て、手作業以上の作業効率で動く機械を完成させることが出来てよかった」。形状が一定でない氷の性質から、製氷業者も消費者も数グラムの差を許容する風潮があったそうだ。「しかし、氷も食品ですから、最近では消費者の要求も高度になってきました。より付加価値の高い、お客様を満足させることが出来る氷を作る必要があるのです」。
かつて贅沢品だった氷。今では、多くの飲食店で自動製氷器が使われ、家庭にも自動製氷器付き冷蔵庫が普及し、製氷業界を取り巻く環境は厳しくなってきた。しかし反対に、スーパーやコンビニ等で手軽に氷を購入する消費者が増え、良質の氷への需要は高まっていることも事実だ。同社では、これまでの角氷、ぶっかき氷、クラッシュ氷に加え、水割りにそのまま使えるボールアイスの製造販売をし好評を得ている。「今のお客様が求めるものに、製氷専門業だからできる形で応えていきたい。そして、秋田の飲食業に貢献していきたい」と語ってくれた。 |
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