タイトル-ビジネスレーダー
安全性の確保を第一に、氷の切り割りの機械化を進める/代表取締役社長 鈴木 公一郎さん
北斗製氷株式会社
〒010-0875
秋田市千秋明徳町1-21
TEL.018-832-3415
FAX.018-832-3475
 
 秋田市に本社と製氷工場を置く北斗製氷株式会社は、氷を作って60年近く。秋田市はもとより、県央、県南地域の飲食店を中心に氷を供給している企業だ。“今、お客様にとって何が必要なのか?”と考え続け、充実したサービスの提供に努めてきた。
 平成19年3月、同社は当財団法人あきた企業活性化センターの設備貸与制度を利用し、新しい氷切割機を導入した。この氷切割機は、原氷と呼ばれる大きな氷のブロックを、半自動で16分の1サイズにまで切り分ける機械だ。円盤型のノコギリ歯が左右もしくは上下1組で3組配置されていて、ベルトコンベアで送られてくる氷を綺麗に切断していく。完全自動ではないが、少ない力と簡単な操作だけの半自動で、袋詰めできる状態の氷が完成する。
 同社の鈴木公一郎社長は、以前から氷の切り割りの機械化を検討していたという。「大きな円盤形ノコギリに手作業で氷を接触させる切り割り方法が製氷業界の主流です。我が社もこれまで長くその装置を使い、大きな事故などは起こさずにきましたが、経営者として常に不安がつきまとうものでした。機械化しても細心の注意を払って作業に当たることは変わりませんが、それ以前に、安心して作業に望める環境を整えたいという希望はずっと持っていました」。当センターに相談し専門家らの助言を得、切割機を製作する機械メーカー、和田鐵工所と調整を重ね、約1年をかけて氷切割機を完成させた。
 氷は、原料水を入れた約1m×0.5m×0.3mの金属缶をブラインと呼ばれる冷却液に浸し冷却して製造される。氷を取り出しやすいよう、缶が上部に向かって2〜3cm広がっているため、当然出来上がった原氷も両端で2〜3cmの差が生じる。手作業の切り割りでは、熟練した従業員の感覚でこの僅かな差を修正し均等な重さの商品を製造するのだが、機械ではこの修正が非常に難しかったそうだ。「この修正の他にも、溶け出た水で氷が滑ってしまい、ただまっすぐ切ることも予想以上に難しかった。機械で扱う故の難しさがあり、それらを解決するのに苦労しました」と社長は振り返る。「手作業より効率が落ちるような機械では意味がありませんから、試作や調整を経て、手作業以上の作業効率で動く機械を完成させることが出来てよかった」。形状が一定でない氷の性質から、製氷業者も消費者も数グラムの差を許容する風潮があったそうだ。「しかし、氷も食品ですから、最近では消費者の要求も高度になってきました。より付加価値の高い、お客様を満足させることが出来る氷を作る必要があるのです」。
 かつて贅沢品だった氷。今では、多くの飲食店で自動製氷器が使われ、家庭にも自動製氷器付き冷蔵庫が普及し、製氷業界を取り巻く環境は厳しくなってきた。しかし反対に、スーパーやコンビニ等で手軽に氷を購入する消費者が増え、良質の氷への需要は高まっていることも事実だ。同社では、これまでの角氷、ぶっかき氷、クラッシュ氷に加え、水割りにそのまま使えるボールアイスの製造販売をし好評を得ている。「今のお客様が求めるものに、製氷専門業だからできる形で応えていきたい。そして、秋田の飲食業に貢献していきたい」と語ってくれた。
土崎営業所
〒011-0945 秋田市土崎港西1-11-7
TEL.018-845-2445
大曲営業所
〒014-0026 大仙市大曲丸ノ内10-29
TEL.0187-63-0102

URL http://www.hokutoseihyo.co.jp/
有限会社和田鐵工所
〒018-4301
北秋田市米内沢字中島11
TEL.0186-72-3067
FAX.0186-72-3482
URL http://www.kumagera.ne.jp/twada
営業品目:林業・高山・土木用特殊機械設計製作、遠隔操縦荷役機械製作、各種省力化機械設計製作
タイトル-ビジネスレーダー
素材の研究と丁寧な手づくりにこだわったそれが「秋田眞壁屋のうどん」/代表取締役 眞壁 武比古さん
株式会社眞壁屋
〒013-0051
横手市大屋新町字堂ノ前35-2
TEL.0182-33-5433
FAX.0182-33-5448
E-mail BWA15928@nifty.com
URL http://homepage2.nifty.com/MAKABEYA/
創業開始:昭和58年(1983年)
業務内容:うどん(乾麺)製造業
 
 県内はもちろんのこと大都市圏の有名デパート各店で、お客様から「秋田眞壁屋のうどん」、「眞壁屋稲庭うどん」と銘柄指名を受けて買い求められるなど、順調に業績を上げている株式会社眞壁屋の代表取締役 眞壁武比古氏 にお話を伺った。
 昭和58年(1983年)に本格的にうどん(乾麺)の製造を始めたのですが、その頃までは家業として製材業を営んでいました。かねてから、地場産品に関する仕事もしたいと考え、製造技術面でも一定の知識を持っていたうどん(乾麺)の製造を行うことにしたわけです。
 もちろん単なる真似事ではなく、自分でも納得のいく商品としてのうどん作りにこだわっていましたよ。このこだわりを自分で克服するのが中々難儀なことで、職人2人と共に足かけ三年かかりました。そのお陰で事業として立ち上げることが出来、そこで思い切って製材業を止めてうどん製造一本に特化して今日に至っております。
 当社のうどんは、小麦特有の風味を持っているほか、茹で上げ後にのびにくく、乾麺でありながら柔らかな生麺に近い食感と強いコシを持っているのが特徴です。CMなどをしていないのに、一度食された多くの方々から支持されているのはこのことによると思っております。
 うどんに限らず食品全般に共通することだと思いますが、製法と共に素材の質が食味・食感の決め手になります。素材となるものは「小麦粉・塩・水」ですが、これらを徹底的に研究・吟味し、厳選して使っております。一口に「稲庭うどん」とは言いますが、その食味・食感は様々です。稲庭うどんは約350年の伝統があるのですが、製法は口伝によるものですので、今一度、素材から見直す余地があると考えました。このため、なにしろ国産小麦粉だけでも全国各地から取り寄せて試行錯誤を繰り返しました。その結果見つけたのが現在使用している小麦粉でした。優れた農家で生産された小麦を、信頼できる製粉屋さんが丹念に仕上げたものを入手しているのです。こだわった小麦粉を入手して使うというこのような方法は同業大手の量産型メーカーには出来ないことでしょう。
 ところで、当社では、創業当初は「稲庭わんこうどん」として商圏を拡大してきましたが、今は眞壁屋の名前を掲げ、「秋田眞壁屋のうどん」と「眞壁屋稲庭うどん」の二銘柄を主力に置いて同業他社との差別化を図った営業展開をしています。このことは、素材を大切にしているという自負はもちろんですが、他社が量産化のために機械化を進めている中、従来ながらの丁寧な手づくりにこだわり、それを踏襲しているという自信でもあります。
 また、当社では、現在の生産規模から大幅に増やすことはしないつもりでおります。せいぜい30〜50%増というところでしょうか。「秋田眞壁屋のうどん」を指名買いしてくださる多くのお客様に、これからも引き続き良いものを正直に作ってお届けするためには、そこら当たりが限度でしょうし、「もう少しやりたい」の一歩手前ぐらいが丁度よいと思っています。更に商品としては希少価値を持つことも大事と考えているのです。
 当社の「秋田眞壁屋のうどん」が、日本だけでなく世界のトップシェフに指名されて使っていただけるようになれば嬉しいなどと思っている今日この頃です。
(2007年10月 vol.315)