経営探訪
地域に密着したスーパーマーケットを目指して!
株式会社タカヤナギ 専務取締役 高柳智史



社名:株式会社タカヤナギ
代表取締役社長 高柳恭侑
本社:
〒014-0066
大仙市川目字町東33
TEL.0187-62-1234
FAX.0187-63-7970
URL http://www.e-takayanagi.com

 県央以南に17店舗を展開し、グランマートの名称で親しまれている株式会社タカヤナギ。その専務取締役の高柳智史氏にお話を伺った。

 明治43年、株式会社タカヤナギの前身となる菓子卸業として事業を開始。
 その後、昭和15年に現在のグランマート中通店(大仙市大曲)の地に雑貨・小間物の小売店を開業、昭和36年に、扱い商品を衣料まで拡大した新店舗(本店)新装開店。昭和44年より、スーパーマーケットを同市及び近隣市町村にオープン。昭和57年には、本店が日本百貨店協会へ加盟することとなった。
 その後、本店は人口の郊外化が進んだため7年前に閉店し、その百貨店部門を現在のイーストモール(大仙市戸蒔)に移行した。移行した後も百貨店協会には継続して加盟している。イーストモールは広さ1,580坪程の店で、これだけの広さの店でグレードの高い百貨店商品を扱っているところはあまりなく、他の店舗とは一味違う店となっている。
 店舗数は、ここ数年増加していないものの、スクラップアンドビルドにより、古い店舗の改装や、街中から郊外への移転などを行ってきた結果、県央以南において17の店舗網を広げることとなり、名称をグランマート(グランドマート:大きな市場)として商標登録した。
 全国的に大手流通企業の進出が目立つ中、秋田県は比較的地元資本のスーパーマーケットが多い。その理由として、「秋田県は食文化が細かい地域で、たとえば納豆汁は、県内陸部では冬場の食卓になくてはならないメニューだが、秋田市や日本海側ではあまりなじみではないようだ。元日の朝の食卓も、納豆汁のところもあれば、とろろ汁のところもあるというように、地域によって食習慣も異なる。そのような食文化の細かな違いをよく理解しているのが地元のスーパーマーケットの強みであり、生き残っていくための原点であり、地元企業の使命だと感じる」と高柳専務は語ってくれた。
 また、スーパーマーケットには不可欠なテーマとなる、良い商品を如何に安く提供するかという課題は、CGCジャパン(多数の小売事業者が一致団結して大手流通企業に対抗する組織)に加盟し協業活動を続けることでクリアできると考えている。
 更に、商品の品質と安全性を重視する経営方針は、顧客からの信頼とニーズにより商品戦略の一つとして「地産地消」を推奨している。この「地産地消」は、「地域に長年育まれてきた産物は、それを調理加工して食してきたその地域の人々の体をもしくはDNAを作ってきたといっても過言ではない。だから、もっともそこに住む人間に優しいのだ」というのが最初の概念であり、地(地元秋田に根ざした)産(産物を、選りすぐり)地(地元のお客様に)消(消費していただくこと)によって、商品と情報とサービスの提供を実現している。
 また、「地産地消」による商品の付加価値(味・鮮度・サービス)の向上は、競争力強化戦略の推進につながったという。

 高柳専務に今後のタカヤナギについて伺った。
 「今後、変化の激しい競争環境への対応として、そこで働く社員の力の差が勝負の分かれ目になると考えます。取り扱う商品の品揃えや接客など、全て人が携わるものなので、我々が如何にこの地域のお客様の暮らしを理解し、お客様に選んでいただける商品・サービスを提供できるかが重要となります。また、現場の社員の一人一人が独自に考え、お客様にとって最善と思われるような行動をしていくことが必要となるでしょう。
 当社は2005年に秋田県経営品質賞(優秀賞)を受賞したことで、会社が常に改善・前進しなければならない状況の中で、どこまでやったら良いのか、秋田ではどういう企業運営が適切なのか、他社でやっていないことは何か、といったことをきちんと理解し、自信を持つことの大事さを認識することができました。
 その中で、当社で継続して実施していることは50年程前からの絵画コンクールです。先代の社長が地元に何か貢献することはできないかと小学校に入る直前の幼稚園・保育園の子供たちに、将来の夢や感動した場面を描いてもらった画展を催してはどうかと考え、以来継続して開催しています。この継続こそが重要なことだと感じます。」
 タカヤナギは更に地域に根ざした企業を目指し努力している。
 
当社の経営理念
 一 従業員が常に楽しく働ける職場をつくる
 一 どのお客様も楽しく買い物ができ、常に同じ満足感が得られるお店をつくる
 一 地域社会に対し商品と情報とサービスを提供し豊かな暮らしと文化に貢献する企業になる
私たちの最大の責任は、可能な限りベストな人間最優先の企業をつくることです。この目的を達成するために、タカヤナギの従業員は次の5項目について、すすんで考動をおこさねばなりません。

基本項目
(1)店舗、施設を清潔に保ち、商品の鮮度も良く、それが誇りとなって全ての部門で積極的に売上増進につとめねばなりません。
(2)職場において何らかの分野で一番になれるよう切磋琢磨し合わねばなりません。
(3)お互いに人格を尊重し社会においてもモラルの高い人間であらねばなりません。
(4)お客様におもてなしの心で接し常に平等で正直で親しみがあり相手が感動するまで信頼の販売を行わなければなりません。
(5)お客様がどのような商品を欲しているかを見きわめ、適正な価格で最高品質の商品を提供し続けねばなりません。
(2007年10月 vol.315)