タイトル-特集
経営革新・経営改革へのチャレンジ企業を応援
 財団法人あきた企業活性化センターでは、企業の持続的発展と雇用の安定を図るため、県内企業が実施する経営革新・経営改革のための取り組みを応援しています。
 具体的には、中小企業新事業活動促進法に基づく中小企業経営革新計画の承認及び、経営改革総合支援事業(フェニックスプラン21)による経営改革のための事業など、融資、補助の両面から総合的な支援を行っております。

これまでの支援実績
(1)中小企業経営革新計画の承認
 企業が経営革新計画の承認を受けると、税制上の優遇措置や低利融資、販路開拓のための支援措置など多様な支援策を受けることができ、これら支援策を活用して経営目標達成に向けた積極的な取り組みが可能となります。
 承認の対象となる計画の内容としては、新たな取り組みによって当該企業の事業活動の向上に大きく資するものとされており、概ね、次の4種類に分類されます。
 @新商品の開発又は生産
 A新役務の開発又は提供
 B商品の新たな生産又は販売の方式の導入
 C役務の新たな提供の方式の導入、その他の新たな事業活動

 県内ではこれまで180社(H19.9.1現在)の計画が承認され、図-1に示すように、毎年20社前後の企業の経営革新計画が承認されています。また、産業分類の大分類による業種別では図-2に示すように、製造業が約半分と最も多く、卸売・小売業、サービス業がそれに続いています。
【図-1】中小企業経営革新計画 年度別承認件数(9月1日現在)
【図-2】中小企業経営革新計画 業種別承認件数

(2)経営改革総合支援事業(フェニックスプラン21)
 企業の事業転換や体質改革、新分野進出等の計画によって積極的に経営改革を進めようとする企業への支援策として、平成13年度からこの事業が実施されてきました。ITの開発支援や、新たに新分野進出型やベンチャービジネス型の事業計画を追加するなど、毎年内容を見直しながら時代に応じた事業構成としてきています。現在でも最大3年度間にわたって当事業が活用できるため、企業にとっては経営改革の目標に向けた有益な事業となっています。
 当事業を開始した平成13年度以降、これまで143社(H19.9.1現在)の計画が採択され、補助事業や融資による支援を受けています。図-3は年度別の採択企業数です。
 また、図-4は産業分類の大分類による採択企業の業種別数であり、これまでの累計では製造業が最も多く卸売・小売業、サービス業がそれに続くなど、経営革新計画と同じ傾向となっています。
【図-3】フェニックスプラン21 年度別採択企業数(9月1日現在)
【図-4】フェニックスプラン21 業種別採択件数

経営改革総合支援事業による実施例

(有)ビースケップ
代表取締役 西村隆作
仙北市田沢湖生保内字石神163-3
TEL 0187-43-3838
FAX 0187-43-3098
 田沢湖から駒ヶ岳に向かう途中、ドーム型の不思議な形のログハウスと三角屋根の建物、そして二階建ての真っ赤なバスが人の目を引きつける。ここは、地域の特産としてハチミツやローヤルゼリーなどの蜂産品のほか、ハチミツを利用した様々な手づくりお菓子を製造・販売している「山のはちみつ屋」である。
 昭和47年から養蜂業を営んでいる社長の西村氏は、自分で採ったハチミツを小売販売したいと平成11年にドーム型の販売店舗を建て、ハチミツなどの蜂産品の販売を本格的に始めた。この店舗の形は、近代養蜂発祥の地ヨーロッパで使用されていた養蜂籠(ビー・スケップ)をイメージしたものであり、社名の由来もそこにある。
 その後、単にハチミツを販売するだけでなく、これを使用したおいしいお菓子を製造してお客様へ提供したいとの思いが募り、製菓部門を立ち上げようと一大決心。平成15年度に約50坪の新店舗・工房を建設し製造設備を整え、平成15年度から3年間、経営改革総合支援事業を活用しながら、洋菓子専門の技術者の雇用や菓子製造方法についての社員教育、コンサルサントからのアドバイスなど、試行錯誤しながらついにハチミツに特化した新商品の開発に成功し、新店舗での販売を始めた。
 製品類は当初開発した「はちみつカステラ」、「はちみつロールケーキ」、「はちみつシュークリーム」の3商品を主力製品としながら、いまでは、夏限定の「はちみつゼリー」やバレンタインに合わせた「ショコラ」などの様々な季節商品、ギフト用商品など、特徴のある商品を出し、心のこもった手づくりのお菓子として人気を集めている。今では、お菓子類の売上が総売上の2割を占めるほどになっている。また、お菓子工房で買い物するお客様は必ずハチミツ販売店舗(ビー・スケップ)へも立ち寄るなど、相乗効果により従来からのハチミツ類の売上も年々伸びている。
 また、この会社の特徴は、店頭販売だけでなく、全国への通信販売にも力を入れていることであり、総売上の約半分を通信販売が占める。その秘訣は、季節や地域の話題、お菓子工房における日常のできごと、秋田弁の解説などの身の回りの情報等を掲載した「山のはちみつ屋新聞」を年4回季節毎に発行し、季節毎の商品カタログとともに発送していることである。目で見える形で全国のお客様とのつながりを大切にしていることから、リピーターも次第に増えており、現在は全国47都道府県全ての地域との繋がりが持てているとのことである。
 将来は、観光・体験型養蜂事業にも取り組みたいと、社長の夢は膨らんでいる。

(有)金自動車整備工場
代表取締役 金 重春
秋田市河辺和田字下タ川原16-4
TEL 018-882-2734
FAX 018-882-3656
 同社は、自動車整備、自動車販売、鈑金塗装、自動車保険の業務部門を抱えているが、その中でも主力となっているのが自動車整備部門である。近年、新車販売ディーラーが自動車整備にも力を入れ新車購入の顧客をそのままディーラーの整備へと囲い込む傾向が強まるなど、整備部門の競争が激しくなっており、同社としても経営の安定化に向けた緊急な取り組みが求められていた。
 そこで、同社が目をつけたのが携帯電話の活用であった。従来の訪問や電話、チラシやハガキによる営業活動では、その結果や効果が把握できず限界を感じていたことから、既存の顧客をつなぎ止めながら新規顧客の拡大を図るための抜本的な方法として、携帯電話の活用を思いつき、システムの開発・導入を進めることとした。
 平成18年度に経営改革総合支援事業の補助事業を活用し、自らシステム設計に加わるなど、かつてソフト開発に携わった経験を生かしながら携帯電話メール配信システム及び携帯電話ホームページシステムの開発を進め、平成19年5月から当システムを本格的に運用した。
 携帯電話へのメール配信システムは、登録されたユーザーの携帯電話に車に関する様々な情報や広告を随時、自動配信するシステムである。同社が特に力を入れている自動配信情報とは、エンジンオイルやフィルター類の交換時期、ブレーキパッドやタイヤ摩耗等の診断に基づくさまざまな消耗部品のアドバイス情報、定期点検時期や車検のお知らせ、自動車保険の更新時期に至るまで、顧客それぞれの車の総合カルテに基づく予測情報である。顧客は自分の車に関する状態を把握できることから当システムは非常に喜ばれており、同社と顧客とのコミュニケーションの機会を増やすのに役立っている。自動配信された情報は、社内便としても送信されており、社員全員が情報を共有できる体制となっている。
 また、携帯電話ホームページシステムは、取り扱い商品の料金情報を閲覧できるほか、登録ユーザーは携帯電話から車検予約や入庫車歴照会をすることも可能となっている。現在では2〜3年先の車検予約も入っており、既存顧客や新たな顧客の確保に繋がっているとのことである。
 いまや、若い人を中心に普及率も90%と言われる携帯電話であるが、同社のシステムを活用している人は意外にも40歳代後半からの年配の方が多いとのことであり、今後は、30歳代までの若い年齢層や既存登録ユーザーの家族との繋がりが拡大することに期待を膨らませている。
携帯電話からのURLは、http://www.konjikou.com/

(株)イトダコンピュータ
代表取締役 糸田 和義
大仙市大曲日の出町1丁目6番12号
TEL 0187-63-8491
FAX 0187-63-8596
 同社は昭和57年の創業以来、測量CADを主体とする事業を行っているが、売上を伸ばし経営改革を進めるため、これまでの測量CAD・データ構築のノウハウやシステム能力開発を生かして、従来の地理情報システム(GIS)に時間概念を持たせた「時空間GISシステム」のパッケージ開発を進めている。
 地理情報システム(GIS)は、コンピュータ上に地図情報や付加情報を持たせ、分析・編集することができるシステムであり、今や都市計画や科学的調査、教育、防災関係など国や自治体での利用や、エリアマーケティング分析などの営業支援ツールやカーナビゲーションなど民間分野にも利用が拡大してきている。
 しかし、現在の自治体GISは、図面・地図がそれぞれの業務基準日時に合わせて作成されており、総務省で推進している統合型GISを構築していく場合、共有すべき情報が、必ずしも各部署が必要とする基準日状態となる訳ではない。
 そのため、同社では、時系列管理ができるGISシステムがあれば、自治体における共用地図の利活用が推進され、業務ごとの様々な情報交換や、過去や未来の状況を時系列で管理、閲覧・検討できる等によって、経費の削減や、効率的で質の高い行政サービスの提供が可能となるのではないかと考え、平成17年度から3年間、経営改革総合支援事業を活用し、時間管理の概念を導入したGISシステムの開発を進めてきた。
 この結果、システムの完成にほぼ目処がつき、統合型の時空間GISシステムとして由利本荘市に最初に導入されることとなっており、平成20年4月から全職員のパソコンで活用できるよう、本格運用に向けて現在テスト運用を行っている。
 今後、多くの自治体で活用が期待されるシステムであり、同社では、由利本荘市への導入を契機に、県内の他の市町村や東北各県あるいは全国の自治体が利用してくれるよう販路開拓を進めていきたいとのことである。



お問い合わせ先 財団法人あきた企業活性化センター
〒010-8572 秋田市山王3丁目1-1 県庁第2庁舎2階
営業統括グループ TEL.018-860-5610 FAX.018-860-5704
事業推進グループ 創業・経営革新推進担当 TEL.018-860-5701 FAX.018-863-2390
(2007年10月 vol.315)

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