秋田市を中心に11店舗の理容・美容室をチェーン展開している株式会社シャトーは、平成18年度から当センターの経営改革総合支援事業(フェニックスプラン21)の認定支援を受けている。理容・美容室チェーンとして、「福祉専門サロンの設置とITを活用した次世代経営システムの構築」に取り組むことに至った経緯などについて長谷川キクノ代表にお話を伺った。
この業種は、お客様のニーズに応えることが最も大切なことでして、技術力だけではなく、接客力や利便性ある最寄り店とし愛されることが大切です。しかしながら、ここ数年は少子高齢化の影響を強く受けて、例外なく過当競争でもあります。環境の変化によって人の動きも変わると、同一箇所での継続的な営業が出来ず、やむを得ず閉店する場合もあります。そんな場合にもお客様に対するフォローアップが欠かせないなど、きめ細かい経営が必要です。 こうした中で、今までどおりのやり方、50人にも及ぶ理容師・美容師の勤務・福祉出張スケジュールの管理や理美容材料の使用状況・在庫管理、さらには最も大事な顧客管理を紙ベースで行う方法では、当社のような多店舗展開においては相当の時間と労力を要しておりました。時代に合った経営形態を構築することが重要なわけですね。また、経営面でも若い後継者を本格的に育成する時期にもなってきていますので、この取組は、経営を次の手へと引き継ぐための革新でもあります。 この度、(財)あきた企業活性化センターの経営改革総合支援事業のメニューの中から、IT開発支援事業、専門技術者等確保支援事業、人材育成支援事業を利用させていただいておりますが、当社にとって正にタイミングの良いものでした。IT開発では、昨年11月から管理業務を簡素化するために独自システムの開発を始め、導入後は、Webを通じた対面会議も可能になりました。専門技術者を確保し、社員に対するIT技術の教育も進みました。 また、人材育成は、ホームヘルパー2級の資格を取得しようとするものです。現在、ホームヘルパーの資格を持つ社員が7名おり、来年の3月末までには更に3名が取得することになっています。来年度も5名を養成し、計15名にするつもりです。この人材育成は、当社の新たな取組に不可欠なものになっています。秋田県は高齢化率が高くなっており、当店のお客様にも同じようなことが起きております。しばらくお見えにならなくなったと思っていたら、けがや病気、要介護で来店できないという方もいらっしゃいます。従来からのお客様が突然来られなくなることは寂しいものです。お年寄りや身体の動きに不自由さを持っている方も、オシャレで美しくあって貰いたいし、本人もそうありたいと思っているはずです。理美容を生業としている私たちがそんなお客様をお手伝いできないのか、何か出来ないものかとの思いがあって始めたのが、今新たに展開している在宅や老人ホームなどの高齢者を対象にした無料送迎・訪問による「福祉出張(理容・美容)」であり、そのための人材育成なのです。 当社では、どこへでも確かな技術を持った理容師・美容師を派遣できるようにしておりますし、店舗もバリアフリー化しております。当然のことながらお客様の安全について最大限の努力をするのですが、資格を持っているということで、安心感を持ってもらうことが出来ると思います。多くのお客様にご来店いただいて成り立つということも事実ですが、来たくても来ることが出来ないお客様の力になりたいとの思いもあって始めたのです。これからもこの思いを大切にしてがんばっていきたいですね。 最後に、当社のサービスは秋田市周辺に限られますので、このような取組が県北や県南方面にも広がってくれれば嬉しいと思っています。同様の展開をお考えの方にはノウハウ等を提供出来ますので、お気軽にご相談いただければと思っています。 |
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