タイトル-ビジネスレーダー
理容・美容チェーン店の経営革新で新たな福祉出張サービスを展開/代表取締役 長谷川キクノさん
株式会社シャトー
〒010-0063
秋田市牛島西1丁目2-28
TEL.018-835-6990
FAX.018-835-7110
URL http://www.cna.ne.jp/~chateau/
E-mail chateau@cna.ne.jp
創業開始:昭和46年(1971年)
  
 秋田市を中心に11店舗の理容・美容室をチェーン展開している株式会社シャトーは、平成18年度から当センターの経営改革総合支援事業(フェニックスプラン21)の認定支援を受けている。理容・美容室チェーンとして、「福祉専門サロンの設置とITを活用した次世代経営システムの構築」に取り組むことに至った経緯などについて長谷川キクノ代表にお話を伺った。

 この業種は、お客様のニーズに応えることが最も大切なことでして、技術力だけではなく、接客力や利便性ある最寄り店とし愛されることが大切です。しかしながら、ここ数年は少子高齢化の影響を強く受けて、例外なく過当競争でもあります。環境の変化によって人の動きも変わると、同一箇所での継続的な営業が出来ず、やむを得ず閉店する場合もあります。そんな場合にもお客様に対するフォローアップが欠かせないなど、きめ細かい経営が必要です。
 こうした中で、今までどおりのやり方、50人にも及ぶ理容師・美容師の勤務・福祉出張スケジュールの管理や理美容材料の使用状況・在庫管理、さらには最も大事な顧客管理を紙ベースで行う方法では、当社のような多店舗展開においては相当の時間と労力を要しておりました。時代に合った経営形態を構築することが重要なわけですね。また、経営面でも若い後継者を本格的に育成する時期にもなってきていますので、この取組は、経営を次の手へと引き継ぐための革新でもあります。
 この度、(財)あきた企業活性化センターの経営改革総合支援事業のメニューの中から、IT開発支援事業、専門技術者等確保支援事業、人材育成支援事業を利用させていただいておりますが、当社にとって正にタイミングの良いものでした。IT開発では、昨年11月から管理業務を簡素化するために独自システムの開発を始め、導入後は、Webを通じた対面会議も可能になりました。専門技術者を確保し、社員に対するIT技術の教育も進みました。
 また、人材育成は、ホームヘルパー2級の資格を取得しようとするものです。現在、ホームヘルパーの資格を持つ社員が7名おり、来年の3月末までには更に3名が取得することになっています。来年度も5名を養成し、計15名にするつもりです。この人材育成は、当社の新たな取組に不可欠なものになっています。秋田県は高齢化率が高くなっており、当店のお客様にも同じようなことが起きております。しばらくお見えにならなくなったと思っていたら、けがや病気、要介護で来店できないという方もいらっしゃいます。従来からのお客様が突然来られなくなることは寂しいものです。お年寄りや身体の動きに不自由さを持っている方も、オシャレで美しくあって貰いたいし、本人もそうありたいと思っているはずです。理美容を生業としている私たちがそんなお客様をお手伝いできないのか、何か出来ないものかとの思いがあって始めたのが、今新たに展開している在宅や老人ホームなどの高齢者を対象にした無料送迎・訪問による「福祉出張(理容・美容)」であり、そのための人材育成なのです。
 当社では、どこへでも確かな技術を持った理容師・美容師を派遣できるようにしておりますし、店舗もバリアフリー化しております。当然のことながらお客様の安全について最大限の努力をするのですが、資格を持っているということで、安心感を持ってもらうことが出来ると思います。多くのお客様にご来店いただいて成り立つということも事実ですが、来たくても来ることが出来ないお客様の力になりたいとの思いもあって始めたのです。これからもこの思いを大切にしてがんばっていきたいですね。
 最後に、当社のサービスは秋田市周辺に限られますので、このような取組が県北や県南方面にも広がってくれれば嬉しいと思っています。同様の展開をお考えの方にはノウハウ等を提供出来ますので、お気軽にご相談いただければと思っています。
 
タイトル-ビジネスレーダー
秋田発、食・文化の発信と交流イベントのコーディネート!/代表取締役社長 鈴木 絵美さん
こめたびweb

http://www.kometabi.com/

株式会社こめたび
〒010-8572
秋田市山王三丁目1-1
県庁第二庁舎3階創業支援室内
TEL.018-896-1661
FAX.018-896-1662
E-mail info@kometabi.com
  
 平成19年9月、県産米をインターネット販売する会社、株式会社こめたび(代表取締役社長 鈴木絵美、副社長 星加ルリコ)が事業を開始した。この「株式会社こめたび」は、当あきた企業活性化センターの起業支援プランの一環として実施している創業支援室の入居企業。

 「こめたび」という会社について、代表取締役社長の鈴木さんに聞いてみた。
 「こめたび」という名前は、秋田で作られたお米「こめ」を産地直送で販売。そして、購入してくれた人にもっと秋田を知ってもらうため、ツアー「たび」を企画しようとするもの。通常、スーパーなどで販売されている米は、産地や生産場所などの標記はあるが、生産者や生産環境などの詳細は分からない。そこで、消費者の方が自ら購入し食しているお米が、どのような環境で・どのような人が作っているのかを理解してもらうため、ひいては秋田がどんなところなのか、秋田の持つ良いところを紹介するための交流をコーディネートしようとするのが「こめたび」の事業内容だ。


 昨今は、食に対する安全意識が高まり、特に都会の消費者は「おいしさ」、「安全」に対するニーズが比較的高い反面、どの米が本当においしくて、安全なのかがよく判らず、「あきたこまち」、「ササニシキ」などのブランド名だけで米を選んでいる人が多いという。そこで「こめたび」は、消費者が求める「おいしさ」「安全」へのニーズに応えるため、契約農家の履歴書とまではいかないが、生産者の人柄や米作りに対するこだわり、生産環境などを消費者に伝えることで、食に対する満足感を提供していきたいと考えているという。
 また、契約農家が持つこだわりも、除草剤を一回だけ使用するものの、その他は農薬や化学肥料を一切使用せず、世界遺産に指定された「白神山地」の土壌から研究・開発した微生物を用いた自然肥料を使用した微生物農法による残留農薬の無い米作りや、幻の酒米として知られる「亀の尾」(病害虫に弱く、収量が少ないため、ほとんど作付けされていない希少な酒米。テレビドラマ「夏子の酒」で幻の米のモデルとなった)を栽培して、県外の有名な酒蔵にも出荷しているという農家、更には、山から流れ出る清水(献上米として選ばれたことがある水域)で栽培された米など様々ある。余談として、「亀の尾」は意外とパエリアにして食べるとおいしいそうだ。
 鈴木さんは、秋田にはこだわりをこだわりとせず、良い産物を生み出している農家が、まだたくさんあると断言する。その産直農家の掘り起こしを鈴木さんが自ら行う一方、その良きパートナーである副社長の星加さんが、関東から関西にかけての販売を一手に取り仕切っているやり手だそうで、今後この二人のタッグに注目したい。
 「こめたび」が現在取扱っている品目は米と栗(西明寺栗)だけだが、「秋田には他にも多くの農産物や豊かな自然がたくさんあるので、その農産物を中心に秋田の自然や祭り・文化について情報を発信していきたい」と鈴木さんは語る。
(2007年11月 vol.316)