県内に広く生育する秋田杉は、木曾ヒノキ、青森ヒバとともに日本三大美林の一つに数えられ、その建材は美しい木目や優美な色、香りを特長とし、全国的にも和室建築への利用など人気が高い。
1979年(昭和54年)に創業した同社は、この全国に誇れる天然秋田杉や秋田杉を活用し、住宅向けの無垢天井板や内装材の製造・販売を行い、今では木都能代市を支える企業の一つとなっている。
近年、生活様式の洋風化が進み新築住宅における和室の割合が減少していることから、無垢材など高級銘木の需要が次第に減少しているが、一方では、釘打ちが見えない本実(ほんざね)加工板に対する需要が増しているなど、住宅建築に活用される部材の種類に大きな変化が現れている。

こうした状況を踏まえ、同社では、今後も安定した顧客を確保しながら経営改革を図っていくため、これからの顧客に受け入れられ、しかも自社の特徴を生かすことができる本実加工板の新商品を開発し製造・販売していく必要があると考えた。そして、最初に考案したのが「寄木格子内装材」であった。当内装材は、銘木加工技術を生かし六つの本実加工板を縦横に接着加工してパネル化したものであり、現代の建築様式に合わせることのできる新しいデザインの新商品として考案したものである。平成17年度から3年間、経営改革総合支援事業を活用し、商品化に向けた研究や改良を重ねながら、「寄木格子内装材」の他、「寄木腰板」や「寄木本実」など、秋田杉の良さを生かした多様なデザインや安価な製品の要求に対応する様々なグレードの製品を開発してきた。

現在、これらのサンプルや製品のリーフレットを作成し、展示会や内覧会等を活用しながら全国に向けた販路開拓を行っているが、一枚板と比べ、板を縦横に組む寄木内装材は反りや狂いを吸収し易いという長所があることから、デザイン的な面に加えこうした機能面でも次第に評価されつつあり、県外業者からの問い合わせやサンプル請求も寄せられているとのことである。
同社の製品は、主に一般の壁材や天井材のほか屋根裏材として利用されているが、今後はさらに建築様式に合わせた間仕切り材や、床材への応用、インテリアとしての用途を提案していく他、環境と健康を最優先した「ロハス住宅」のニーズに応えて、天然素材の秋田杉の用途拡大に努め、全国にアピールしていきたいとのことである。