タイトル-ビジネスレーダー
ナノセメントの活用でグリーンマネジメントを目指す 代表取締役 若松 寿樹さん
若松コンクリート株式会社
〒018-5731
大館市比内町笹館字細越1-1
TEL.0186-55-0181
FAX.0186-55-0183
URL http://www.wakamatsu-
concrete.co.jp/
  
 コンクリート二次製品メーカーとして、大正14年に創業を開始、現在はコンクリート二次製品の他、微粉セメント、補修スプレーなどの製造・販売を行うとともに、環境負荷低減コンクリート製品の開発に力を注いでいる。若松コンクリート株式会社の若松寿樹社長にお話を伺った。
 若松コンクリートでは、リサイクル材の有効活用による環境にやさしい製品づくりを目指しており、特に微粉セメントとリサイクル材のフライアッシュなどとのコラボレーションについて研究開発を行っている。平成17年度には当センターの産学官技術開発実用化事業において「フライアッシュを用いたコンクリートの開発」のテーマで採択されたほか、「自己修復型コンクリートひび割れ補修材」をテーマに首都圏の専門家などによる市場性の評価を実施するあきた目利き倶楽部事業のほか、東北経済産業局のBUYベンチャーセールスパートナー事業も活用した。
 そこで、リサイクル材のフライアッシュとは何か。フライアッシュとは石炭火力発電所から排出される石炭灰の一種を言い、JIS規格によりT種からW種に分類されているものだ。このフライアッシュを混ぜることにより、長期間に渡り強度が増進し、耐久性に優れた構造物が出来ると言われている。
 また、硬化後の収縮率が小さいため、ひび割れが発生しにくいとも言われており、主にダム工事などで活用されている。
 しかし、フライアッシュをコンクリートに混ぜると初期強度発現性が小さくなるというデメリットがあり、初期強度が必要な製品製造に不向きな材料である。これを若松コンクリート独自の技術により開発された微粉セメントをコンクリートに少量混ぜることにより初期強度を大きくすることが可能となる。
 微粉セメントは材料コストに比べて製造コストが非常に高く、現在まで実用化はされていないという。そこで、若松社長は、中国清華大学の粉砕技術と若松コンクリートの持つ微粉セメント技術との連携により、品質の良い安価な微粉セメントの使用を実現したいと考えている。
 若松社長は、「フライアッシュの混合によるリサイクル材の有効活用することで社会貢献への寄与と社内的にはコスト縮減を実現させたい」と語る。
 若松社長は全国の火力発電所近くにある同業者を対象に「ナノセメント研究会」設立の呼びかけ、今年4月、7社による「ナノセメント研究会」(会長:若松コンクリート(株)社長)を発足させた。現在では会員が8社となり、秋田県の他、山形県・新潟県・京都府・熊本県・福井県の6県にまで広がっている。この研究会では、微粉セメント使用にあたっての各生産現場のコンサルティングを行い、コンクリート分野でもグリーンマネジメントの重要性を考慮しながら、フライアッシュなどのリサイクル材を有効に活用し、微粉セメント自体を全国的に普及させたいという。
 また、秋田県ではフライアッシュが県の指定リサイクル製品への認定には至っていないらしいので、研究会を通じて他県からの情報交換を行い、認定を受けるためにはどのようにしたら良いのかを検討しているという。

ひび割れ補修スプレーの開発
 若松コンクリート株式会社では、長年に渡る技術のノウハウを基に、コンクリートのひび割れに対応するため、「コンクリートひび割れ補修スプレー」の開発・販売を行っている。このスプレーは、ナノ技術を用いた微粉セメントを使用しており、「誰でも簡単に補修ができる」を実現したものだ。特徴としては、微粉セメントを使用したことにより、硬化速度が早いため有害物質の侵入を早期に遮断できる点だ。更に特殊バインダーの効果により、コンクリートに浸透・改質し、コンクリート内部の空隙にセメント結晶を作り出すことにより自己修復させるというものだそうだ。
 
タイトル-ビジネスレーダー
自然エネルギー製品を世界へ 代表取締役社長 齊藤 健悦さん
株式会社アイセス
〒018-1512
秋田県南秋田郡井川町北川尻字下田面替場11-1
TEL.018-874-3252
FAX.018-874-3242
URL http://www.aises.jp
  
  昭和55年から、秋田県井川町の地で、各種プリント基板ASSY、各種制御板・受配電盤の設計と製造を主要業務として、秋田県の製造業の先頭を走ってきた株式会社アイセス。高い技術と確実な生産管理で、お客様の要望に応え続けている同社が、そのノウハウで更に業務幅を広げている。
 同社が取り組む自然エネルギー製品の一つが、「太陽光発電モジュール」だ。同社がアメリカ製の太陽光発電パネルの国内代理販売を始めた平成2年当時、太陽光発電はソーラーカーなどのイベントに用いられるだけでまだまだ産業化は進んでいなかった。国内大手メーカーが製造・販売に進出したこともあり、徐々に一般にも普及していった中、同社は顧客の要望に合わせてパネルの加工や組立などの製品化技術を培っていった。現在では、アイセスブランドの太陽光発電モジュールを県内外に施工し、公共施設や公園、道路の街灯として多くを目にすることが出来る。原料を熟知し、資材調達から設計・組立・販売・施工までを一貫して行うことができる同社だからこそ、一件一件、顧客のニーズに合わせた製品を提供することが可能となっているのが何よりの強みだそう。発電を制御するコントローラーと一体となった製品もあり、様々な場面に合わせた応用が可能となっている。当センターの「あきた目利き倶楽部」に参加し専門家のアドバイスも受けた。今後は国内に留まらず世界へと販路を広げていきたいと考えているそうだ。
 このほか、顧客の要望から製品化に取り組んだ「融雪制御コントローラー」は、雪国秋田に住む上で大きな課題である融雪を、地温センサーや降雪センサーなどの制御システムを組み込むことで最低限の電力と最適な作業で行うことを可能としたものだ。
 同社は、「太陽光発電モジュール」、「融雪制御コントローラー」などの新しい製品や自社の技術をもっと広報し取引先を開拓するため、展示会へも積極的に参加しており、11月14日から三日間、横浜市で開催された組み込み総合技術展「Embedded Technology 2007」にも、TOHOKUものづくりコリドーの合同出展企業として参加したばかりだ。自然エネルギー製品の開発から販売までを担当している開発企画室の齊藤氏は、「予想以上の反響があって、通常の営業では会うことの出来ない様々な企業と会えました。今後、一緒に仕事が出来そうな話も出ましたし、大きな収穫となりました。夜には、東北各県の出展企業がそれぞれ地元の日本酒を来場者に振る舞い、ブースは大いに賑わいましたし、東北が一体となることでより集客力が高まった感じでした」と、手応えを語ってくれた。
「従業員は50名を限度としています。個々に高い技術と意識を持った従業員がいれば良いものを作れます。お客様のアイデアを形に出来る技術力、提案力を持った企業でありたいと考えています」という社長。上海の自社工場とも切磋琢磨しながら、世界的価格競争に耐えうる生産システムを構築している。今後も、新しい技術を世界へ提案していくだろう。

太陽光充電式庭園灯
(写真はLEDモデル)
(2007年12月 vol.317)