コンクリート二次製品メーカーとして、大正14年に創業を開始、現在はコンクリート二次製品の他、微粉セメント、補修スプレーなどの製造・販売を行うとともに、環境負荷低減コンクリート製品の開発に力を注いでいる。若松コンクリート株式会社の若松寿樹社長にお話を伺った。 若松コンクリートでは、リサイクル材の有効活用による環境にやさしい製品づくりを目指しており、特に微粉セメントとリサイクル材のフライアッシュなどとのコラボレーションについて研究開発を行っている。平成17年度には当センターの産学官技術開発実用化事業において「フライアッシュを用いたコンクリートの開発」のテーマで採択されたほか、「自己修復型コンクリートひび割れ補修材」をテーマに首都圏の専門家などによる市場性の評価を実施するあきた目利き倶楽部事業のほか、東北経済産業局のBUYベンチャーセールスパートナー事業も活用した。 そこで、リサイクル材のフライアッシュとは何か。フライアッシュとは石炭火力発電所から排出される石炭灰の一種を言い、JIS規格によりT種からW種に分類されているものだ。このフライアッシュを混ぜることにより、長期間に渡り強度が増進し、耐久性に優れた構造物が出来ると言われている。 また、硬化後の収縮率が小さいため、ひび割れが発生しにくいとも言われており、主にダム工事などで活用されている。 しかし、フライアッシュをコンクリートに混ぜると初期強度発現性が小さくなるというデメリットがあり、初期強度が必要な製品製造に不向きな材料である。これを若松コンクリート独自の技術により開発された微粉セメントをコンクリートに少量混ぜることにより初期強度を大きくすることが可能となる。 微粉セメントは材料コストに比べて製造コストが非常に高く、現在まで実用化はされていないという。そこで、若松社長は、中国清華大学の粉砕技術と若松コンクリートの持つ微粉セメント技術との連携により、品質の良い安価な微粉セメントの使用を実現したいと考えている。 若松社長は、「フライアッシュの混合によるリサイクル材の有効活用することで社会貢献への寄与と社内的にはコスト縮減を実現させたい」と語る。 若松社長は全国の火力発電所近くにある同業者を対象に「ナノセメント研究会」設立の呼びかけ、今年4月、7社による「ナノセメント研究会」(会長:若松コンクリート(株)社長)を発足させた。現在では会員が8社となり、秋田県の他、山形県・新潟県・京都府・熊本県・福井県の6県にまで広がっている。この研究会では、微粉セメント使用にあたっての各生産現場のコンサルティングを行い、コンクリート分野でもグリーンマネジメントの重要性を考慮しながら、フライアッシュなどのリサイクル材を有効に活用し、微粉セメント自体を全国的に普及させたいという。 また、秋田県ではフライアッシュが県の指定リサイクル製品への認定には至っていないらしいので、研究会を通じて他県からの情報交換を行い、認定を受けるためにはどのようにしたら良いのかを検討しているという。
ひび割れ補修スプレーの開発 若松コンクリート株式会社では、長年に渡る技術のノウハウを基に、コンクリートのひび割れに対応するため、「コンクリートひび割れ補修スプレー」の開発・販売を行っている。このスプレーは、ナノ技術を用いた微粉セメントを使用しており、「誰でも簡単に補修ができる」を実現したものだ。特徴としては、微粉セメントを使用したことにより、硬化速度が早いため有害物質の侵入を早期に遮断できる点だ。更に特殊バインダーの効果により、コンクリートに浸透・改質し、コンクリート内部の空隙にセメント結晶を作り出すことにより自己修復させるというものだそうだ。
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