タイトル-ITコラム
ITと著作権を考える Profile:アットサービス株式会社 ITコーディネータ 加賀 佐ITと著作権を考える

 読者の皆様の企業もホームページを開設されていることでしょう。
 また、商品、サービスの説明パンフレットを作成しお客様に配布されていることでしょう。
 その、ホームページや、パンフレットは著作権が守られているでしょうか!

「著作権と著作物に関する定義」

著作権法第1条:
 条文では「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
 つまり、著作権法とは「著作物を保護する事で文化の発展を図ること」を目的としている法律です。要は、著作物を守る(創作活動をしているたくさんの著作者を守る)ことにより、より多くの文化的作品を出し、文化の発展を推し進めることです。

著作権法第2条1項1号:著作物
 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
 著作物は、人間の考えが反映されたもので、創造的なものでなければならず、かつ、アイデア(発明)ではなく実際に表現されたもの、そして文化的なものとなっています。
例1 事実を伝えただけのもの(このコンピュータの実装メモリは2GBである)は該当しません。
例2 国民に広く知らしめるべき内容との判断により、憲法や法令、裁判所の判決などは該当しません。
例3 小説、論文、音楽、舞踊、絵画、建築、映画、写真などのほかに、地図やコンピュータプログラム、データベース(データそのもの、整理方法)、百科事典や新聞記事なども著作物と認められています。

経営戦略への展開(経営者を支援する立場)

 著作者には著作者人格権(1.公表権、2.氏名表示権、3.同一性保持権)という精神面を保護する権利が認められています。
[公表権]著作者に、著作物を公表する時期、方法の決定権を認める。
[氏名表示権]著作者に、著作物若しくは公衆への提示に際し、名義の決定権を認める。
[同一性保持権]著作者に、著作物及び題号の同一性の保持を認め、改変を受けない権利を認める。
 これらの権利は、「著作者の了承なしに、著作物を勝手に公表したり、別のタイトルをつけたり、一部であっても変更したりしてはいけない」を著作者に認めるものです。
 デザイナーにあるキャラクターのデザインをしてもらったが、デザイナーに断らずに一部デザインを変更(変更の規模は関係ありません)し、公表しました。
*デザイナーに謝礼をしていたとしても、著作者人格権を犯すものです。

経営戦略とITCプロセス

 もし、著作権が侵害されていると判断された場合は、著作権侵害者に対して以下の、法的措置をとることが出来ます。また、著作権を侵害した場合は、刑事罰を受ける可能性もあります。
 1.差止請求権
 2.損害賠償請求権
 3.慰謝料請求権
 4.不当利益返還請求権
 5.名誉回復等の措置の請求

身近な著作権を侵害しているケース

例1 他のホームページに掲載してあった美しい写真をコピーし、弊社(個人を含む)ホームページに掲載した。(コピー元のホームページで、許可されている場合は問題ありません。)
ホームページから他のページへリンクを張る行為は、著作権の侵害にはあたらないと考えられますが、無断でリンクを張るという行為は、控えたいものです。
例2 講演会でのプレゼンテーション資料作成のために、自分以外の著作者の本から著作者に無断で「引用」し、プレゼンテーションをした。
(ただし、他人の著作物であっても「引用が公正なもので、かつ、正当な範囲で行われるものであれば、利用可能です。)
例3 市販のCDをコピーし、友人にプレゼント(有料、無料は関係ありません)した。
例4 有料のメールマガジンを購読しているが、素晴らしい内容だったので社員に転送した。
(有料のメールマガジンは著作物と考えられるので、発行者の許諾を得ずに転送する事は著作権を侵害する行為とみなされます。無料のメールマガジンはこの限りではありません。)

 意外と、知らずに著作権を侵しているケースがあるかと思いますので、御社のホームページやプレゼンテーション資料、パンフレットなどを見直ししてみることをお勧めします。

 IT経営で企業のフットワークを強化することが出来ます。疑問なことがありましたら、ITコーディネータにご相談ください。ITC秋田のITコーディネータは皆さまの疑問にお答えいたします、ぜひお気軽にお声掛けください。

  
(2007年12月 vol.317)