経営探訪
ABL(動産・債権担保型融資)で安定・安心経営規模拡大に挑む!!
ポークランドグループ 代表 豊下勝彦

社名:ポークランドグループ
本社:鹿角郡小坂町小坂字台作1-2
TEL.0186-29-4000
業務内容:養豚業
URL:
http://www.momobuta.co.jp

 美味しい「桃豚」の生産で知られるポークランドグループは、SPF豚(健康豚)を生産する(有)ポークランド・(有)十和田湖高原ファーム・(有)ファームランドと有機廃棄物の処理と再資源化を行う(有)小坂クリーンセンターの4社からなっている。
 同社は、平成17年に県内では初めてとなる動産・債権担保型融資(アセット・ベースト・レンディング(以下ABL))を受けた。その取組や経営方針などについて 豊下勝彦 代表にお話を伺った。

  現在、母豚3,200頭を飼育していまして、年間75,000頭を出荷、出荷額が約24億円になっています。この出荷額は、鹿角地域全体の米の出荷額のおよそ1.5倍に匹敵し、養豚業を鹿角地域での大きな産業に育て上げることが出来ました。これも、桃豚の食味はもちろんのこと、日本初の生産情報公表JAS規格の認証を受けていることなど、「安全で安心できる豚肉を消費者にお届けする」という当グループの方針と実践が強い支持をいただいていることによると思っています。

 ところで、事業規模が大きくなるということは、運転資金の確保が経営上の大きな要素になります。これまでは、融資金に見合った不動産などの担保物件を持たない場合は、なかなか融資してもらえないことがほとんどだったのではないでしょうか。そこで、当グループが平成17年に商工中金からお話をいただいたのがABLなのです。これは、経済産業省が中小企業に対する新しい融資(金融)システムを作るという流れで始まったもののようです。当グループの十和田湖高原ファームに対して、県内で初めて設定させてもらいました。
ICタグ付耳票
 ABLが可能だったポイントが、当グループが平成16年から生産管理のために導入していたICタグ化にあります。ICタグの使用により、動産である豚を一頭ごと確実に個体管理出来ていたことで、これを担保設定できるとして2億円を限度とする運転資金の融資枠を設定していただいたわけです。

 現在、(有)ファームランドとして新たな農場を建設中であり、来年の6月から出荷態勢に入る予定です。これにより、生産規模と出荷額は約50%増に拡大できることになります。
 今回は、このファームランドに対して秋田銀行と農林漁業金融公庫、JAかづのの協調による2億円のABLを実施してもらうことになりました。金融機関に変更があったのは、金融についても複数の取引を持つことが必要であるとの考えと、秋田銀行と農林漁業金融公庫が積極的な姿勢を見せてくれたからです。このABLは、当グループの経営に安定・安心を与えてくれたものとして大きな意味合いを持っています。

 このほかに、当グループでは米に頼らずに野菜と畜産で生きていくことを地域課題として取り組むことにしています。オーガニックファームとして有機野菜100haを目標に頑張っているところで、米の生産農家とタイアップして飼料米の生産にも着手しています。これらの取組を含めまして多くの方々のご理解とご協力が必要となりますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。


金融機関としてのABLへの取組
秋田銀行 営業支援部 部長代理 伊藤 淳
 今回のABLは、当行としても初めての取組でしたが、ポークランドグループのICタグ付耳票による秀でた生産管理が大きなポイントとなりました。当行と農林漁業金融公庫の業務協力をベースとした大型融資ですが、これは、「設備資金の協調融資」、「経営支援協定締結」、および「運転資金のABL対応」を組み合わせた、農業融資では全国でも初めての協調支援スキームになります。
 ABLによる運転資金融資は、当行と「かづの農業協同組合」が動産である肥育豚と本事業で発生する売掛債権を譲渡担保としたりして対応しています。支援金融機関がお互いの機能や特性を活かすことが出来たと思っています。
 これまでの融資形態と言えば、不動産担保が中心ですが、ABL対応によって不動産が無くても事業拡大の可能性が高くなります。他県の融資事例では、酒造メーカーの原酒、水産物加工企業の魚介類、医療関連器機卸売業の在庫や商品などと幅広く対象としているようです。担保管理できるものであればよいのですから、肉牛やお米も考えられます。
 現在、当行はABLに関する体制づくりに取り組んでおります。今後も、農業や商工業の支援に積極的に取り組んで参りますので、お気軽にご相談ください。
 ABLについては、10月号(vol.315)「経営サプリメント」でもご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

 ABLについては、10月号(vol.315)「経営サプリメント」でもご紹介しておりますので、是非ご覧ください。
(2007年12月 vol.317)