昭和26年(1951年)創業の株式会社大門電機商会は、秋田市を拠点に住宅等の電気工事を主体に事業を展開していたが、平成16年に大手ハウスメーカーとの取引を止めたことを契機に、下請け中心の受注構造を転換し、新たな事業展開を図っている。大門孝社長にお話を伺った。 建設業界では構造不況が10年以上続き、売上げも利益も減少する中で同業者と同じ土俵で競争するにも限界があったわけです。そこで当社は、これまで培ってきた「省エネ・安全・安心・防犯・快適性アップ」といった提案を前面に出して電気設備のプロとしての営業活動に特化し、施工作業そのものは以前から協力関係にあった同業者に委託する方式に転換しました。お互いに得意分野に特化することにより長所をさらに伸ばし、仕事の効率化を目指すシェアリングと理解していただければ良いでしょう。 新事業についてですが、当社は住環境向上を目指す環境ビジネスに取り組んでいます。具体的には平成15年からシックハウス症候群やカビ、細菌、化学物質から発生する悪臭を除去する消臭・抗菌事業を始めました。以前のことですが、住宅の増改築現場で浴室やキッチンを解体したときに健康に悪影響のあるカビが壁一面に生えているのを見て、「なんとかしなくてはいけない」と感じると同時に、「これはビジネスになるかも」と思いました。その後、光触媒を使った「消臭・抗菌加工の出張サービス」を始めました。平成16年には悪臭で困っていた秋田市の老人保健施設で採用され、光触媒でコーティングした部屋の窓ガラスや壁面に太陽光が当たるだけで、オムツ臭や薬品のニオイなどが消え、大変喜んでいただきました。 さらに現在は、「におい110番」という商品名の消臭・抗菌剤の販売を行っています。安全で効果の高い銀を主成分とする消臭・抗菌剤で、カビや細菌の活動を抑え(抗菌)、タバコ臭やオムツ臭、ペット臭、加齢臭(体臭)などをあっという間に消してしまうんです。この製品は、(財)あきた企業活性化センターの紹介で知り合った日本スターチ総研(本社秋田県産業技術総合研究センター内)が開発したもので、当社がその販売権を得たものです。さらに、同センター知的所有権センターの指導で平成16年には「におい110番」の商標登録をすることができました。お陰さまで「消臭のことならにおい110番へ」というブランドが出来上がりつつあります。 当社の環境事業のもう一つの柱に「建物メンテナンス事業」があります。最近は新築工事が減っていますが、既存建物の維持・修繕メンテナンスは増えているのです。その中でも当社だけの得意な仕事があります。県南地方では冬季になると地下水をくみ上げて道路や駐車場などの融雪をしています。ところが、この地下水に含まれる鉄分のために、春になると地下水が掛かった路面や外壁が真っ赤に汚れて困っていたのです。当社では、環境にも人にもやさしい洗剤を使い、今まで落とせなかった赤サビ汚れを除去しています。今では銀行やホテル、建設会社、ビルメンテナンス会社からも注文をいただいております。 建物メンテナンスの究極の姿は「汚れない建物」にすることですが、当社ではコンクリート部分の劣化を防ぎ、汚れないコンクリートにかえる特殊なコーティング加工を行っています。平成17年に秋田市の動物病院でコンクリート打ち放しの壁面にコーティング加工したところ、雨の日も雪の日もコンクリートは濡れ色にならず、汚れも付いていません。お客様にたいへん満足していただいています。 新事業の売上げは徐々に伸びていますが、新しいことに取り組むには困難がつきものです。製品開発でお世話になった方々や仕事を発注してくださったお客様に報いるためにも、今後も愛着と責任感をもって取り組んでいきたいと思っております。 |
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【業務内容】 電気工事業、消臭・抗菌加工、建物メンテナンス、防カビ処理 |
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