タイトル-ビジネスレーダー
おいしい“お茶菓子”を作りたい! 代表取締役 佐藤傳彦さん 佐藤恵美子さん
有限会社蕗月堂
〒019-0503
秋田県横手市十文字町西原一番町74
TEL.0182-42-0206
FAX.0182-42-0553
  
 家で一服する時のお茶請けや、ちょっとした手土産としてのお茶菓子。皆様はどのように選んでいるだろうか。
 横手市十文字町の(有)蕗月堂(ろげつどう)は、素材や製法を地道に研究し、最高に美味しい“お茶請け”の和菓子づくりを目指している。「和菓子を作るのも食べるのも好き」と言う佐藤社長は、4年前にそれまでの個人事業を法人化、平成18年2月に手狭だった工場を現在の建物へ移転してから、一層おいしさの探求に明け暮れる毎日を送っている。「いわゆる“お茶請け”、“お茶菓子”で、本当においしいものを作る和菓子屋になりたいんです。お客様に「あの店のあの饅頭が食べたい」、「十文字のあのどら焼きをあの人にあげたい」と言っていただけるような和菓子を作りたい」と話す社長が、昨年度新しく開発し販売しているのが「黒糖しっとりまんじゅう」。取締役である妻、恵美子さんと共に様々な素材を探し、研究し、社長が惚れ込んだ沖縄県波照間産の黒糖を使い、以前から定番商品として販売していた黒糖使用の「しっとり饅頭」とは材料も製法も全く違う新しい饅頭を作り上げた。この饅頭の特長は、なんと言っても皮の生地の波照間産黒糖のまろやかな甘み。社長は、「でも、まだ完成品とは思っていません。この黒糖本来の、ふわっと広がる独特の風味をもっと生かして、もっともっと上のおいしさをこの饅頭で実現したいんです」と意欲を話してくれた。
 もともと同社は、製品のほとんどを県内外のスーパー等の小売店に卸していたが、工場の移転に伴い、直営の店舗を開店させ、消費者への直接販売を始めた。社長は、「近所のお年寄りがお茶を飲みに寄ってくれる、子どもたちがお小遣いを握って団子一本を買いに来てくれる、そういう場を提供できることがとても嬉しい」と話す。また、これまで職人のカンに頼っていた部分を見直し、専門家の指導を受けながら、数字を重視した工程・温度管理の徹底を図ったところ、より一定した味や食感、品質保持期間の商品を提供できるようになったという。
 同社は、「黒糖しっとりまんじゅう」等の材料にこだわった新しい主力商品の開発のほか、高品質の商品生産のための衛生管理、新たな加工技術への挑戦を3つの柱に、経営改革に取り組み、平成19年10月に経営革新計画の承認を受けている。衛生管理は、食品製造の衛生管理ガイドラインとも言うべき秋田県版の“HACCP(ハザップ)方式”を取り入れ、保健所の指導を積極的に受け、従業員一人一人の意識を改革するなど、強力に改善を進めているそうだ。新たな加工技術への挑戦は、消費者の多様化する嗜好に対応するため、冷凍しても、常温でも、温めてもおいしい和菓子の開発・商品化に挑戦したいということだ。
 産地や賞味期限の偽装など、食品業界の暗いニュースが聞かれる昨今だが、「真面目にやっている私たちには、消費者の評価を得る好機」と、前向きに捉えている。「和菓子製造業は、安全・安心、健康志向が強まる今、その要求に応えることが出来る伸びしろのある業界だと思います。夢はたくさんあります。原点はこれです!」とお茶を指さして笑った社長。食べた人がほっと一服いれられるような“お茶菓子”作りを追求する。
HACCPとは?
Hazard Analysis and Critical Control Point危害分析重要管理点方式。食品の製造管理システムの1つで、食品の製造・加工工程において発生する可能性のある危害を予め分析し、この結果を基に衛生管理するとともに、その中で特に重点的に監視する必要のある重要管理点を定め、その工程を連続的に管理することにより製品の安全性を保証する方法。秋田県においても、県などが推進に取り組んでいる。
 
タイトル-ビジネスレーダー
まちの電気工事店がはじめた環境ビジネス 代表取締役 大門孝さん
株式会社大門電機商会
〒010-0061
秋田市卸町5丁目14-13
TEL.018-866-3511
FAX.018-866-3513
URL
http://www.nioi110.jp
http://daimon.interlink.or.jp/
E-Mail
info@nioi110.jp
  
 昭和26年(1951年)創業の株式会社大門電機商会は、秋田市を拠点に住宅等の電気工事を主体に事業を展開していたが、平成16年に大手ハウスメーカーとの取引を止めたことを契機に、下請け中心の受注構造を転換し、新たな事業展開を図っている。大門孝社長にお話を伺った。
 建設業界では構造不況が10年以上続き、売上げも利益も減少する中で同業者と同じ土俵で競争するにも限界があったわけです。そこで当社は、これまで培ってきた「省エネ・安全・安心・防犯・快適性アップ」といった提案を前面に出して電気設備のプロとしての営業活動に特化し、施工作業そのものは以前から協力関係にあった同業者に委託する方式に転換しました。お互いに得意分野に特化することにより長所をさらに伸ばし、仕事の効率化を目指すシェアリングと理解していただければ良いでしょう。
 新事業についてですが、当社は住環境向上を目指す環境ビジネスに取り組んでいます。具体的には平成15年からシックハウス症候群やカビ、細菌、化学物質から発生する悪臭を除去する消臭・抗菌事業を始めました。以前のことですが、住宅の増改築現場で浴室やキッチンを解体したときに健康に悪影響のあるカビが壁一面に生えているのを見て、「なんとかしなくてはいけない」と感じると同時に、「これはビジネスになるかも」と思いました。その後、光触媒を使った「消臭・抗菌加工の出張サービス」を始めました。平成16年には悪臭で困っていた秋田市の老人保健施設で採用され、光触媒でコーティングした部屋の窓ガラスや壁面に太陽光が当たるだけで、オムツ臭や薬品のニオイなどが消え、大変喜んでいただきました。
 さらに現在は、「におい110番」という商品名の消臭・抗菌剤の販売を行っています。安全で効果の高い銀を主成分とする消臭・抗菌剤で、カビや細菌の活動を抑え(抗菌)、タバコ臭やオムツ臭、ペット臭、加齢臭(体臭)などをあっという間に消してしまうんです。この製品は、(財)あきた企業活性化センターの紹介で知り合った日本スターチ総研(本社秋田県産業技術総合研究センター内)が開発したもので、当社がその販売権を得たものです。さらに、同センター知的所有権センターの指導で平成16年には「におい110番」の商標登録をすることができました。お陰さまで「消臭のことならにおい110番へ」というブランドが出来上がりつつあります。
 当社の環境事業のもう一つの柱に「建物メンテナンス事業」があります。最近は新築工事が減っていますが、既存建物の維持・修繕メンテナンスは増えているのです。その中でも当社だけの得意な仕事があります。県南地方では冬季になると地下水をくみ上げて道路や駐車場などの融雪をしています。ところが、この地下水に含まれる鉄分のために、春になると地下水が掛かった路面や外壁が真っ赤に汚れて困っていたのです。当社では、環境にも人にもやさしい洗剤を使い、今まで落とせなかった赤サビ汚れを除去しています。今では銀行やホテル、建設会社、ビルメンテナンス会社からも注文をいただいております。
 建物メンテナンスの究極の姿は「汚れない建物」にすることですが、当社ではコンクリート部分の劣化を防ぎ、汚れないコンクリートにかえる特殊なコーティング加工を行っています。平成17年に秋田市の動物病院でコンクリート打ち放しの壁面にコーティング加工したところ、雨の日も雪の日もコンクリートは濡れ色にならず、汚れも付いていません。お客様にたいへん満足していただいています。
 新事業の売上げは徐々に伸びていますが、新しいことに取り組むには困難がつきものです。製品開発でお世話になった方々や仕事を発注してくださったお客様に報いるためにも、今後も愛着と責任感をもって取り組んでいきたいと思っております。
【業務内容】
電気工事業、消臭・抗菌加工、建物メンテナンス、防カビ処理
(2008年2月 vol.319)