経営探訪
秋田にはない、秋田の店をつくる
株式会社エクセルコーポレーション 代表取締役社長 菊地平七

社名:株式会社エクセルコーポレーション
本社:〒018-0402
にかほ市平沢字町田108-1
TEL.0184-37-3333
FAX.0184-37-3202
URL:
http://www.hotel-excel.co.jp/
ダイニング万葉
〒010-0951
秋田市山王2丁目6-26
TEL.018-883-0333
FAX.018-823-5550
URL:
http://www.dining-manyo.jp/

 「ホテルエクセルキクスイ」というホテルをご存知だろうか。同ホテルは、日本百名山の一つ鳥海山と日本海に抱かれた秋田県にかほ市に所在し、宿泊はもとよりブライダル・各種宴会等を備えたシティホテルである。今回は、そのホテルを経営しながら、スウィーツ開発や、レストラン経営などの新事業展開に取り組んでいる株式会社エクセルコーポレーションの代表取締役社長 菊地平七 氏にお話を伺った。

 ホテルエクセルキクスイでは、“お迎えするお客様ひとりひとりに心からご満足いただけるひと時を…”をモットーに、宿泊・レストラン・宴会場など全てにおいて、何よりもあたたかいおもてなしの心とさり気なくきめ細かなサービスを心がけているという。特に料理に対しては素材から調理に至るまでこだわりを持ち、近海の新鮮な海の幸や旬の食材を素材として、日本料理から独自にアレンジしたフランス料理まで堪能できる。

 また、同ホテルのレストラン“万葉”で県産素材を使用したオリジナルプリンを開発し、製造・販売を行っている。比内地鶏の卵と鳥海高原ジャージー牛の高級ミルクを使用した“プディング”、そして、男鹿産の塩を使用した“しおぷりん”の2種類がある(価格は380円)。これらのプリンは昨年東京で開催された「プリン博覧会2007」(株式会社ナムコ主催)でも秋田代表に選出され、今年2月から全国のスウィーツを集めたテーマパーク型の飲食店「金沢デザートフォレスト」において開催される「プリン博覧会」への選出が決定しており、全国から注目されている。

 それら、ホテルエクセルキクスイのこだわりを、更に多くの人に味わってもらうため、系列会社の有限会社キクスイコーポレーションが、平成18年11月、当センターの経営改革総合支援事業(フェニックスプラン21)を活用し、秋田市内にダイニングレストラン“ダイニング万葉”を開店させた。

秋田の食材を活かした秋田にない新しいダイニング 
コンセプトは“女性の隠れ家”

 このダイニング万葉では、秋田県内の食材(合川産の比内地鶏、由利産の由利牛、十和田産の桃豚、金浦漁港他県内の漁港からの魚貝など)を使って、とことん素材にこだわることにより、秋田の食に対するイメージを変えていきたいと考えているという。従来、秋田といえばきりたんぽ、しょっつる、稲庭うどんなどが代表的な郷土料理というイメージとなっている。しかし、菊地社長曰く、「秋田は、これらの食材以外にも海の幸・山の幸に恵まれた食材の宝庫。これら多くの食材を活かしつつ、秋田で定番となっている郷土料理のほか今までに無い創作料理まで幅を広げ、秋田の人の食に対する意識を変えることで、もっと秋田を好きになってもらいたい」という。このダイニング万葉では、他の居酒屋と比べてもグレードの高い(金額ではなく!)、こだわりの料理を提供し、お客様に楽しんでもらいたいのだそうだ。

 ところで、このダイニング万葉のコンセプトは“女性の隠れ家”だそうで、「女性が気軽に訪れることのできる隠れ家」を目指したという。店は京町家をイメージした造りとなっており、内部は長のれんやロールカーテンで仕切られ落ち着ける構造となっている。さらに、女性を楽しませる美しい盛り付けの料理や、15種の梅酒や本格焼酎、カクテルなど女性の嗜好に合わせたメニューをとり揃えている。もちろん、コンセプトは女性を意識したといっても、男性客も十分に満足できる内容となっている。


ホテルのレストランから多店舗展開

 ダイニング万葉が開店してから1年ちょっとが経過した現在、秋田市内での知名度も高まり、着実に繁盛店へと成長している。「従来のホテル経営から他業種に展開する際、コンセプトをきちんと持ち、ターゲットを的確に絞ったことが結果的に良かった」と社長は語る。「このような事業展開をするには、経営者自身が時代の流れに乗り、今何が求められているかを見極め、時代にあった改革をすることが重要だと思います。経営者は次世代とのジェネレーションギャップを容認するとともに、それらを大局的に判断する度量とリーダーシップを示すことが企業の成長に必要ではないでしょうか」。

 自社の活性化と、既成概念を超えた秋田の食文化の振興が相乗効果を生むと捉え、地域全体の潤いを目指すエクセルコーポレーション。「夢のあることを仕掛けていきたい」と、熱く締めくくった。
(2008年2月 vol.319)