ビジネスレーダー

有限会社 さとう技研

 仙北郡美郷町にデジタルカメラ、内視鏡、測定器などに使われる、試作、小ロットの高難易度のレンズ加工を手がけ、業績を拡大している「さとう技研」がある。1980年代のユーミンの曲がバックグランドミュージックとして静かに流れる本社工場を訪問し、代表取締役の佐藤六廣さん(60歳)にお話をお聞きした。
 佐藤さんは、レンズ研磨を通じて、技能者と若者を結びつけ、レンズのように澄んだ心で仕事に喜びを感じて意欲を燃やす人材・仲間を作るために、会社を作りたいという決意から、2002年4月に「さとう技研」を立ち上げた。県の創業に対する補助金172万円を受け、自宅そばの倉庫を改装、仲間5人とともにスタートした。
 「創業時から、新工場を5年後に建設することが念願だった」という。橙色の瀟洒な新工場が、2007年9月に竣工、今、田植えの終わった、緑あふれる仙北平野のど真ん中に立つ。
 工場を見せてもらうと、2006年度に県の設備貸与(リース)制度で導入した新鋭のレーザー干渉計(半径等球面精度測定器)が検査工程で活躍する一方、使い込んでいると思われる機械もあった。
 「オーバーホールして、使い易いように整備した機械もあるんです。レンズの精度と工程での使い易さを考えた工場です。」
 同社の高精度極小R(半径)レンズは、宝石のようで、職人の技が輝く。手仕事中心の努力と根気が生み出すこのレンズの品質の高さが、確実に受注量を伸ばしている所以であろう。
 「中国に視察に行きましたが、技術・技能を活かした小ロット・高品位なら勝てると確信しました。技術・技能力を高め、従業員の価値を上げ、無理な価格競争をせずに利益を出せるようにしたい」という。
 佐藤さんは、国の競争的研究資金に採択された他社事業のアドバイザーを務めるほどの技術・技能力がある。だが、企業として伸びていくには、社員全員が技術・技能力を高め、価値を高めることが不可欠だ。そのため、2007年度は、当センターのフェニックスプラン21の「人材育成事業」に応募、採択され、東京の大手レンズメーカーに若手従業員1名を派遣し球面加工技術を身につけさせた。
 また、社員全員を広範囲の技術・技能力を持つ多能工化することも大きな目標だ。14名いる社員は、20から60歳代と幅広く、ベテランが若手を効果的にOJTで指導することができている。それとともに、小さなことから大きな問題点まで、全員で検討しあう。社員全員が問題点を把握し、その解決策を自ら考え話し合い、決定した解決策を全員が共有する体制を構築して、それぞれが自己研鑽に励んでいる。
 農村という立地から、地域環境に配慮するため、工場内の壁全面にステンレスを付け工程で出るミスト化した廃油を回収・再利用しているほか、現在工場廃水に含まれるガラス材や研磨材などのスラッジ(産業廃棄物残渣)を乾燥させ廃水はゼロにし、水道料金は基本料金に抑え、さらにこの乾燥スラッジを再利用できないかと県の産業技術総合センターとともに取り組んでいる。
 佐藤さんは、人材、制度、環境の経営資源を最大限活かすことが、社業発展の基礎であることをしっかりと見据え、実践していた。

 CORPORATION DATA

有限会社 さとう技研
〒019-1302 
仙北郡美郷町金沢字向小屋128-2
TEL.0182-37-3120
FAX.0182-37-3533


(2008年7月 vol.324)


美容室 cho-colon

 横手市雄物川町に明るい店構えの美容室ができた。2008年5月2日に開店した「美容室cho-colon」だ。cho-colonでは、通常のパーマメニュー、カラーメニューの他に、「ミラクル蘇生パーマ」「ミラクル蘇生カラー」の施術を提供している。これらの技術は神戸市の美容研究家 山田満雄氏が考案し、髪と頭皮の健康を第一に考えた薬液と髪を細くしない技法を組み合わせたものなのだそうだ。同店の代表で美容師の湊谷さんは、山田氏の指導を何度も受け、このミラクル技法を習得した。「この薬液を使ったからと言って、それだけで艶々の髪になれるわけではありません。確かな理論に基づく高い技術で施術することにより、髪の美しさが蘇生するのです。一度施術を受けていただければ、必ず他との違いを実感していただけると思います」と言う。施術の仕方や髪に触わってみて、「あ、ちがう」という声を聞くことができるそうだ。
 これらのメニューを含め、同店のメニューはカット2,600円、パーマ4,800円〜、カラー2,100円〜と、どれも比較的低価格。美容室の商品は「技術」。しかし、顧客に敷居の高さを感じさせるような価格設定では、せっかくの技術を提供する機会を得ることができない。同店では、「確かな技術を年齢・性別を問わず多くの顧客に提供したい」と、良心的な価格を設定している。
 また、印象的なのが店舗のインテリアだ。広い待ち合いスペースやゆったりとしたレイアウトは落ち着きを感じることができる。頭上の赤や白のシャンデリアが、日常をリセットさせてくれるような空間を演出している。「自分の思い描いていた空間、お客様にとってより快適な空間を作るため、カット台の配置や排水設備のレイアウト、照明等の内装を決めるのにとても苦労しました」と言う。
 創業に当たって、湊谷さんは当センターの「創業支援補助金」を利用し、さらに、空調や給湯等の設備導入には「設備貸与(リース)制度」を利用した。また、金融機関や専門コンサルタントの助言を受けながら、経営者としても店舗運営に砕身してきた。理美容店の多い秋田県にあって、価格以外の魅力を打ち出せなければ顧客はつかないと、ミラクルメニュー等の付加価値の高いサービス提供に努めてきた。「女性にとって美容室を変えるのは、とても大きなことです。他店には無い価格以上の価値を提供して、来てくださったお客様に喜んでいただき、『また行こう』と、ファンになっていただけたら」。
 現在は、雄物川町のほか平鹿地域全域の顧客拡大に向け広告配布するほか、来店した顧客に割引券を2枚渡し、紹介客の来店を促しているところ。また、今夏8月からは光を当てるだけの話題の美容機器「バイオプトロン」でのエステをサービスに加える予定だそうだ。
 「なにより安心していただける施術を提供したいです。家族揃って来ていただける美容室を目指します。」

 CORPORATION DATA

美容室cho-colon
〒013-0208 横手市雄物川町沼館昼飯塚11
TEL・FAX.0182-23-1610
営業時間/午前9:00〜午後7:30  
定休日/毎週月曜・第3日曜日


(2008年7月 vol.324)
 
TOPに戻る
 
財団法人秋田企業活性化センター