
湯沢・横手・由利本荘など、県内外に婦人服専門ブティック「アザレア」などのテーマ型セレクトショップを展開している株式会社タカハシは、路面店にこだわった営業を行っているほか、県内のアパレル関係では珍しいインターネット販売も手掛ける。また、新たに、「どんぶく(綿入り半天)」の国内外への製造販売を計画し、当センターの経営改革総合支援事業(フェニックスプラン21)の認定支援を受けている。意欲的な経営について専務取締役 高橋文柄
氏にお話を伺った。
創業は昭和元年です。羽後町西馬音内で祖父母が仕立業を始め、尊敬する父の代で総合衣料販売を行い、およそ30年ほど前に婦人服専門ブティック「アザレア」の経営に転換し今日に至っています。8つの店舗それぞれに独自性を持たせ、市場にあわせて客層を分けています。
ファッション販売という仕事の呼称は、販売員、ショップ店員、ファッションアドバイザー等、いくつかありますが、私たちは、一人一人のお客様に「私専属のスタイリストがいるお店」と思ってもらうことを大事にしてきました。仕事で大切にしたいものを文章にしようと、みんなが集まって3日かけて作ったミッションがあります。それが、「目指せチェンジアップスタイリスト!輝いていく事を楽しみ、ともに幸せを分かちあおう」です。
フリー客の多い駅ビルや県外の百貨店に出店した時期がありますが、客数が多い立地では、接客自体が捌き型に向かってしまいます。現在のお店が全て路面店になったのは、「一人一人のお客様のスタイリストになる」という思いが自浄的に働いたからでした。ミッション実践のため、一人一人のお客様のブリーフィングを大切にしています。来店予約された方のコーディネートを事前準備しています。これが私たちのコアコンピタンス(※1)です。
この強みをより大きな商圏で試したくなり、盛岡市と吉祥寺(東京都)にお店を出しました。盛岡は岩手全域から、吉祥寺は23区から、ファンが集まるお店を目指して1本立ったビジネスモデルを作りこんでいます。
最近のマーケット状況や消費性向の変化を考えるに、前述のコアコンピタンスだけでは、いずれ手詰まりになると感じ、今年から、ネット通販と店舗を一体化する「クリック&モルタル(※2)で日本一」を方針に掲げました。
ネット通販の勉強を始めて、通販には、通販に向いた商品があると知り、通販用の新商品開発に着手しました。秋田らしさを全国・世界に発信できる商品はないかと会議を重ねる中で、ある女性スタッフが、「どんぶぐ」を発案。商品部の女性も、「どんぶぐこそ日本最強のルームウェアだわ」と続き、「私たちの感性を集結させれば、新しいどんぶぐが作れるはずだわ」…と膨らみ始めました。
「子供の頃、好意を寄せていた女の子が風邪をひいて休みました。志願してパンと宿題を彼女の家に持って行きました。自宅の二階から降りてきた彼女の姿は…母親手作りのどんぶぐ」。そのとき感じたときめきは、今も忘れません。
昔のどんぶぐは手作り故、それはそれは、キュートなものがたくさんありました。しかしながら、現代のルームウェアは、大量生産に適したジャージやフリースが中心となり、心ときめくものが見当たりません。
日本人のDNAに根ざした古典衣装を、ファッション屋の感性で現代風に蘇らせ、表舞台に再登場させる…そんな大それた志を加えて、新しい事業計画がスタートしました。思いに共感してくれるアートクリエイターやデザイナー(なぜか40代以上ばかりだけど)が少しづつ集まってくれています。
折りしも時代は温暖化対策。同時にパリ、ニューヨーク、ミラノでは年々ジャパンブームが広がっています。ミラノでは、布団で寝るのが流行っているほどです。
私たちは、日本文化が詰まったエコウェア(どんぶぐ)の開発を急ぎ、世界進出を本気で目指しています。
※1 他社に真似できない核となる能力、競争の優位性
※2 インターネット店舗と実店舗を効果的に統合・組合わせるビジネス手法
CORPORATION
DATA
株式会社 タカハシ
湯沢市愛宕町4-5-56 TEL.0183-73-8150
代表取締役/高橋 秀夫
専務取締役/高橋 文柄
創業開始/昭和元年(1926年)
URL http://www.rakuten.co.jp/womanremix/
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