株式会社櫻山
 

羽後町西馬音内に、平成19年8月に開店した「OHZAN村Cafe´&Restaurant」が新たな観光スポットとして県内外から顧客を呼んでいる。老舗料理旅館「櫻山」から、食を中心とした観光地点OHZAN村事業へ展開を図っている株式会社櫻山、社長の榎本鈴子氏、支配人の榎本雅一氏にお話を伺った。

株式会社櫻山 http://www.ohzan.com

 櫻山とOHZAN

 羽後町西馬音内に明治から続く料理旅館「櫻山」(前:榎本旅館)は、最高級の食材を美しく饗する懐石料理を売りに現在まで営業を続けている。5代目の榎本鈴子氏と夫の雅一氏は、この櫻山に加えて「OHZAN」の名を掲げ、昨年8月から新たな店舗経営を開始した。櫻山に隣接する約千坪の美しい庭園を望むノスタルジックなカフェレストランがOHZAN村Cafe´&Restaurantだ。
 「この建物は、かつて対川荘と呼ばれた迎賓館で、明治の俳人、河東碧梧桐などの文化人が滞在したとこでも知られる貴重なものです。隣接して料理旅館を営んでいた私たちが数年前に買い受け、歴史と文化の息づく地域の宝として守るとともに、こんなに素敵なところがあることを多くの方に知ってほしく、お料理を提供する場として再建してきました」。

 秋田の野菜たっぷりのイタリアン

 同社のカフェレストランのメニューは、秋田の野菜たっぷりのイタリアン。日本料理のプロである榎本夫妻は食べることにも熱心で、特にイタリアンは作るのも食べるのも昔から大好きだったという。懐石料理とイタリアンの二つの食を扱うことについて話が及ぶと、「櫻山でお出しする懐石料理は、いわば霽れの食。需
要は減少傾向にあり、当社も懐石以外への展開を図る必要がありました。イタリア料理は家庭料理と一体となって築かれた気軽に楽しむ褻(日常)の食。秋田の農家さんが育てたおいしい旬野菜を、気軽にたっぷり味わってもらうにはぴったりの料理」とのこと。経営上の必要と、両氏の思いが重なり、秋田の野菜がイタリア
ンとなって皿を賑わす。魚介は金浦からの直送、肉や乳製品もほとんどが秋田県産で、おいしいという理由から自然に“ 地産地消”になっているようだ。
 その一方で、新しい素材を求めて日本中の食材を開拓し続け、水と肥料を最小限に抑えて植物本来の力を最大限に引き出す永田農法の野菜を新しくメニューに取り入れているところだ。

 観光地“西馬音内”にあって

 羽後町の観光は、なんと言っても「西馬音内盆踊り」。しかし、観光客が祭り期間わずか3日間に集中、温泉施設が少ないことによる宿泊客の町外流出、周遊・滞在で楽しむための観光地点の不足などの課題から、町内における観光消費は伸び悩んでいる。
 榎本夫妻は、観光地点としてもOHZAN村を伸ばしていきたいと考えていて、「祭りだけに終わらない通年観光ができる地域になれば、県外から多くのお客様が来て滞在してくれるようになると思う」と話す。「そのためにも、OHZANで秋田のおいしい食と、自然、歴史を満喫していただけるようにしたい。色々な魅力を持った村に育てていきたい」と言う。アンティークブランド「イマン」との提携、バロック音楽会の開催、盆踊りに絡めた観光ルート化の模索、デザイン性を重視したウェブページ、惣菜店運営での情報発信など、多くの要素を育て、既にOHZAN 目当てに首都圏から足を運ぶ顧客も増えているそうだ。

 地域食・健康食の伝道師

 秋田の旬の食材を使っておいしい料理を、という他に、食で健康になることも同社が売り出したい魅力の一つだ。「勉強と趣味を兼ねていた食べ歩きが過度になって体を壊した経験があって…体にいいものをおいしく食べようと思うようになりました。その方法として玄米菜食などを基本にしたマクロビオティックという食生活法を習得・実践し、その良さを多くの方に伝えようと商品開発もしていま
す」。社内に専門調理師を育成し、既に、動物性の素材を使わないマクロビオティックスイーツを開発・販売している。
 鈴子氏は地域の食材の素晴らしさを伝えたいと小学校などで“食育”のボランティア活動を実施しているほか、マクロビオティック商品の開発指導を県外から依頼されるなど忙しい毎日だ。
 地域の活性化のため自分たちにできることを惜しみなくやっていきたいという二人に、最後に、多彩で多忙な日々にあって心がけていることを聞いた。
 「最近二人で話しているのは、まずOHZAN 村のカフェレストランをしっかりやろうということ。私たちの食とサービスをきちんと提供して、お客様に喜んでいただくことを第一に考えています。」

 

CORPORATION DATA

●株式会社櫻山 〒012-1131 雄勝郡羽後町西馬音内字向下川原24-6
 URL http://www.ohzan.com
■OHZAN村Cafe´&Restaurant
TEL.0183-62-1502 FAX.0183-62-5086 E-MAIL mail@ohzan.com
営業:ランチ11:00〜14:00 カフェ14:00〜17:00 
  ディナー(予約制)18:00〜21:00 月曜定休(祭日のとき火曜)
■日本料理店 櫻山本店
TEL.0183-62-1502 営業:11:30〜21:30
■Ohzan de imane村 秋田西武店
〒010-8508 秋田市中通2-6-1
TEL. 018-832-5111


(2008年8月 vol.325)
 
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