古民家の再生と古材を使った
商業施設の施工を経営の柱に
私は木が大好きです。木造は建築の原点であると思っています。その建築の原点に戻る意味でも<21世紀の工務店>と謳っているのです。
当社は、一般住宅の建築やリフォームに加え、古民家の再生と古材を使った商業施設を手掛け、これまで多数施工させていただいています。県内の住宅着工は19年度も今年度も対前年比で20%程度落ち込むといった大変厳しい経営環境に置かれていますが、お陰様で当社は順調に推移させていただいております。
現在、経営の柱になっている古民家の再生建築は、30年程前に、古い民家を壊さないで暮らしやすいものにリフォーム出来ないかと相談を受けたことに始まります。「自分の生まれ育った家を残したい、もったいない」という施主さんの期待に応えるために手掛けた結果、その仕事は施主さんだけに留まらず、私自身にも大きな満足感を与えてくれました。
当初は商売としては考えていなかった古民家の再生なのですが、その後、蕎麦屋さんや小売店を手掛け、マスコミからの取材を受けるようになり、「古民家の良さを分かってくれる人がいる」ということを最大限に実感できました。これが、新たな営業部門を得る良いきっかけになりました。
これまでに、この古民家の再生と古材を使った商業施設の施工は、秋田県内のほか岩手県や宮城県、関東圏を含めて約50棟を数えます。営業戦略としては、商業施設の場合、トレンドに抑揚があります。店舗・飲食業・旅館と、その時々にブレイクしている業界が必ずあるわけで、そこに焦点を当てて取り組むことが大切だと考えています。

繁盛店を引き渡す
実は私自身、平成19年度には県商工会連合会のエキスパート登録専門家として中小企業支援の一端を務めてさせていただきました。これは、私の設計・施工理念が、単なる箱物を作るのではなく、店として成功することを第一に考え、客の導線、インテリアやディスプレイのあり方を真剣に考えて繁盛店を引き渡すことを念頭に置いていることを評価していただいた結果と思います。
また、当社では、古民家の再生の留まらず、古材を活かしたヨーロッパの民家の生活感を店舗に生かしたレストランや販売店、そして飲食店、温泉旅館などを幅広く提案・提供させていただいています。こういった実績が評価され、リフォームや建築デザインの全国的な賞をいただきました。古民家の再生や古材の活用は、決して簡単ではないのですが、優れた職人を育て、二人三脚で歩んできた賜と思っております。
これらの実績もあって、私はボランティアで特定非営利活動法人(NPO)日本民家再生リサイクル協会※の「古民家調査員」を秋田と岩手(北上市)で務めています。
今後も、古民家の再生建築に積極的に取り組んでいきたいですね。里山に民家を残すことが、農産物の生産振興に繋がり、さらに観光産業の発展にも繋がるのではないでしょうか。その意味では、秋田を“日本一の田舎の県”にして発展させたいと思っています。

※特定非営利活動法人(NPO)日本民家再生リサイクル協会:
マスコミ・文化人・研究者・建築家・工務店・職人・民家所有者・民家に関心を持つあらゆる人々の、全国的なネッ トワーク組織で、全国各地で行われている民家再生リサイクルの活動を支援する組織
●(財)日本住宅リフォームセンター主催 第13回全国リフォームコンクール 住宅金融公庫総裁賞
●(中)日本増改築産業協議会主催デザインコンテスト全国大会 全国最優秀賞
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