ITコラム

  11月号では、『SaaS』(サース:Software as a Service)の利点について、ITベンダ側でインフラ環境を用意し、ユーザーはインターネットを通じて必要とするソフトウェア機能をある一定期間の利用料を支払い使用する手法により、コスト削減、管理業務の軽減が図られることをご紹介いたしました。
 今号では、SaaS導入の注意点をご紹介いたします。

●サービスレベルについて【参考】

経済産業省が2008年1月に『SaaS向けSLAガイドライン』を発表しています。

参考:
http://www.meti.go.jp/press/20080121004/20080121004.html
※経済産業省HPより

別表 SaaS向けSLAにおけるサービスレベル項目のモデルケース
※本モデルケースでは、基幹系業務の場合と販売管理やグループウェアなどそれ意外の業務の場合に分けて、サービスレベル設定例を示している。
※実際の設定値は、以下の設定例を参考として、業務内容など個々の状況に応じて決定されるべきものである点に留意されたい。

 製品による違いは当然ありますが客観的評価として、現状では「ライセンス型ソフトウェア」が機能的に豊富と思われます。
 日本では、SaaS形式で提供されているサービスとしては「CRM*」が先行し普及していますが、昨今は財務会計・人事管理等の勘定系においてもSaaSの提供が始まっています。今後、SaaSが情報システムの構築・導入において1つの流れになってくると予想されます。
 当然のことながらIT導入の目的を明確化し、SaaSあるいはASPありきと決め付けるのではなく、自社開発システムやパッケージシステム等との比較検討を行うことも必要です。
 SaaS導入を検討する場合は、業務範囲、機能・性能の充足度、開発・導入時間、コスト等の観点から調査・分析はもちろんのこと、例外処理の対策・運用ルールも含めて事前に整理することが大切です。
 国内ではようやく普及の途についたばかりですが、これからさまざまなサービスが提供されていくことと思われます。今後のIT導入において、『SaaS型サービス』も選択肢のひとつとして検討されてはいかがでしょうか。

 

*CRM情報システムを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法のこと。詳細な顧客データベースを元に、商品の売買から保守サービス、問い合わせやクレームへの対応など、個々の顧客とのすべてのやり取りを一貫して管理することにより実現する。顧客のニーズにきめ細かく対応することで、顧客の利便性と満足度を高め、顧客を常連客として囲い込んで収益率の極大化をはかることを目的としている。

 



(2008年12月 vol.329)

 
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