経営さぷりメント

 1.知的財産の種類

  特産品に関係する主な知的財産として図1に示した特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの産業財産権と呼ばれるものがあります。
  新しい食品の作り方を発明すれば特許を。
 今までにないデザインのお菓子を売り出すときは意匠権を。
  面白いネーミングを商品につけて売り出すときは商標権。
  これらの権利を取得するにはまず特許庁に申請手続きをしなければなりません。

 

 

 

 

 2.知的財産活用のメリット

  特産品にこれら知的財産を活用するメリットについて説明します。本来の独占権としての活用の他に、一番重要である売り上げをつくりだす販売の一手段(道具)としての活用がお薦めです。
 特に、特許は、お客様向けに『当社製品は従来にない優れもので、特許も出願しているんですよ』という差別化商品のイメージを与えることができます。また、ライバル向けに、特許という壁を意識させて、類似品の参入を牽制する効果もあります。このように特許は商品販売の優れたツールになります(図2参照)。

図2 図3

図4

 

  更に、特許と組み合わせて、または単独で、商品イメージを高める知的財産として商標があります(図3、図4参照)。菓子店の店先に『商標登録銘菓○○』というような商品広告をみかけることがありますね。これなどは、
 当店の自慢の一品は○○なんですよ・・・
 公的な機関で認められたものなので安心な商品ですよ・・
というイメージをお客様に与えます。
 以上のように特許、商標を上手く活用して、特産品の売り上げを伸ばしましょう。

 3.県内事例

1.特許を活用した事例

納豆ドレッシング

(1)納豆ドレッシング(湯沢市、あお葉フーズ)

  日本初のオリジナル商品であることを特許出願(2005年1月)ということでアピールしました。売り出し当初の広告チラシには、特許出願中という文字がありますね。その特許出願書類は発明者である代表の菅さん自らがつくり申請しました。
  今年の5月、テレビ番組『秘密のケンミンSHOW』に特産品として紹介され、県南の特産品が、一躍全国に知られた秋田の特産品になりました。


カレーがっこ

(2)カレーがっこ(羽後町、(有)ゆめ企画須藤健太郎商店)

  須藤健太郎社長の発案で、いぶりがっこに新風!従来にないカレー味のいぶりがっこを開発し商品化しました。出願書類の作成は文章力のある社員の方が担当され、2007年3月、自力出願を果たしました。

 2.商標を活用した事例

十和田湖高原ポーク
スイカ糖『粋果の雫』
桃豚雑穀こまち

(1)スイカ糖『粋果の雫』(横手市、おものがわ夢工房)

  旧雄物川町のスイカを原料に手作りで作った特産品です。伝統製法なので特許活用は無理。そこで、このネーミングを考え、2006年9月に出願し登録商標を取得しました。徐々に名前が浸透しつつあるようです。

(2)十和田湖高原ポーク桃豚(小坂町、(有)ポークランド)
  もう説明が不要なほど全国ブランドになりました。先日はNHK総合テレビ「産地発!たべもの一直線」で全国に紹介されました。衛生的な環境で元気な豚が育っている様子には驚きでした。商標は、2003年8月に出願し登録商標を取得しました。

(3)『雑穀こまち』(北秋田市、(株)くまがい卵油研究所)
  代表取締役の熊谷さんが、米どころ秋田で雑穀を作れば更に美味しいはずだと、自家栽培したこだわりの雑穀を商品化。そのこだわりの証として名前を2008年2月に商標出願しました。

3.特許と商標を活用した事例

きりたんぽ食品
『はじめっこ』

(1)きりたんぽ食品『はじめっこ』(大仙市、(有)丸一食品

  秋田名物きりたんぽにひと工夫して、鶏肉つみれを練り込んだ、従来にない新しいきりたんぽ食品です。その独自製法を2007年6月特許出願し、オリジナル商品であるオーラを放っています。
  また、商品が独自であるからには、名前も独自のものにしようと、代表取締役社長の坂本さんの名前、「はじめ」をもじって『はじめっこたんぽ』と名付け登録商標を取得しました(2007年6月出願)。特許と商標の知財ダブルパワーで徐々に販売額が伸長しているとのことです。

(2)人参ジャム(由利本荘市、(有)岩城のかあさん)

人参ジャム

  人参とザクロを組み合わせたオリジナルなヘルシー商品です。特許出願は2002年6月。審査請求をして特許登録の取得を果たしています(特許第3690674号)。また、会社名である『岩城のかあさん』(2001年12月出願)とそのおかあさんキャラクター図案(2003年4月出願)を商標申請し、登録になっています。
 昨年から商品種類を拡充し、セット商品としての販売増を狙っています。代表取締役社長の中塚さんは、「新商品ができたら可能な限り知的財産を活用し、オリジナルヘルシー食品であることを強く発信したい」と熱く語ってくれました。

 4.秋田県知的所有権センターの支援

  特許情報アドバイザー田嶋の所属する秋田県知的所有権センターは、以上のような特許、商標を活用した商品化を支援しています。
  具体的には、
1.特許出願から取得までのサポート 2.商標出願から取得までのサポート 3.その他特許&商標に関するよろず相談
  活動費はすべて無料ですので、新たな商品開発を目指している皆様方、お気軽に連絡ください。また、12月に県内各地で商標活用講習会を、2月に特許講習会を開催しますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。

お問い合わせ先 秋田県知的所有権センター
TEL.018-860-5614
http://www.bic-akita.or.jp/ipcenter/ipcenter.htmlml


(2008年12月 vol.329)

 
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