ITコラム


 今日の激変する経済情勢、激化する経営環境の中で、経営者が最優先で取り組まなければならない喫緊の課題は、現状の事業構造・ビジネスモデルやこれからの経営戦略の見直し、収益環境の改善です。安定した収益を向上させるために、(1)競争優位に立つ自社の強みを強化する競争戦略、(2)収益のある事業をさらに拡大する成長戦略、(3)経営成熟度を高めて業務の効率化を図る業務プロセス改革の経営戦略策定と実践が重要に思われます。直近の経営戦略だけではなく中長期的(3年先以上)な視点を持つサキヨミ経営(先を読む)が転ばぬ先の杖として、最も大切なことではないでしょうか。先の見通しが見えない場合、誰もが不安になるものです。

経営戦略と整合性確保の原則

 経営のあるべき姿(経営ビジョン)を明確にして、経営目標を1年目、2年目と中間目標にブレークダウンし、経営資源(ひと・もの・かね・情報)を最適配分し、選択と集中を図りながら抜本的な経営構造改革で収益体質の改善を行うことが収益力を向上させることになり、これからの経営戦略に重要なことになります。単にITを導入し利用するだけでは、業務の効率化は図れますが、収益向上にはつながりません。
 蓄積された情報を戦術的に活用することを具体的に明確化する必要があります。情報を有効活用するIT化にあっては、経営戦略との整合性確保が原則となります。経営戦略に盛り込む施策には、経営者の熱い想いや経営理念・経営ビジョン・経営方針などが源泉となります。

経営活動のマネジメント構造

 IT経営とは、ITを有効活用して経営構造改革・業務改革を実現することです。経営構造改革なくして、新しい価値を生み出すことはできないからです。図にあるように経営活動のマネジメントを効率的に実施していくことが、時流にあった新しい企業価値や収益構造の仕組みを創り出す、具現化されたIT経営になるわけです。組織、ビジネスとしての経営構造改革→経営行動改善と、ITによる情報改革→IT実装へと、実施する仕組みづくりが経営戦略からブレークダウンされた経営施策になります。
 また、この経営施策の業務遂行には、仕組みを有効に機能させる社員や組織の能力(成熟度)が必要になります。社員や組織の能力を十分に発揮できる仕組みの導入で、経営成熟度・IT成熟度が高まり確実に経営施策を実行に移すことができます。
 中長期的に活力を高める競争戦略の道筋を示し、一方では売上を伸ばす収益力強化につながる成長戦略の仕組みも確立し、3フェーズプラン(すぐやるべき課題・当面必要なこと・中長期的に達成すべき課題)を整理し優先順位を示して、現状の経営基盤を強くしながら経営活動のマネジメントを実施することが必要になります。
 更に、ステイクホルダーとの共創のもとで、経営戦略を策定し、時にはIT経営で大胆にビジネスプロセス・ビジネスモデルを変えるという意識改革も必要に思われます。競争戦略と成長戦略を実施し、並行して情報改革を行うことで効率的な経営活動のマネジメント構造ができあがり、経営の見える化(IT経営の全体最適化)が実践できることになります。また、収益構造・体質の改善を行い継続的に収益力の向上を図ることで、先見性のある「サキヨミ経営」を実現することになり、新たな付加価値や収益力を生み出し企業価値の向上につながります。

*経営戦略の立案やIT経営のご相談はITC秋田にご連絡ください。
※参考文献資料
 ・ ITCAのITコーデイネータ(ITC)プロセスガイドライン Ver1.1
 ・ ITコーデイネータ IT経営の最新知識/井上 正和著


(2009年2月 vol.331)

 
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