中国での合弁会社設立
集成材製造は典型的な労働集約型の業種で、弊社でも秋田に従業員が約100人いますが、製品をユーザーの求める価格帯で提供しようとすれば、コストダウンが求められていました。2000年に桐材の購入のため、中国山東省 澤市まで行ったのですが、現地の商社と考え方が合い、準備期間1年ほどで製造のための合弁会社「森菊木業有限公司」を立ち上げることができました。
現在は約110人の現地従業員を抱えるまでになっています。原材料の木材の多くは南米チリから輸入し、山東省で最終製品までの加工を行い、全量を日本に輸出して菊地合板木工で販売しています。
合弁会社設立への不安
不安がないわけではありませんでした。最小限の投資を考え、最初は20人程の少人数から始め、必要な設備も本社工場の機械を持って行きました。リスクを極力抑えた立ち上げでした。
中国で合弁会社をうまく経営するポイントは、工場の稼働を継続することが合弁相手にとっても得策である状況を維持することですね。考え方としては常にギブ・アンド・ギブです。
青島事務所を開設
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取締役の菊地けい子氏 |
12人の若い社員が事務所で働いています。弊社では、住宅ビルダーから図面の提示による直接注文を受け、それから弊社が納入できる製品を拾い上げ、直接現場に輸送販売するという業態をとっていて、製造部門以外でも省力化を図ることが必要でした。
コンピューターネットワーク化が進んだ今、この拾い上げや仕分け用ラベル作成などはノウハウさえあれば何処ででもできることから、中国に情報処理拠点を置き、これらの業務を担当させています。ノウハウを取得してもらうまでには数年かかりましたが、この間の我慢を経て、今は会社に寄与する部分が大きくなっています。
海外へ新ジャンルの
製品を販売展開
けい子氏:海外への販売展開を決めた社長の意向に沿って、マーケティングは(独)ジェトロ(日本貿易振興機構)のTTPP(ビジネス・マッチング・サイト)を通して知り合ったオランダの会社と連絡を取りながら進めております。商品開発は地元のデザイン会社の協力をいただいて取り組み、出展物の制作や手続きを、新商品開発プロジェクトチームを中心に社員一体となって進めました。
また、(財)あきた企業活性化センターのフェニックスプラン21補助金による支援を受けたことが、このプロジェクトをスタートさせる大きなきっかけになりました。
メゾン・エ・オブジェは、年に2 回開かれるインテリア・デザイン・家具などの国際見本市で、世界中からバイヤーが訪れる(今年は75,755人)人気の見本市です。今回は、世界中から3000以上の企業が出展し、日本企業66社のうち、27社はジェトロのジャパン・ブースへの出展になります。敷居の高いこの見本市に、意欲のある中小企業が挑戦するチャンスを与えてくださる素晴らしい支援です。私どももジェトロさんのご指導と協力をいただきながら、このジャパンブースに応募し、フランスの主催者側の厳しい事前審査をクリアして出展することができました。
障子スクリーンを中心に江戸唐紙のスクリーン、組子パネルなど、日本の伝統の技、新しい技術で開発された障子紙などの素材も取り入れて、欧州向け製品約20種類を出品したのですが、おいでくださったお客様には品質、デザイン共に好評でした。欧州において、メイド・イン・ジャパン製品の品質に対する大きな期待と信頼を感じたのも、嬉しい事の一つでした。

国際見本市に出展するに
当たって大切なこと
けい子氏:海外の見本市、展示会に出展する場合、まず、事前のマーケット調査が大切だと、アドバイスを受けました。私どもも海外展開を考えてから1年以上市場調査をし、障子スクリーンをメイン商品に決めて取り組んでおりましたので、昨年のメゾン・エ・オブジェを視察し、同種の製品が出展されていないことを確認できた後は、この見本市への出展が大きな目標になりました。欧州のライフスタイルの中に取り入れていただける商品開発にあたり、この展示会は最高の市場調査の場となりました。直接、お客様のご感想やご意見を聞くことができたことは大きな収穫になったと思います。どのブースでも盛んに商談が行われており、華やかさの中にも緊張感が漂っておりました。私どもも、いくつかご注文を頂くことができホッといたしました。
今後も、できるだけ出展を継続することが大切だと感じております。幸い良いビジネスパートナーに恵まれ、オランダに販売流通拠点を持つこともできていますので、欧州向け製品を弊社の事業カテゴリーの一つに育て上げる努力を続けていきたいと考えています。
海外展開のポイントは
まずは行ってみること。行けば人との出会いもあります。そして、出会った人たちとの縁を大切にして、根気強く長い時間をかけて、自社に合った形態を作り上げることではないかと思っています。
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