ビジネスレーダー

ダイキョー精機株式会社

 鳥海山の麓、にかほ市に精密機械部品を製造しているダイキョー精機株式会社がある。顧客から高い技術力を求められ、得意の角物・板物のマシニング加工に特化し、単品・特急でも受けます、という方針のもと、今回の不況で、休業による生産調整を行う企業が増えている中にあって、サプライヤーとして、お客様に迷惑をおかけすることがあってはならないと、「平日は休業しません!!」と宣言している企業である。
 同社の取組を代表取締役社長 渡部幸悦 氏に伺った。

 私が、“平日は、休業しません。”と宣言したのは、山形県のメッキ加工会社さんから届いた1枚のファックスがきっかけでした。『お客様のニーズにお応えするには、製造の最終工程であるメッキ部門に休みはあってはならない、と弊社は考えます。平日、土曜日は休業しません』。私は、社長さんに、サプライヤーの原点を改めて教えてもらったと気づき、すぐさま「御社のファックスから勇気をもらいました」と電話をしました。
 そして、その文面の趣旨を引用する了解をもらい、得意先をはじめ取引の途絶えた企業までファックスを送りました、『平日は休業しませんし、納期対応のためなら、土日出勤してでもお客様のご要望にお応えします』。併せて当社の技術力を説明し、「単品・特急でも対応いたします」との方針も加えました。
 すると、「ファックスを見た。請け負ってくれないか」という反響が何件もあったのです。お客様自体が平日休業しているので、ただでさえ短納期な上に、操業日が少ないので納期短縮が日常的に起きており、当社のこの方針はお客様には渡りに船、だったようです。また、十数年、取引が途絶えていた上場企業からも引き合いがあり、売上に結びつきました。今、この不況下、お客様本位という、当社の方針に厚い信頼を得られた結果と思っています。
 工場を休み雇用調整助成金を貰っても、当社のような、小規模な企業ではあまりメリットはないと試算の結果分かりました。会社を休んで雇用調整助成金を貰うぐらいなら、稼いだほうがいい。お客様から重宝がられて、技術を認めていただき仕事をいただいた方が当社のためだと確信しています。
 私は、当社が技術で生きる企業である以上、単品、特急注文でも、お客様の声に真摯に耳を傾け、様々な工夫をこらし、技術を磨く姿勢が大切だと考えます。
 こうして磨かれた加工技術は、景気の反転期に来たときほど威力を発揮するんだと社員にも話しています。今、毎日をこうして生き抜くことが、今後の生き残り策でもあるのです。
 渡部社長は今後の方針として、第1に、攻めの営業を強化するという。新規顧客の獲得は、会社の存在意義を認めてもらっていることの現れと考えている。第2は、お客様の様々なニーズに応える力を養う多能工の育成推進である。第3は、顧客の信頼を得ること。納期を守り、良いモノを納めるという、顧客本位の原則を大切にしていきたいと話す。  

ダイキョー精機株式会社 CORPORATION DATA

ダイキョー精機株式会社
〒018-0311
秋田県にかほ市金浦字蒲萄森41-1
TEL.0184-38-2202
FAX.0184-32-4020
http://daikyo-seiki.co.jp/pc/


(2009年4月 vol.333)


株式会社シャルマン

 由利本荘市の株式会社シャルマンは、食品の企画・開発、流通、マッチング、販路拡大のコンサルタント業務を行っている。在京の大手商社で長らく食品流通に携わってきたフードコンサルタント、伊藤氏が、故郷である由利本荘市に戻り、2008年4月に設立した会社だ。
 スーパーや百貨店の食品陳列棚の顔ぶれは、季節、流行に応じて目まぐるしく変わっていく。伊藤氏曰く、「食べ物は、ファッション」。商品が棚に並び、消費者の目に留まり、購入してもらうためには、味や安全性は当然ながら、コンセプト、パッケージ、食材、販路まで、食品業界の流行を的確に捉えて商品化・販売を行う必要があるそうだ。「商品開発は、まず、お客様が何を欲しがっているかを把握することです。安定した販売を継続するためには、マーケティングの発想から商品を作り、食品流通のノウハウを持って取引を進めることです。たとえば、バーコードや目を引くラベル、包装は大前提の一つですよ」。同社は、フードコンサルタントとして培ったノウハウと人脈で、食品メーカーの「売りたいものを、売れるように」総合的に指導・支援する。
 その一例が、(株)増田町物産流通センター(上畑温泉さわらび)の依頼を受け、映画「釣りキチ三平」の公開(3月20日)に合わせ商品開発した「リンゴの唄」。増田の完熟りんごのみを使用して作ったジュースを、増田出身の漫画家、矢口隆雄氏書き下ろしの「釣りキチ三平」化粧箱に詰めた数量限定の季節商品だ。さわらびのほか、首都圏の百貨店でも販売される。
 また、コンサルタント業務のほか、同社は自社商品の開発も行い、すでに2商品を首都圏、東北全域のスーパーや百貨店で販売し好評を得ている。「みそキムチ」は、本場韓国の製法を基本にした、酸味の少ない日本人向けの味噌味のキムチ。普通のキムチの約3倍の時間と手間がかかっているのだそうだ。「もっちり米生パスタ」は、小麦ともち米粉を合わせた、もちもち、しこしこ、ぷりぷりといった食感と、インスタントラーメンと同じ3分間の茹で上がりが特長の生パスタで、太麺と細麺の2タイプを揃えている。
 「食品業界は、大手の商社が流通を取り仕切っているのが現実ですので、当社は販売先を商社にしています。小さな当社の商品を、商社の大きな流通網に乗せることで、より多くの店舗で販売してもらうことができます。しかし、無理はしません。真心を込めて作った商品をご理解いただけない取引先はお断りしています。商品を守ることが、よりよい商品づくりの維持につながるからです」。(株)シャルマンは、食品流通の荒波の中、魅力的(シャルマンは仏語で「魅力的」)に、風を捉えながら進んでいく。

株式会社シャルマン CORPORATION DATA

株式会社シャルマン
〒015-0011 由利本荘市石脇字田中73-1-2
TEL.0184-24-4105 FAX.0184-74-5057
http://www.charman.co.jp/
E-mail info@charman.co.jp


(2009年4月 vol.333)

 
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